以前の記事で、ゲームコンサルタントのZukowski氏がビデオゲームの価格を調査した結果、AAAゲームの価格が高騰する一方で、インディーゲームの価格はほぼ変わっていないことが分かりました。そして、100件以上のレビューを獲得しているインディーゲームは、大体AAAゲームの価格の半分ぐらいであることを発見しました。
では、ゲームをリリースする前の段階では、どのように価格設定をすれば良いでしょうか?
参考として、この記事では価格設定に関する4つのポイントを紹介します。
Steamのアルゴリズムはセールを中心に作られています。ゲームに20%以上の割引がある場合、Steamはウィッシュリストに登録している人へメールを送ります。また、SteamでDaily Deal (日替わりセール)や他のポップアップなどで紹介される条件として、割引が必要です。セールなしには特別に紹介してもらえません。
もちろん、このような価格競争に反対する開発者もいます。割引し続けることに反対して「絶対に割引しない」とツイッターで主張していれば、プレイヤーがいつかゲームに気づいて定価で買ってくれるのではないかと思っているかもしれません。ただし、Steam上には多くのゲームが販売されており、プレイヤーは特定のゲームを覚えているわけではありません。それどころか、「絶対に割引しない」ことなんて覚えないでしょう。残念ながら、割引が定期的に必要です。
そのため、価格設定をするとき、20%〜30%の割増での価格設定がおすすめです。
過去3年間でリリースされたゲームを調べて、あなたのゲームと似ているジャンルと規模のゲームをリストアップしましょう。AAAゲームやインディーゲームのヒットだけでなく、あまり売れていないゲームや、あまり有名ではないが実は売れているゲームもチェックしましょう。どう調べばよいかというと、3つの方法があります。
①あなたのゲームのSteamページにアクセスし、「類似品」のところにある「全件表示」をクリック
②または、 SteamDBのタグ検索ページで一番当てはまるジャンルの最近のリリースを検索
③もしくは、Steam上のインタラクティブレコメンダーを使い、似ているゲームを絞る
そして、以下の列を持つExcelシートを作ります。
「コミュニティーの評価」を調べるためには、各ゲームのレビューを見ます。たくさんのプレイヤーが「オススメできない」や「コスパが悪い」などのコメントを書いていますか。これはメモすべき点ですね。
10件くらいのゲームと比較したら、大体の価格相場が分かるはずです。比較した対象の価格が割安だと思った場合、クオリティーが自分のゲームと「同じくらい」であれば、その20%の割増で価格設定をすれば良いでしょう。(余談ですが、英語圏の開発者やパブリッシャーと話しているとき、「comps」という言葉が出てくるかもしれません。「comps」は「comparisons(比較)」の略称で、「Indie games like mine」よりパブリッシャーへのピッチでよく使われているらしいです。)
プレイヤーはセールを狙うので、他のゲームがどのように割り引きしているかを確認しましょう。
確認方法はSteamDBで対象のゲームを検索し、そのゲームのページの下のほうにスクロールします。「Price History」の部分に価格推移のグラフが表示されます。
そのゲームの価格が上がっているか、下がっているかどうかを確認し、どれぐらいの頻度で割り引きされたか、割り引きがいくらかを確認します。今までの最安値がいくらかを見て、リリースしてからどれぐらいたってから最安値まで割り引きしたのかを調べます。
そして、もしそのゲームが早期アクセスとしてリリースされたことがあるならば、早期アクセス時期の価格から正式リリースの価格を比べます。価格が上がっていることがあるかもしれません。
「誰も価格に文句をつけないなら、その価格は低すぎる」という昔からのマーケティングの格言があります。すべての人があなたのゲームを100%好きになるわけではありませんので、問題ありません。価格に不満を持つ人はもちろんいて、それも問題ありません。すべての人が価格に満足したら、おそらくあなたのゲームはそのジャンルで一番安いゲームでしょう。
そのため、「ゲームはまぁまぁだけど、買うならセールを狙うのがオススメ」というレビューが来たら、気にしないでください。どのゲームにでもあることです。
無視すること。ポイント#1を思い出しましょう。 みんなセールを狙ってゲームを買います。「セールを狙うのがオススメ」というレビューはSteamの仕組みの説明そのものです。セールを待ったほうがお得なのは他のゲームも同じです。
要約すると、価格の設定は類似のインディーゲームの相場を調べて、20%の割増で設定するのがオススメといえます。参考情報としては、開発者のDylan Gedig氏が『Peglin』の価格を決めるのに苦労したエピソードがあります。結局、予測したものより少し上げて、早期アクセスのリリース価格を「$19.99」にしました。
本人がその決断にいたる経緯を説明しました。
1. 高めの価格設定でリリースのペースを対応できる規模に下げてくれるだろうと考えました。当時、『Peglin』の仕事をフルタイムでしているのはまだ私だけだったので、他のチームメンバーがフルタイムになるまで規模を大きくする時間を稼ぎたいと考え、正式リリースまでの早期アクセス時期を通してセールスを徐々に獲得したかったのです。
2. 早期アクセスのリリースの予想は実際の規模の1/20でした。大体リリース前の2週間のウィッシュリストの10%をセールスにコンバージョンできるだろうと思いました。また、 多くのプレイヤーはデモ版を10時間以上遊んで、デモ版の3倍のコンテンツを「$19.99」でも喜んで買ってくれるようです。
3. 何もかもが値上げで心配でした。リリースの1ヶ月前、ガソリン代が2倍になって、食べ物の値段も高騰し始めました。そこで、初期のセールスでゲームの開発を継続するための資金を獲得したかったです。でないと、また仕事を増やせざるを得ません。ここで、Kickstarterのクラウドファンディングをしていたら、価格についての不評を防げたかもしれませんが、KickstarterでSteamでのリリースへの注目度が減るのが好みではない上、クラウンドファンディングを成功させるための人手が不足していました。
4. 主な競合相手の価格が$25以上だったので、『Peglin』の$19.99はまだ比較的にお得でした。(ただ、多くの競合相手は$15からリリースして、徐々に値上げしました。我々もそうするべきだったのかもしれませんが、ポイント#1の矛盾になります。)ちょうどその時期、AAAゲームの価格が上がりはじめたので、タイミングが良いというサインでした。もちろん、AAAゲームの値上げがもうちょっと早く始まっていたら、我々が価格の限界を試すことにならなくて済みました。
5. 我々にとって、PCゲームというプラットフォームでモバイルゲームのような価格の底辺への競争を防ぐことが重要でした。『Peglin』の開発を始めた頃は『Peglin』が副業で、本来の仕事はF2Pゲームの開発でしたが、魂が抜けるように虚しかったです。PCゲームで同じような底辺への競争は起こらないでほしいです。
Dylan Gedig氏
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元の記事:
4 TIPS TO HELP YOU PRICE YOUR INDIE GAME
https://howtomarketagame.com/2022/08/23/4-tips-to-help-you-price-your-indie-game/
「リリースのタイミングはいつが良いか」は、よくある質問です。映画業界にとっては上映スケジュールが大事のようですが、ゲーム業界はどうでしょうか。私たちは2022年8月の記事に結論を出しました。(第4四半期のみコンバージョン率が30%ぐらい下がります。その理由は年末にリリースされるゲームの種類につながっていると考えています。)このデータから何か圧倒的に良いタイミングがあるわけではありませんが、大きなSteamセールの時期にリリースするべきではありません。
しかし、もう1つの質問があります。「AAAタイトルと同じ週にリリースしたら、ゲームリリースが成功するチャンスが消し飛ぶのでは??」もしかしたらAAAタイトルがバズりすぎて、誰もあなたのゲームについて投稿しないことになるのでしょうか?そう思うかもしれませんが、過去のリリースデータを分析した結果、結論として「AAAタイトルのリリースはあまり影響を与えない」と考えています。
例えば、2022年2月、『エルデンリング』がリリースされた週を見ましょう。次の表はその週にリリースされるゲームです。(Game DiscoverCo Plusの購読者であれば、リリース後のデータページにアクセスできます。)
ご覧の通り、『エルデンリング』が他のゲームの200倍のレビュー数を獲得しました。この現象から、他のゲームのリリースが影響されたかについて指標があります。
その指標はバズり度(Hype score)に基づいた比率です。バズリ度は、とあるゲームのSteamのフォロワー、ウィッシュリスト数と他の指標に基づいて計算します。そして、バズり度を初週のレビュー数で割ります。(「初週の売れた本数」 / 「リリース時のウィッシュリスト数」の比率のように)
GameDiscover CoのCarless氏とAlejandro氏が、15,000点以上のバズり度(Hype points、500,000以上のウィッシュリスト数ぐらい)のSteamゲームを調べて、AAAタイトルのリリース週の表(2022年)を作りました。
そして、その週のバズり度が500点以上(約20,000以上のウィッシュリスト数)のゲームのバズり度比率の中央値を計算します。その中央値を、AAAタイトルがなかった他の週の中央値に比べました。
わずかな差はありますが、何百本のゲームの中央値なので、その僅差でコンバージョン率が影響されるとは言い難いといえます。確実に言えるのは、リリースの成功の主な要素はリリース前の注目度です。
実際、『エルデンリング』週の例では『Final Fantasy VI pixel remaster』、『Tiny Combat Arena』、『Martha Is Dead』は「レビュー数」 / 「売れた本数」に関して、期待とほぼ同じの結果を出しています。
※追加情報:スプレッドシートの全体を見てみると、AAAタイトルのコンバージョン指標を除いて見ていましたが、中央値は15%しか変わりませんでした。結論を変えるほどではない変化です。
結論をまとめると:
もちろん、ゲーム市場は競争が激しく、とあるゲームの成功率が様々な要素に影響されることはあるでしょう。ゲームのリリース結果を分析するときは、「タイミング」よりも「商品がプレイヤー層に合っているか、そのプレイヤー層がどれくらい大きいか」を話題にしていくことがオススメです。それが肝心です。
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]]>プレイヤーにウィッシュリスト登録をしてもらうよう宣伝を頑張ったのに、ウィッシュリストからの削除が多い。悔しいですね。こうしたウィッシュリスト削除は日常茶飯事ですが、削除率の平均はいくつくらいになるのでしょうか?
2021年、HTMAGの著者であるZukowski氏が58組の開発者からウィッシュリストのデータを集めました。この記事では、そのデータから得た知見を紹介します。
リリースされたゲームの中では、削除されたウィッシュリストの割合は以下の通り(ゲームの利益でランク分けされています):
ブロンズ($0 – $10,000、0 ~ 100万円): 9%削除
シルバー($10,001 – $249K): 12.7%削除
ゴールド($250K – $999K): 10.5%削除
ダイヤ($1 Million+): 11.65%削除
また、ウィッシュリスト削除率の平均と中央値が以下の通り:
そして、ウィッシュリストとその削除率のグラフです。青い棒はウィッシュリスト数で、赤い線は削除率です。
特に相関は見られませんが、傾向としてウィッシュリスト数が少なければ削除率が少なくなるようです。その原因の仮説として、ウィッシュリスト数が非常に多いゲームは、一般的にフェスや大物の配信者による実況などでウィッシュリストを獲得したからです。そのウィッシュリスト登録者は「お気に入り登録」の感覚で登録したので、ゲームへの興味はさほど高くなく、後ほど削除しがちです。
グラフには削除率が特に高いゲームは2つあります。それは一体なぜでしょうか。
両方のゲームは、YouTuberがチャンネルのネタとして作らせたストリーマー由来のゲームです。2つのゲームは認知度が高く、有名な配信者のSodapoppin氏などにも実況されました。ただし、片方のゲームは他の人気ゲームのパロディーで、もう片方はネタゲームです。
そのため、削除率が高い理由はこの2つのゲームはネタゲームで登録したユーザーは興味感覚で登録したからだと考えられます。これらのゲームはSteamの一般ユーザーが好むゲームではないので、削除されやすかったものと予想されます。
また、削除された原因はもしかしたらSteamで掲載された期間が関係しているのかもしれません。掲載された期間順で並べ替えたグラフは以下のようになります。青い棒がSteamの掲載期間(日)で、赤い線は削除率です。
どうやら、掲載された期間が長ければ長いほど、削除率が高くなるようです。「え?じゃSteamページは発売直前に掲載すればいいの?」と思う人がいるかもしれません。しかし、削除率の差はそこまで多くありません。また、掲載期間が長いほうが宣伝できる期間が長くなります。
では、なぜ掲載期間が長くなると削除が増えるのでしょうか。主な原因は夏や冬に実施されるSteamセールです。 ビッグセールがあるとき、ユーザーはウィッシュリストを見て、どのゲームが買い時なのかを確認します。リストを確認するとき、興味がなくなったゲームを見かけたら削除します。
まとめると、ウィッシュリストの平均削除率は9.80%で、中央値は7.75%です。ネタ系ゲームになると、削除率が高くなる可能性があります。そして、掲載期間が長くなると、削除につながるセールが多く開催されるため、削除率が増えがちです。
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元の記事:
BENCHMARK: WHAT IS A NORMAL NUMBER OF WISHLIST DELETES?
https://howtomarketagame.com/2022/09/16/benchmark-what-is-a-normal-number-of-wishlist-deletes/
[本記事は、GameDiscoverCoニュースレターの日本語翻訳です。GameDiscoverCoの許諾を得て翻訳・掲載しています。]
ご存知の通り、Steam Nextフェス (いわゆるゲーム試遊イベント)が2022年10月3日〜10月10日まで開催されました。この記事ではその傾向をまとめました。
ひとつ前のNextフェスではデモ版を遊んだらSteamバッジが付与されるため、ボットの乱用で同時接続ユーザー数(Concurrent Users, 以降CCU)が歪んでしまいましたが、今回はバッジがディスカバリーキューの閲覧で獲得できるようになったので、より正確なCCU(同時接続ユーザー数)のデータを得ることができました。GameDiscoverCoのデータコーディネーターであるAlejandro氏が、CCU順でトップ30のNextフェスゲームをGameDiscoverCo専用のスプレッドシートにまとめています。以下はトップ10のゲームの抜粋です。
このデータから、以下の傾向が分かりました。
また、人気ゲームのジャンルの傾向ですが、Alejandro氏がトップ30のゲームのトップ5タグを集めて、以下の表にまとめました。
一部のタグは一般的すぎて傾向を判断することはできませんが、特定のタグを見ると:「サンドボックス」、「ローグライト」、「サバイバル」がよく見られます。そして、ニッチジャンルの「アクションローグライト」、「アクションRPG」、「コロニーシミュレーション」、「カードバトル」が3件(30件の10%)以上ありました。
どうやらトップランクのゲームのジャンルは「バラバラ」のようです。独占しているジャンルがないのは良いことかもしれません(?)。また、ほのぼの感のあるゲームは多くないようです。(もしかしたらデモ版はそこまでウケていないのでは?トップ30のゲームはすべて100%ディストピアのゲームというわけでもないので、やはりジャンルはバラバラですね。)
トップランクに入っている西洋発のゲームはトップダウンマルチシューターの『From Space』、 航海マルチのローグライト『Ship of Fools』とトップダウンサバイバル『Zero Sievert』です。
興味のある方は。ぜひトップランクのゲームを試してみてください。GameDiscoverCoにとっては、Nextフェスでの人気度はリリース時の人気度の良い指標だと考えています。しかし、Nextフェスですぐ認知されなくても、後からでも配信者が見つけられます。最後に、もしあなたのゲームが2023年2月13日以降にリリースされるなら、かつまだフェスに参加されたことないなら、今後のNextフェスに申し込めます。(注釈:Nextフェスは毎年3回行われ、1タイトルに付き1回だけ参加できます)
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]]>ゲームをいかにプレイヤーから認知してもらうかが成功に関わりますが、そのためにもあらかじめゲームの予算計画と売上予測をするべきです。開発者が予算計画と売上予測をしなかったとしても、パブリッシャーは必ずしています。では、開発者として投資収益率をどう予測すれば良いのでしょうか?また、パブリッシャーや出資者はどう考えればよいでしょうか。今回の記事は売上予測の”間違った”計算方法と、予測のポイントを紹介します。
まず、パブリッシャーと開発者の前提状況を整理しましょう。
普段、売上予測のベースとして、作っているゲームのジャンルのコアのゲームを参照しがちです。この段階で役立つツールはAlt Shift Games (『Crying Suns』)のゲーム分析のスプレッドシートです。
使い方はスプレッドシートを複製して、Steam gamesのタブの青いところに気になるゲームのSteam App IDを入れます。すると、Steamのデータや売上予測など様々な情報が表示されます。詳細は前回の記事に紹介しましたので、興味のある方はチェックしてください。
「じゃ、2Dメトロイドヴァニアを作るなら、Steamの2Dメトロイドヴァニアのカテゴリーからトップのゲームをピックアップして、トップの利益の中央地を参考にすれば良いでしょう?」いいえ、それは間違いです。その理由は以下の通りです。
他にも、役に立つ4つの資料を紹介します。
①GLITCHによるFounder’s Kit:
このサイトに『Bear & Breakfast』や『Button City』など実際のピッチのプレゼン資料を掲載しています。掲載中のピッチには「楽観的すぎる」計算はあまりなかったので、良い参考例かもしれません。
2つ目〜4つ目はSteamのリリース時のウィッシュリスト数に基づいているツールです。
②GameDiscoverCoの簡易予測シート:スプレッドシートを複製して、リリース時のウィッシュリスト数とゲームの価格を入れるだけで1週目のSteamの売れた件数や売上、1年目や3年目の純利益などの数字が出ます。
簡易版ではなく、詳細がほしい方には次の2つがオススメです。
③ソシエテ・ジェネラルのゲーム融資担当者Stephane Rappeneau氏による利益計算モデルです。このモデルで2年目までの月別利益を予測できます。詳しい情報はこの記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。日本円バージョンはこちらです。
④より細かいツールは物語性のゲームパブリッシャーのFellow Travellerによる利益計算モデル:
Fellow Travellerはこのモデルを会社用と開発者向けの月別の売上予測に利用しています。このモデルの良いところはセールによるブーストを記入するマスがあり、より細かい月別の売上予測ができます。ただ、注意すべきことは、このシートはリリース時のウィッシュリスト数ではなく、最初の1ヶ月のウィッシュリスト数を使っています。
②〜④のウィッシュリスト数に基づく売上予測がもう1つの計算方法です。この予測で、もしかしたら黒字になるには非現実的なウィッシュリスト数が必要だと発見するかもしれません。他のゲームを参考にした予測にしろ、ウィッシュリスト数に基づいた予測にしろ、大事なのは楽観的すぎないような予測です。
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]]>「あまり注目を集めていないが、Steamで定期的に売れているゲームって何でしょう?」とSimon Carless氏がよく疑問に思っているようです。その疑問に答えるために、最近作成したGameDiscoverCo Plusの表「月別のレビューの多いゲーム」を観察しました。その結果に見つけた事例は、Foulball Hangover氏の『Hydroneer』という採掘と拠点構築サンドボックスゲームです。今回の記事では、『Hydroneer』が何故多くのレビューを獲得できたかを見ていきましょう。
『Hydroneer』は2020年5月にSteamでリリースされ、それ以来12,000件のレビューを獲得しました。そして、2022年5月に画面分割でのマルチプレイを含む大型アップデートのおかげで、5月に約2,000件のレビューを獲得し、月別のレビューの多いゲームのトップ100にランクインしました。
おそらく聞いたことのないゲームですよね?(もちろん、数人は知っていると思いますが。)レビュー収集サイトMetacriticでの存在感が薄く、ニュース記事が多くなく、ツイッターなどあなたのSNSでは拡散されていないでしょう。それにもかかわらず、このゲームは大ヒットしています。(SNSや検索サイトのアルゴリズムによるフィルターバブルの効果ですね。)
それでCarless氏が『Hydroneer』の開発者Max Hayon氏にインタビューをしました。そして判明したことは、彼の大学卒業後の初ゲームであった『Hydroneer』が、約50万本売れているということです。つまり、40件のセールスあたりに1レビューです。この割合が素晴らしいです。レビューをなぜ多く獲得できたのか、その分析としてHayon氏が「やってよかった」思ったことを紹介します。
まずはゲームのコンセプトが固まっていたことです。
「開発者一人で実現できる範囲のゲームを目指しました。そして、マインクラフトでダイヤや珍しい素材を獲得したときの気持ちを詰め込もうとしました。」
Max Hayon
レアアイテムをゲットしたときのスリル感を目標とし、「土を価値のある素材にする」コンセプトが起点になりました。それだけでなく、土を掘ったり、運んだりする水力式の機械を作る機能を追加しました。このゲームのすべては、一人称視点で走り回ることで遊びます。「非直感的なUIなしで、各アイテムがゲーム内に存在し続けるシステムが面白いと思いました。各道具のケアをちゃんとする必要があります。」とHayon氏はコメントしています。
Hayon氏によると、リリース時期間近に「予算0ドルのマーケティング」について調べて、一番良い方法は実況者やユーチューバーに自分のゲームをチェックしてみないかと連絡することだと結論づけました。
「約30件のメールを送りました。いくつかの返事をいただきましたが、最初の返信は登録者数が10万人いるロシア人の配信者PlayAtHomeさんです。10万人の視聴者に向けた自分のゲームの実況動画が配信され、嬉しい限りでした。
10万人のリーチ、それは自分の動画では到底獲得できないものですね。(その時、自分の動画の閲覧数は平均300しかありませんでした)。その後、他のストリーマーからの返信も届くようになりました!BlitzさんとDraeさん(それぞれ150万〜200万の登録者数)も実況動画を作ったため、ゲームが話題に上がるようになりました。リリース当日では、ウィッシュリスト登録者数が1,000人から60,000人に激増しました。」
Max Hayon
そして、YouTubeで『Hydoneer』を検索すると、様々な配信者の『Hydroneer』で奇妙な採掘機械を作ってみた動画がたくさんあります。Hayon氏によると、配信者から「『Hydroneer』の動画が他のタイトルより閲覧数を出している」というコメントをよくいただいているそうです。その調子でどんどんコンテンツが作成されていきます。
GameDiscoverCoにはとある定番ネタがあります。「人気ゲームをもっと人気にする一番の方法はマルチプレイを追加すること」です(参考:Project Zomboidのマルチプレイ追加後の急増)。 そして、『Hydroneer』が 2022年5月にマルチプレイのアップデートがあり実績を出しました。ただ、マルチプレイの形は開発者の理想ではなかったようです。
「大規模な計画で、理想なマルチプレイを一年間かけて実装してみました。残念ながら、物理演算の問題で理想は実現できませんでした。」
Max Hayon
『Hydroneer』にはたくさんの動いているアイテムがあり、ネットワーク経由でその物理演算を再現するのはかなり重くて開発のネックになったそうです。開発チームがBulletとUE4のPhysXとUE5のChaosを試してみましたが、何らかの理由で失敗しました。マルチプレイをすでに約束したので、チームにとって、この失敗は大変でした。
しかし、幸いなことに、Hayon氏ともう一人の『Hydroneer』開発者ItchyBeard氏が『Dysmantle』を遊びました。詳しく言うと、『Dysmantle』はマルチプレイにSteamリモートプレイを使っています。Hayon氏がそのとき、 リモートプレイのパフォーマンスの良さに驚き、リモートプレイをプランBとして決めました。そのことについて、「画面分割は理想的ではなく、デメリットもありますが、自分にとってマルチプレイを導入することが大事でした」とHayon氏がコメントしました。プレイヤーにも大事なことです!
また、注目すべきことは『Hydroneer』にもMOD作りがあり、Steamワークショップと公式『Hydroneer』WikiのBridgepourからできます。しかも、2.0版アップデートでMODのサポートがよくなりました。これが更に『Hydroneer』の成長と注目に貢献しています。
初ゲームで大ヒットの例はもちろん例外ですが、『Hydroneer』の成功例から何を参考にするべきか、そのポイントを以下にまとめました。
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]]>年に3回、リリース前のゲームが参加できるSteam Next Festが開催されます。2022年6月のNext Festにおいて、参加したゲームの1056本の中、65本の開発者にNext Festのデータを共有していただきました。(この計算によると、サンプルサイズは6.1%ですが、誤差は12%だそうです。)この記事では、集めたデータを紹介しながら、参加したゲームのウィッシュリスト獲得の分析を行います。
まず、調査したゲームの獲得したウィッシュリストを以下のグラフにしました。
HTMAG著者のZukowski氏が2020年からSteam Next Festのデータを集めており、2020年6月、2021年6月及び2022年6月のデータを以下にまとめました。どうやらSteam Next Festは開発者にとって良いイベントになっているようです。
参加したゲームの総数 | 調査したゲーム | ウィッシュリストの平均 | 獲得したウィッシュリスト (70パーセンタイル) | 獲得したウィッシュリスト(中央値) | 獲得したウィッシュリスト(30パーセンタイル) | インプレッション(中央値) | 閲覧数(中央値) | |
2020 | ?? | 61 | 4,046 | 1,870 | 520 | 176 | 1,519,697 | 4,748 |
2021 | 696 | 42 | 3,752 | 2,169 | 957 | 550 | 585,743 | 7,970 |
2022 | 1056 | 65 | 4,803 | 2,964 | 1159 | 434 | 511,091 | 5,654 |
ご覧の通り、参加したゲームの総数が過去最多にもかかわらず、獲得したウィッシュリストの中央値が過去のNext Festより増えています。
このデータの前提として、「人気の近日登場」や「ウィッシュリスト上位」など上位に表示されているゲームの開発者に声をかけたので、データの平均は中央値より高くなっています。そのため、参考として30th percentileのデータを追加しました。2021年のほうがウィッシュリストを多く獲得できましたが、約120件の僅差です。
おそらく開発者の皆さんが一番気になることはウィッシュリストを多く獲得する方法でしょう。その方法は以下のフロントページのウィジェットに表示されることです。
このウィジェットはフェスの一番目立つウィジェットです。そこに3つのタブがあります。
・「人気の近日登場」
・「ウィッシュリストで最も人気の近日登場ゲーム」
・「体験版のデイリーアクティブプレイヤー数」
各タブに「もっと表示する」ボタンをクリックする前に、12本のゲームを表示しています。各ランキングは随時更新されており、実況者やメディアなどSteam外でのマーケティングによりランキングがかなり変わります。ちなみに、ジャンルごとのサブページにもそのジャンルのみのトップゲームを表示するウィジェットもありましたが、調査したゲームの中でどれぐらいサブウィジェットに表示されたかは定かではありません。
メインページの各タブのトップ12に表示されたことのあるゲームに声をかけて、その中7本からデータを集めました。フェス中に獲得したウィッシュリスト数はいくつかというと、15,059 ~ 43,098件でした。
その貴重なウィジェットの中に入るために、どうすればよいでしょうか?調査したゲームの開発者にフェス参加前のウィッシュリスト数と7日間の推移を聞いて、そのデータに基づいて以下のことを推測しました。
ウィッシュリストで最も人気の近日登場ゲーム
「ウィッシュリストで最も人気の近日登場ゲーム」タブに表示されるためには、すでに150,000件のウィッシュリスト登録がないと難しそうです。『Terra Invicta』は「ウィッシュリストで最も人気の近日登場ゲーム」タブでは4位でNext Fest参加前は252,343件のウィッシュリストを持っていました。『Roots of Pacha』は6位でフェスに参加する前は162,126件のウィッシュリスト登録を持っていました。12位のゲームのウィッシュリスト登録者数は分かりませんが、トップ12位に入るため150,000件くらいは目指さなくてはなりません。もちろんわかっていますが、この数のウィッシュリストは獲得するのが難しいため、Steam Next Festの参加タイミングの設定をできればリリース直前に設定することをおすすめします。
ちなみに、調査したゲームのフェス参加前のウィッシュリスト数(赤い線)とフェス参加で獲得したウィッシュリスト数(青い棒)を以下のグラフにしました。
傾向として、ウィッシュリスト登録者数が多ければ多いほど、期間中にウィッシュリストを多く獲得できたようです。しかし、例外があります。グラフの中央あたりに見えますが、ウィッシュリスト登録者数が結構いたものの、フェス中のウィッシュリスト獲得は比較的に低かったタイトルがあります。この現象のZukowski氏の仮説として、元々持っていたウィッシュリスト登録者数が古かったため、他のゲームほど「伸びる速度」が足りなかったと考えています。詳しくは次で説明します。
人気の近日登場(「伸びる速度」とも言える)
「人気の近日登場」のタブに関しては、フェス前のウィッシュリスト登録反応が考慮されます。どれぐらいの期間が対象なのかは定かではありませんが、フェス前の一週間のウィッシュリスト獲得数を調査して以下のグラフにしました。青い棒は前のグラフと同じく、フェス中で獲得したウィッシュリスト数で、赤い線はフェス前の一週間で獲得したウィッシュリスト数です。
ご覧の通り、フェス前の一週間の「伸びる速度」がフェス中の伸び筋を前のグラフより示唆します。明確な例外はほぼありません。それで、皆さんの気になるランクインするためのウィッシュリスト数は、おそらく3,000くらいでしょう。
フェスでウィッシュリストを一番多く獲得したゲームは『Roots of Pacha』で、フェス前の一週間は18,510件のウィッシュリストを獲得していました。しかし、前の週に2,190件のウィッシュリストを獲得したゲームも「人気の近日登場」に表示されました。ただ、2,000件代のウィッシュリストを獲得したゲームはいくつかランクインできていないため、Steamのランクイン基準は一週間以上かもしれません。そのため、念の為フェス前の一週間は3,000を目指しましょう。
150,000ウィッシュリストに比べたら、3,000件を獲得するほうが現実的です。たとえばゲーム配信者に実況してもらったり、他のイベントに参加したりすることで、何千かのウィッシュリスト獲得を頑張ってみましょう。このため、Steam Next Fest前の一週間か二週間に、たくさんの配信者に声をかけてみると良いかもしれません。同時に、Facebook、RedditやTikTokで宣伝したり広告を打ったりすることもできます。有料広告ウィッシュリスト1件獲得のコストは1ドルくらいと言われています。このためかなり広告費がかかるかもしれませんが、ランクインするメリットは20,000ウィッシュリスト獲得につながるということです。
メインウィジェットにランクインする方法をまとめると:
調査のアンケートに、「フェス前に何かマーケティングをしたか」という質問があります。それに対して、ウィッシュリストを多く獲得したゲームからの返事はこちら:
デモの延長版をインフルエンサーに送りました。(GmanLives, Icarusliv3s, Civvie11, JaredTheGamingdragon)
『Selaco』の開発者 (フェス中に獲得したウィッシュリスト:20,700件)
フェスの一週間前、新しいデモをリリースしました。そして、前回のデモを実況してくれたユーチューバーに声をかけて、一人以外全員は新しいデモを実況して、デモのリリース日に投稿してくれました。
『Dome Keeper』の開発者 (フェス中に獲得したウィッシュリスト:20,057件)
5月末に開催された「Dreamhack Beyond」(一週間のオンラインゲームイベント)に2日間参加して、600ウィッシュリストを獲得しました。そして、Twitter、9GAG、Redditでデモ版を発表しましたが、少し効果はありました。最後に、Next Festの直前に、メディアや配信者など800件の連絡先を集めて、全員にデモについてメールしました。
『We Who Are About To Die』(フェス中に獲得したウィッシュリスト:12,461件)
その一方、ウィッシュリスト獲得が少ないほうのゲームの回答を見たら、ほとんどの回答は「何もしていない」、「いいえ、でも(マーケティングを)するべきだった」、「Twitterでデモのリリースについて投稿した」でした。
もちろん、マーケティングと実況者への連絡をしても数百ウィッシュリストしか獲得できなかったゲームはいくつかありました。ただ、一般的にトップランクのゲームはNext Festのずっと前からたくさんのマーケティングをしていました。すでに配信者と関係を築き、すでに接点のある実況者に再度声がけをしました。
「良いゲームは勝手に売れる」とは真逆ですね。良いゲームが更に売れるため、マーケティングはいくらでも必要です。
アンケートにあるもう一つの質問は「フェス後、デモ版を公開のままにしますか」です。回答は以下のとおりです。
「はい」と答えた人の理由はこちら:
Steam内での成長が大分増えましたので、おそらくSteamウケしているでしょう。デモ版の前は自然成長が全くありませんでした。DreamhackとNext Festの間、ウィッシュリスト登録が1日5〜10件から100件に増えました。
『We Who Are About To Die』(フェス中に獲得したウィッシュリスト:12,461件)
はい、まだプレイヤーが遊んでいるし、デモ版が公開される前よりウィッシュリストが増えたし。
『Fueled Up』(フェス中に獲得したウィッシュリスト:9,460件)
インフルエンサーが見つかるように、公開にしておきます。すでに1人がピックアップしてくれました!
名無し開発者(フェス中に獲得したウィッシュリスト:5,675件)
何らかのデモ版を公開することが長期的にコミュニティーを築くことに効果的だからです。2021年8月中旬から掲載していますが、自分の主張を証明するデータは1つしかありませんが、我々のDiscordサーバーの参加者が2021年後半から段々増えてきたことです。ほとんどの新しい参加者は2021年11月のデモ版にあるリンクから来ています。
『 Fech The Ferret』の開発者 (フェス中に獲得したウィッシュリスト:1,738件)
配信者が定期的に実況してくれるし、新しいプレイヤーが見つけて遊んでくれているし(平均デイリーアクティブユーザーが10,000以上)、公開のままです。ウィッシュリストがおかげで増えています。 (フェス後、更に+7,000件)
『Brotato』 (フェス中に獲得したウィッシュリスト:15,059件)
一時的に非公開にしましたが、また公開しました。その理由は、デモ版を非公開にしてもストアから消えないこととSteamでデモ版が「期間限定」を発表していないため、クレームが来たからです。(手動で発表するのではなく、自動で「期間限定」と強調するべきです)また、他のイベントにも参加するから、公開のままにしておきます。その語、非公開にするかどうか様子見してから決めます。ただ、何故かは説明するのが難しいですが、自分のゲームにとって、デモ版の公開がかなり効果的です。
『dotAGE』 (フェス中に獲得したウィッシュリスト:3,693件)
「いいえ」と答えた人の理由はこちら:
非公開にしたのはまだ初期の段階で最終的なゲームの代表になっていないからです。デモ版を公開した理由はシステムのフィードバックを得るためと宣伝をするためでした。
名無し開発者(フェス中に獲得したウィッシュリスト:427件)
Steamで貴方のゲームがどのタブに表示されるか選べます。
そして、ジャンル別の獲得したウィッシュリスト数の中央地をグラフにしました。青い棒は獲得したウィッシュリスト数で、赤い線は調査した65件のゲームのジャンル別の割合です。(注:各ゲームは複数ジャンルに所属することができますので、合計数は65を超えています。)
獲得したウィッシュリスト数の中央地が一番高いゲームは1位:シミュレーション、2位:ストラテジー、3位:RPGです。獲得したウィッシュリスト数が少ないジャンルはパズル、プラットフォームとVRです。もちろん、このサンプルサイズはたった65件で少ないものですが、他のデータと一致しています。
直感的なものとして、Steam Next Fest 2022年6月のページにアクセスしてメインウィジェットを見てみると、プラットフォームゲームはたった2つです。パズルゲームはありません。
もしパズル、プラットフォームやVRゲームを作っていて、ウィッシュリストが少ないことで悩んでいるなら、理由は単純にSteamのユーザーの好みではないからかもしれません…。
この記事をまとめると、Steam Next Festに参加する予定があるなら、するべきことは以下の通りです。
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元の記事:
JUNE 2022 STEAM NEXT FEST: HOW DID THESE GAMES EARN SO MANY WISHLISTS?
https://howtomarketagame.com/2022/07/11/june-2022-steam-next-fest-how-did-these-games-earn-so-many-wishlists/
ゲームの「ジャンル」と「絵柄」が決まった瞬間は、ほとんどのマーケティングの決断をしたことと同意義です。ゲームの質も大事ですが、それ以前ゲームのジャンルによってどんなプレイヤーが遊ぶかが決まります。2019年から現在に至るまで、32,202本のインディーゲームがリリースされました。その中、18,563本が10件以上のレビューを獲得しています。レビュー数が少ないということは、遊んでいるユーザーも少ないということです。どうやらプレイヤーには好みの傾向があります。今回の記事ではSteamで人気のジャンルと、そのデータを紹介します。
本文に入る前、前提として研究方法を共有します。
Steamで昔から人気のジャンルは、深い戦略性のあるゲームとシミュレーションゲームです。 Steamのプレイヤーはやりこみ要素と複雑な戦略を好むようです。例えば、『Civilization』のような”4X”(”eXplore”:探検、”eXpand”:拡張、”eXploit”:開発、”eXterminate”:殲滅)のゲーム、『Timberborn』など街づくりゲーム、『Valheim』などのサバイバルクラフト、『Slay The Spire』などのローグライクデッキ構築ゲームです。
HTMAGの著者であるZukowski氏にとって、多くのSteamのプレイヤーは何十時間も遊べる複雑なゲームを好むようです。彼らは、『Counter Strike GO』や『Call of Duty』などTwitchで人気のFPSではない限り、必ずしも素早いアクションやアーケードゲームを好むわけではありません。後ほど「勝者総取りのジャンル」の部分で説明します。
2019年1月〜2022年4月までのゲームを対象に、ジャンル別の売上の中央値(赤い線)とリリースされた数(青い棒)を下のグラフで示しています。つまり、左のほうにあるゲームはより売れているゲームです。
このグラフから見ると、売れ行きの思わしくないジャンルでは需要より供給が多いようです。そのジャンルを下記にまとめました。
その他興味深い点
Steamで人気のジャンルの話になると、よく「でもVRの『Superhot』は売れてるよ」や「でもプラットフォームの『Celeste』は大ヒットしたよ」と指摘されます。もちろん、どのジャンルにも一番売れているゲームがあります。ただし、トップ1%のゲームが例外なのです。例外だけを見ると、「生存者バイアス」がかかってしまいます。
例外で結論を出すより、データを確認しましょう。各ジャンルのトップ1%の売上と中央値の売上を下のグラフにしました。
トップ1%の売上順で見ても、どうやらVRやプラットフォームなどはなかなか売上が伸びていないほうです。
トップ1%だけが売れていて、そのジャンルの他のゲームがあまり人気ではない場合、そのジャンルは「勝者総取り」のジャンルと言えます。「勝者総取り」のジャンルは少ないですが、一番当てはまる例は「バトルロワイヤル」です。
『Fortnite』、『Apex Legends』、『PUBG』など話題の大ヒット以外、 着実なファンベースを持っている「バトルロワイヤル」ゲームが少ないです。なぜ「勝者総取り」が競い合うマルチプレイヤーで定番なのかというと、ファンの時間が限られており、1つのゲームに専念しがちだからです。また、マルチプレイヤーゲームのネットワーク効果で仲間と敵が増えれば増えるほど、そのゲームが楽しくなる仕組みにも関係しています。
各ジャンルの売上を下記のようなローソク足チャートとして示したら、「勝者総取り」のジャンルは基本的に上ヒゲが長いローソクになり、見やすくなります。
※ここでローソク足チャートを使うのが変かもしれませんが、Google Sheetsの制限でローソク足チャートが一番分かりやすかったため使用しました。
例えば、「バトルロワイヤル」のジャンルを見ると、トップ1%は非常に高いですが、中央値と第1四分位数が低くて差異が大きいです。
その他、「勝者総取り」の特徴を持っているジャンルはVR、 FPSと3Dプラットフォームゲーム。FPSはよくマルチプレイヤーなので、「勝者総取り」になりがちです。
「勝者総取り」ジャンルの反対のジャンルは、対象のプレイヤーが欲張りのプレイヤーです。チャートでの特徴として、ローソクが短いです。このジャンルのファンはそのジャンルにあるゲームをすべて遊び尽くしたいと考えられます。このジャンルでゲームをリリースするのは「バトルロワイヤル」のジャンルほど競争が厳しくありません。ゼロサム・ゲームではないジャンルです。その例は「ローグライクデッキ構築」、「ビジュアルノベル」、「パーティーゲーム」、「4X」です。
人気ジャンルの他の証拠として、YouTubeでの閲覧数があります。
こちらのグラフは2021年冬のSteam Next Festのデータです。
次のグラフは2021年夏のSteam Next Festのデータです。
両方のグラフから、ストラテジー、RPGとアクションゲームの動画は多く閲覧されましたが、パズルとプラットフォームゲームの動画はそこまで人気ではありませんでした。
そして、Next Festといば、もう1つのデータがあります。2022年2月Next Festでは、デイリーアクティブプレイヤーの多いデモのランキングが追加されました。すべてのデモは無料なので、価格の影響がありません。
トップ12本が表示されており、その中
「もしかして、その理由がストラテジーやシミュレーションのゲームが多すぎたからなのではないか」と思っている方もいるかもしれませんが、ゲームの割合をお見せします。次のスクリーンショットを見ると、一番多かったゲームはアドベンチャー(290本)やアクション(290本)で、ストラテジー(153本)とシミュレーション(137本)はランキングの真ん中あたりにありました。
毎月、Valveによりトップ20本のゲームについてブログ記事が投稿されます。2022年4月の記事はこちらです。過去6ヶ月のゲームタイトルを集めて、そのゲームのメインになりそうなジャンルを2つに絞り、各ジャンルのゲームの数をグラフにしました。
トップ10のジャンルはよく見かけるジャンル:RPG、街づくり、ローグライク・ローグライト、ストラテジー、シミュレーションです。そして、数の一番少ないジャンルはVR、シューター、マッチ3(パズル)です。
1点注目すべき点は4Xゲームの数も少ないですが、毎年リリースされている数が少ないため、競争が激しくありません。
また、Zukowski氏はプラットフォームゲームはマーケティングしにくいジャンルだとよく主張していますが、いくつかがトップ20にランクインしました。
基本的に、メトロイドヴァニアとローグがSteamユーザーの好きな深いやりこみ要素を加えるため、売れているプラットフォームゲームはメトロイドヴァニアとローグと組み合わせたゲームが多いです。過去6ヶ月のトップ20にはパズルプラットフォームは1つもありませんでした。
結論として、競争が激しくない売れているジャンルは、ほとんどストラテジー、シミュレーション、街づくり、クラフトやローグなどのゲームです。その一方、競争が激しいがあまり売れていないジャンルはパズル、プラットフォームとVRです。
「自分のゲームのリリースはあと3年ぐらいかかるから、そのときの人気ジャンルは変わるだろう?」とよく聞かれます。確かに、ゲーム業界のペースが速くて、技術がどんどん進歩していきますが、基本的にプレイヤーの好みはそこまで変化しないようです。PCゲーマーは昔から深いやりこみ要素のあるゲームが好きと考えられます。Zukowski氏自身は16歳のとき、好きのゲームは『Civilization II』と『SimCity』でした。そして、約30年後、人気ジャンルはまだ4X、ストラテジーと街づくり。ローグは大型コンピューターで開発され、普及されましたが、何10年後、人気度をキープしています。その一方、プラットフォームゲームはゲーム機でよく遊ばれていますが、PCだとそこまで人気を集めなかったようです。
また、人気ジャンルの入れ替わりはあまりなく、変化は新しいジャンルが人気ジャンルに加わることです。例えば、デッキ構築とオープンワールドサバイバルクラフトは大変人気ですが、比較的新しいジャンルです。
ゲームのジャンルにはマーケティングリスクがありますが、自らの表現としてゲームを作るなら、データからのジャンルの選択には意味がありません。ただ、人気ではないジャンルでゲーム作りの真っ最中の場合は、経済的なリスクを理解しながらゲームを作ってください。そのジャンルのプロジェクトの範囲を広げたり、自分の財産を大きく投資したりする場合、リスクを十分に理解してからご判断ください。この記事でジャンルの影響を少しでも把握していただければ幸いです。
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元の記事:
WHAT GENRES ARE POPULAR ON STEAM IN 2022
https://howtomarketagame.com/2022/04/18/what-genres-are-popular-on-steam-in-2022/
MORE EVIDENCE OF WHICH GENRES STEAM SHOPPERS LOVE TO PLAY
https://howtomarketagame.com/2022/05/30/more-evidence-of-which-genres-steam-shoppers-love-to-play/
最近、『V Rising』という吸血鬼サバイバルゲームが話題になりました。2022年5月17日にSteamで早期アクセスが公開されたこのゲームは、スウェーデンのインディーゲームスタジオStunlock Studiosによって制作され、1週間で100万ユーザーに到達しました。一体どのような経緯でヒットしたのか、Carless氏の仮説とStunlock Studiosからのコメントを紹介します。
『V Rising』のタイトルを聞いたことがなくても、データを見たらこのゲームは売れそうだなと推測できます。リリース時の週にはGameDiscoverCoの人気ランキングで1位にランクインし、Steamのリリースされていないゲームのウィッシュリストランキングでは8000件以上のゲームの中で33位にランクインしました。『V Rising』に対する期待はもともと高かった様子ですが、その高い期待さえ超えました。
参考として、GameDiscoverCo Plus(有料版)限定の2022年5月にSteamでリリースされたゲームランキングの詳細データを一部公開します。このデータは人気度のコンバージョン率順に並べてあります。注目されたゲームの持つ人気度のコンバージョン率の中央値は約0.15ですが、『V Rising』はその6倍です。
「人気ゲームは大人気」は何の説明にならないので、どのように注目を集めたのか、なぜコンバージョン率が中央値よりはるかに高いのか、Stunlock StudiosのコミュニティーマネジャーJeremy Bearson氏と一緒に以下の仮説を立てました。
『V Rising』のサムネイルを一見すると、ただのアクションRPGという印象が残るかもしれません。しかし、GameRantでも説明されたように、『V Rising』はアクションRPGの枠組みを超えており、大ヒットした北欧神話サバイバルゲームの『Valheim』によく比較されます。
「『Valheim』と同じように、『V Rising』はサバイバルゲームで(…)戦いの一日が終わったら、どちらのゲームでもプレイヤーは貴重な拠点に戻る必要があります。(…)PvPモードでは、『V Rising』で 『Valheim』と同じく(…)拠点が敵によって破壊されたとき(…)ゲームの進行が全て消えます。」
Brendan Paul Dick, GameRant
そして、Carless氏がStunlock StudiosのBearson氏にゲームのメインフックについて「ヴァンパイアだけじゃないよね?」と聞くと、Bearson氏は以下のように答えました。
「ヴァンパイアだけかもしれません(笑)!その上、サバイバルのジャンルと、サバイバルゲーム好きにアピールできるように構築されている部分だと思います。すべてのメインシステムをお互いに意識した形で作られているので、別々のシステムが混ざっているだけの体験ではなく、一体となった経験になります。プレイヤーにとって興味のない部分に圧倒されず、このゲームの好きな部分を発見しやすくなっています。」
Jeremy Bearson, Stunlock Studios
ポイントは『V Rising』のメインゲームです。(早期アクセスの段階でも)優れた拠点構築系のゲームプレイだけでなく、マルチプレイヤー要素(協力モードとPvPモード)があります。その2つの要素で、口コミとゲーム実況を促しました。また、自分のサーバーを設営でき、コンテンツも深く掘り下げられます。 当然なことですが、ゲーム内容は大切ですね。
早い段階で大きなコミュニティーを獲得することが肝心です。Bearson氏によると、「『V Rising』のような新しいIPでは、すでにあなたのアイデアを知っているファンベースがいないため、我々のゲームに興味を持ってくれる人が集まる場所を作りたいと思いました。『V Rising』をリリースする前、我々のDiscordサーバーのメンバーは1万4千人ぐらいでしたが、今は6万2千人ぐらいです。」
「様々なベータ機能(訳注:フォーラム機能(掲示板+タグ))を使ったり、複数の発表チャンネルを使ったりしてDiscordに情報が投稿されつづけるようにしています。サーバーホスティング、サーバー種類、ゲームモード周りの文化が発展しており、その発展を期待しましたが、こんなに大きくなるとは思いませんでした。」
通常のDiscordチャンネルでは投稿が埋もれやすいですが、フォーラム機能を使えば、掲示板の形で投稿ごとにコメントがまとまります。『V Rising』で使われているフォーラムはチュートリアルやフィードバックの投稿用だけでなく、プレイヤーによるマルチの募集やクラン(パーティーのような仕組み)募集などに使われています。『V Rising』のDiscordサーバーメンバーは6万人以上いるため、プレイヤーがTwitterで募集するより、『V Rising』のサーバーで募集したほうが人が集まるでしょう。『V Rising』のサーバーがまさに仲間を作る場所とエンタメの場所を提供しているので、各フォーラムに毎日投稿があり、コミュニティーが活発になっています。
リリースに近づいたとき、Stunlock Studiosがより大規模(3,000人まで)のクローズドベータテストを行いました。Bearson氏によると、「クローズドベータはかなり重要でした。皆さんにゲームをお届けする前に、プレイヤーからのフィードバックでゲームの方針を固め、バグを解消できました。早期アクセスのリリースの数秒前まで、ブラッシュアップし続けました。その調整がなかったら、『V Rising』の質はかなり落ちていたでしょう。ベータテスターに本当に感謝しています。」
皆さんはすでにご存知だと思いますが、公開もしくは非公開の管理された大規模テストを通して、プレイヤーのフィードバックが分かります。つまり、プレイヤーにとっての良い点と問題点が明確になり、Steamでリリースする前、レビューされる前に問題を解決できます。ぜひデモを通してのプレイテストをご検討ください。
上記の要素の他に、『V Rising』のヒットに貢献した要因を以下にまとめました。
繰り返しですが、『V Rising』の成功要因は以下の通りでした。
もちろん、すべての要因は誰にでも当てはまるわけではありませんが、この記事を通して各要因について理解が深まったら幸いです。ぜひ、自分のゲーム開発に試してみてください。
GameDiscoverCoは開発者向けのメールマガジンを発行しています。同社創設者のSimon Carless氏が執筆しており、2020年代のゲーム購買行動を定期的に検証し、プレイヤーの購買行動とゲームに対する感想を巡る記事を投稿しております。本記事はメールマガジンのうち一般に公開されている無料版を、同社の許諾を得て翻訳したものです。
有料版であるGameDiscoverCo Plusでは、プレミアム記事や未発売ゲームのデイリーランキングのインタラクティブデータなど様々な特典をご利用できます。こちらから登録できますので、興味のある方はぜひ購読してください。
※有料版の日本語訳はありませんので、ご注意ください。
]]>インディースタジオRed Nexus Games(開発者2名、デザイナー1名、作曲家1名)が作ったローグライト・ピンボールゲーム『Peglin』がSteamで約8万本売れました。価格は$17.99で、Steamの取り分を引く前の売上は$1,049,413(約1.3億円)です!一体何が起きてここまでヒットしたのでしょうか。その経緯を紹介します。
『Peglin』の初週セールスのデータ:
チームがしたことの概要:
開発者のDylan氏からの一言が、『Peglin』のマーケティングと開発を完全にまとめました。
PAX FestivalやTiny Teams Festival(特にこのイベント!)に参加し、小さな火種に燃料を追加していく感じで、(ゲームが)段々盛り上がりました。
Dylan氏 (Red Nexus Games)、HowToMarketAGame.com Discordメンバーの1人でもある
どの成功話にも忘れらてしまいがちなチームの経緯があります。メディアはよく「一般人が狭い家で夢のために頑張っていて、少しばかりの運で成功した」というストーリーを好んで掲載しがちです。まるで開発者が最初のゲームで大ヒットを出したように見せかけますが、実際は各チームに背景があります。
Dylan氏自体は10年近くゲーム業界で働いています。その経歴は以下の通りです。
Steamの75%のインディースタジオは1つのゲームしかリリースしていません。残念です。「最初のゲームが失敗したら、一生失敗」という思い込みがあるのではないかと思っています。それでがっかりして、もう二度とゲームを作らないと決める人がいます。 それは完全に勘違いです。最初のゲームは失敗するはずです。そのため、何かのインディーゲームが大ヒットしたニュースを聞いたら、どうかチームの方々の背景を検索してみてください。大体10年くらいの経験があります。
自分にプレッシャーをかけすぎないように、最初のゲームが失敗する心の準備をしてください。ただし、失敗してまだゲーム制作が好きなら、失敗から学んでもう一度挑戦してみてください。「失敗は成功の母」ですから。
開発に関しては、『Peglin』を公開しながら長期間のマーケティングを経て制作されました。 リリースの2年間前からSteamページが公開され、その2年間の1年以上、デモ版がずっと公開されていました。
開発とマーケティングのタイムラインをまとめました。
2019:
『Peglin』のコンセプトは最初2019年に開催された48時間のゲームジャムでデザインされました。 もともとは『Goblin Drop』と呼ばれました。
もちろん、『Peglin』(元『Goblin Drop』)を後回しにする数ヶ月はありました。すでに別のサイドプロジェクトを作っていましたが、ちょっと暗くてプレイテストでいい評価はもらえませんでした。その一方、「『Goblin Drop』に新しいレベルは追加されないか。コンセプトが本当に好き。」とよく聞かれ、どちらにするべきかが検証されました。
それで、『Peglin』のほうに集中することを選びました。そして、コロナのステイホーム時期が火種になって、ステイホームの6ヶ月~12ヶ月に「本格的なゲームを開発するぞ」となりました。
Dylan氏 (Red Nexus Games)
2020年5月:
5月1日にDylan氏たちが近日公開ページを作成しましたが、そのときは誰も見向きしませんでした。Steamページを公開してからリリース日までの約2年間のフォロワー推移がこちらです。全体のチャートは『Peglin』のsteamdbからアクセスできます。
2020年10月7日:
ほぼ誤差ですが、初めての閲覧増加は2020年10月7日からでした。その原因は秋のSteamフェスティバルに参加したからです。
Steamページの公開から初のSteamフェスティバルまでの6ヶ月で、『Peglin』が485件のウィッシュリスト登録を獲得しました。Steamフェスティバルの1週間で384件のウィッシュリスト登録を獲得し、ウィッシュリスト登録者数が約2倍になりました。
Best Indie GamesというYouTubeチャンネルのClemmy氏に紹介されました。
Steamフェスティバル後でも、デモ版は公開のままでした。それで実況者に発見され、『Peglin』の口コミが徐々に広がりました。そして、こちらはSteamフェスティバルの5ヶ月後の1つの実況動画です。
1つ注目すべき点は実況者の『Peglin』が発見しやすかった理由として、その可愛いビジュアルがあったからです。専門のアーティストが描いたビジュアルはいつも一番大事な宣伝素材になります。配信者はゲームのビジュアルを見るとき、YouTubeのサムネイルとしてアイキャッチが魅力的になるかどうか考えます。そのため、こうしたビジュアルに費用を使うことはオススメです。
全体のグラフを見ると、7月に毎週ウィッシュリスト登録者数が微増しています。小さなオーガニックの成長(自然と伸びること)でした。
クローズドβテスターを募集し、デモ版を継続的に公開する前にβテスターにゲームへのアクセス権を与えました。そのβテスターはSteamフェスティバル、Redditへの投稿およびデベロッパーの友人から見つけた方々です。
デモ版を継続的に公開するだけで、たくさんのメリットがありました。そこから得られたフィードバックは的確で管理しやすかったです。ただし、デモ版を(オンライン)イベントで紹介し続けるなら、いただいた問題点を解決する必要があると気づきました。
Dylan氏 (Red Nexus Games)
2021年7月
2021年7月7日は『Peglin』の認知度にとって大きな変わり目でした。そのとき、PAX East のバーチャルフェスティバルに参加しました。イベントでは「Camp Kawaii」のカテゴリーに入っています。PAX Eastの後、一気にウィッシュリスト数が増えるようになりました。
配信者も注目し始めました。ゲームを更新するたびに、配信者がチェックしてくれて、配信のメニューに追加してくれました。そこからゲームの拡散が本格的になりました。
Dylan氏 (Red Nexus Games)
そのときからリリースまで、デモ版を公開のままにしました。毎週Sifd氏など配信者がゲームの実況をします。各動画の再生数は1万以下でしたが、質の良いウィッシュリスト登録を定期的に提供してくれました。どれぐらい遊んでくれたか以下のスクリーンショットをご覧ください。
この時期、『Peglin』がたくさんのオンラインイベントに参加しました。 HowToMarketAGame.com discordにはイベント探し用のチャンネルがあります。 各イベントでウィッシュリスト登録者数が数千件増え、配信者の注目をさらに集めました。 そして、フォロワー数とウィッシュリスト数の比率が1フォロワーあたり16.5件の登録に増えました。この比率のリスクとして、ゲームが本来より人気だと勘違いしてしまう可能性があります。しかし、『Peglin』は配信者によって定期的に実況されていたので、ファンのサポートは決して弱くないことが分かりました。
2021年7月~2022年4月のリリースまでのウィッシュリスト増加の大きな原因は『Peglin』のデモ版です。この時期、様々なデモ版のプレイ時間(中央値)を知るため、Chris氏が開発者にアンケートを実施しました。80件のゲームの中で、『Peglin』の中央値のプレイ時間が67分で上位5位にランクインしました。次のグラフの各棒はアンケートの各ゲームの中央値のプレイ時間です。
このグラフの中央値となるゲームのプレイ時間は25分なので、プレイヤーが他のゲームの3倍長く『Peglin』を遊んでいるということです。また、ファンが新しいコンテンツを欲し、『Peglin』のMODを作りました。デモ版にMODを作成したということは欲望のサインです。
マーケティングについてよく記事を書きますが、TikTokでの宣伝方法やTwitterのハッシュタグ変更などの話をしましたが、良いゲームより大事なものはありません。ゲームがつまらないと、どんなに宣伝が良くても人は騙されません。
『Peglin』がプレイヤーに真の欲望を与えました。配信者が毎週『Peglin』の実況をしていました。プレイヤーがMODを作るほど『Peglin』に夢中でした。
ゲームを制作するとき、一番集中すべきことはゲームの面白さと操作のしやすさです。『Peglin』のチームはプレイヤーのフィードバックに基づいて定期的にゲームを改善しました。
また、ジャンルが非常に大事です。ゲームのジャンルが一番大事なマーケティング判断とも言えます。配信者はローグライトのジャンルが好き。長くてリプレイ性のあるゲームが人気。ウォーキングシミュレーターが1~2時間で終わるからプレイ時間は長くありません。パズルも実況されない傾向があります。
マーケットの需要に合うジャンルのゲームを作ることが金銭的成功につながるとも言えます。需要に合うだけで、宣伝が遥かにしやすくなります。Dylan氏の前のゲーム『Friday Night Bullet Arena』はローカルのマルチプレイヤーゲームで、『Peglin』のような奇跡的なマーケットフィットはありませんでした。未だにSteamで7件のレビューしかありません。
アドバイスとしてはしっかりデータを見て、人が注目してくれるゲームになるように注力すると良いかもしれません。例えば、赤の他人がどれぐらいあなたのゲームを遊んでいるか、自分からの連絡なしに配信者が実況してくれているか、「いつ新しいコンテンツが来るか」のメールが届いているか、など。これらがプレイヤーの遊びたいゲームのサインです。もし、人の興味を引かなそうであれば、途中で諦めることを恐れないでください。Dylan氏も『Peglin』に集中するため、制作中のプロジェクトを諦めました。
『Peglin』はセルフパブリッシングされました。
2020年、本格的なゲームにすることを決めた後、約10〜12社のパブリッシャーに相談しましたが、興味を持っていただけませんでした。
Dylan氏 (Red Nexus Games)
ほとんどの場合、パブリッシャーから返事すらありませんでしたが、1社は『Peglin』が取り扱っている商品に合わないことを理由に断りました。1週間で1.3億円を出せるゲームは売れる商品の気がしますが、正直どのゲームが売れるかは分かりません。せめてこのパブリッシャーはちゃんと「お祈り」返信をしたそうです。
そして、『Peglin』が注目されるようになってから、面白いことにいくつかのパブリッシャーから逆に連絡が来るようになりました。「お祈り」メールすら来なかったのに、2020年の8月末に「返信が大変遅くなって誠に申し訳ない、お話できないか」などという連絡が突然来ました。
結局、Red Nexus Gamingのチームは英語圏にパブリッシャーを使いませんでした。日本・韓国・中国のローカライズサポートとパブリッシングのために、中国のIndieArk社と連携しました。
ゲーム制作をしているとき、セルフパブリッシングにするか、パブリッシャーと連携するかの悩みがあると思います。パブリッシャーに関してはのアドバイスは:
リリース前にRed Nexus Gamingのチームは3つの大きな判断をしました。
1)アーリーアクセスをするかどうか:リプレイ性の高いコンテンツを持っているローグライトはアーリーアクセスに適しています。また、『Peglin』がアーリーアクセス前にすでにウィッシュリスト登録をたくさん獲得しています。多くの開発者がアーリーアクセスをソフトリリースと勘違いして、数百のウィッシュリスト登録でアーリーアクセスに入ってしまいます。取り返しがつかないので、リリース本番の気持ちで公開してください。
2)価格設定:インディーゲームにしてはちょっと高めの$19.99からの10%オフに設定しました。Dylan氏によると、コアなファンを優先させて、本気ではない人をふるいにかけたかったのだそうです。しかし、ファンの方々が『Peglin』に夢中で、価格が高めでもコンテンツが少なくてもゲームを購入しました。
3)アーリーアクセスでもデモ版を公開し続ける:本来であれば、無料のデモ版がセールスを奪うため、デモ版を非公開にすることをオススメしますが、『Peglin』のデモはまだ公開中です。『Peglin』にとってはデメリットが少ないようです。
もちろん、価格とレベルについてネガティブなレビューが結構ありますが、配信者はまだ数時間『Peglin』を実況しています。マーケティングでよく言われていますが、「価格について文句が来ないなら、安くしすぎたということです。」
『Peglin』の基本戦略はすごいデモ版を用意し、ウィッシュリスト登録につながるように、イベントと実況者を使いプレイヤーをデモ版に誘導することでした。これを繰り返して7万件以上のウィッシュリスト登録を獲得しました。ただし、成功にあまり影響がなかったことはいくつかあります。
SNS(主にTwitter): Red Nexus の公式アカウントは当時1,126フォロワーしかおらず、『Peglin』が大ヒットになってもフォロワー数があまり増えませんでした。『Peglin』のリリースツイートも67RTしかありませんでした。SNSで大成功になったわけではないので、SNSでリアクションがないことは必ずしも悪くありません。SNSがちょっと宣伝になったのはKotakuのライターさんがゲームのオススメを募集して、『Peglin』の紹介記事を書いたときだけでした。それで200件のウィッシュリスト登録に繋がりました。
メディア:リリース時、PC Gamerしか記事を投稿しませんでした。記事の効果は分かりづらいですが、コメントは0件です。実況動画のほうが圧倒的に多いです。毎週誰かに実況されるなら、PRは要らないでしょう。
リアルイベント:『Peglin』のほとんどはコロナ禍で開発され宣伝されました。リアルイベントは一切ありませんでしたが、オンラインイベントの貢献は大きかったです。Dylan氏の前作『Friday Night Bullet Arena』がいくつかのリアルゲームショウに参加しましたが、ローカルで会場で遊べるから好評でしたが、リリース当日にセールスには繋がりませんでした。
『Peglin』の宣伝戦略は資金の少ない、小さいチームにとって勉強になりますが、この事例は1つの例に過ぎず、全てのジャンルに適しているわけではありません。『Peglin』のリリースに基づいて、Chris氏が次のアドバイスをまとめました。次のアドバイスは黒字化したい開発者向けで、趣味で作っている開発者に当てはまらないかもしれません。
How To Market A Gameはゲームマーケティング向けの記事を掲載しています。Discordサーバーも公開しており、インフルエンサー探しやイベント探しのチャンネルなどがあります。興味のある方はぜひご参加ください。
この記事が気に入ったら、How To Market A Gameのニュースレターに登録して、毎週マーケティングのヒントを入手してください(元記事は英語となります)。
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元の記事:HOW PEGLIN MADE $1,049,413 IN 1 WEEK.
https://howtomarketagame.com/2022/05/04/how-peglin-made-1049413-in-1-week/