京都ではかつて「Kyoto Indie Meetup」というイベントが開かれており、また近隣の大阪では「Ichi Pixel」というイベントもありましたが、いずれもコロナ禍によって休止していました。そんな状況下で新しく生まれたのが「KYOTO PLAYROOM」となります。
本記事では、主催となるホテル アンテルーム 京都マネージャーの豊川泰行氏と、room6 木村 征史 氏にミニインタビューを行いました。
豊川:
ホテル アンテルーム 京都マネージャーの豊川泰行といいます。当ホテルは、京都駅の南側に位置する予備校の学生寮をリノベーションして生まれたホテル&アパートメントです。「KYOTO PLAYROOM」は、room6の木村さんに相談を持ちかけたことがきっかけでした。
木村:
room6の木村征史といいます。当社では「ヨカゼ」ブランドの実施のほか、モバイルから家庭用ゲーム機までいろいろなハードにインディーゲームをリリースしています。
豊川:
ホテル アンテルーム 京都では『art bit – Contemporary Art & Indie Game Culture -』展という展覧会をインディーゲームの祭典・BitSummitに合わせて夏に開催しており、今回で第三回目を迎えました。
https://www.uds-hotels.com/anteroom/kyoto/news/17075/
現代アートとインディーゲームを一緒に展示する企画展なのですが、今回はここで「ヨカゼ」ブランドのブースを設置させていただきました。そのタイミングで、定例イベントの開催について木村さんをはじめ、room6の皆さんにご相談をさせていただいたかたちとなります。
木村:
以前は京都には「Kyoto Indie Meetup」があったのですが、コロナ禍で中断してしまって。同様に大阪で開かれていた「Ichi Pixel」も活動終了となっていました。そんななかで、やはりみんなが集まる場所は必要だよねという話を開発者の間でずっとしていました。そのタイミングでお話をいただいたので、重い腰をやっと上げた感じです。
豊川:
木村さんとは東京のインディーゲームコミュニティ「asobu」を介して知り合うことができました。これまでも「ヨカゼ」ブランドからリリースされたインディーゲーム作品『アンリアルライフ』とコラボレーションしたコンセプトルーム「アンリアルルーム」などのイベントを一緒に行っています。
(写真は筆者が2021年にアンリアルルームへ宿泊した際の画像)
またここ3年は、京都で毎年開催されている日本最大級のインディーゲームの祭典「BitSummit」のオフィシャルホテルにもなっていて、BitSummitに出展されるゲーム開発者の方々のご宿泊も増えています。ホテルから会場への直通バスを出しているのですが、1年目は1台だったのが2年目は2台、今年は3台と増えました。そうしてたくさんのゲーム開発者の方々と接する中で、開発者の方々が定期的に集まれるようなコミュニティイベントをやりたいなと感じていました。
木村:
私もちょうど同じ思いだったので、それじゃあ一緒にやりましょうということになりました。
木村:
実は、「KYOTO PLAYROOM」を手伝ってくれているメンバーの中には、「Kyoto Indie Meetup」や「Ichi Pixel」の運営を行っていた面々も含まれています。彼らからの意見で「作品プレゼンがあるとミートアップに参加するのにハードルがある」という意見や「実際にゲームを触ってみながら意見交換ができるような機会にしたい」という声がありました。そこで今回はスライドを使用したプレゼン式の紹介をやめ、トレーラー映像とプレイアブル展示のみでゲームを紹介するルールにして、実際に動いている映像を観たり、プレイしながら気軽に話ができる遊び場のような雰囲気を目指すことになりました。
豊川:
ゲーム開発者の方々からプレゼンをしてもらってじっくりお話を聞くのもいいけど、ゲームなのでやはりプレイできるものがあるといいよね、という気持ちです。おかげさまで初回の展示枠はすでに埋まってしまいまして、その次を案内しています。
木村:
今まで別のイベントを運営してきたチームで立ち上げたものですので、定期ミートアップの運営の大変さもわかっています。ですので、まずは開発者同士がゆるやかにつながりをもてるイベントとして、1年間頑張ってみようと考えています。
豊川:
ホテル アンテルーム 京都が参加することで、まずは開催場所の問題は解決します。そして、たくさんの人たちが行き交う交流の場であるホテルが間に入ることで、たとえば学生や先生方、現代アートや様々な分野のクリエイターが参加し、、コミュニティとしてのグラデーションが生まれるような場にしていきたいと思います。
新しくスタートした京都の交流イベント、KYOTO PLAYROOM。初回は9月8日(金)19時から、その次は10月6日を予定しているとのことです。近隣のゲーム開発者の皆様は、ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
こちらはテスト版の「Vol.0」の様子です。
テキストから音声を生成する音声合成技術はさまざまな製品があり、ゲームを始めとしたデジタルコンテンツにも活用されてきました。幅広い活躍範囲をもつ音声合成技術ですが、この度ゲーム開発者向けに特化した製品
「A.I.VOICE for GAMES」が登場しました。
開発・配信を行っているのは株式会社エーアイです。同社は、過去に「Global Game Jam JAPAN」の協賛を行うなど、以前から小規模なゲーム開発者向けのサポートを積極的に行ってきていました。今回、満を持してゲーム開発者向け製品の配信となり、ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンのキャラクター「ユニティちゃん」の声が生成できる辞書を初期搭載。非営利ゲーム向けであれば無償で使用できるライセンスが用意されているため、開発者なら誰でも音声合成の手軽さ、面白さを体験できます。
そんな「A.I.VOICE for GAMES」について、本インタビューでは開発チームの皆様から本製品の開発背景と特徴、今後の展開についてお話を伺いました。
■「A.I.VOICE for GAMES」担当チーム
・株式会社エーアイ 遠藤 篤 様
・株式会社エーアイ 中谷 友成 様
・株式会社エーアイ 本多 徹 様
(以下、敬称略)
遠藤:はじめまして、株式会社エーアイと申します。当社はテキスト情報を音声化する技術を提供している会社です。個人から法人の方まで、幅広く音声を手軽に使えるようにするための製品を提供しています。法人向け分野では自動音声やロボット、防災無線でのアナウンスなどの広い分野で当社技術を活用いただいています。
今回、そうした当社の音声合成技術をゲーム開発者の皆様により身近に触っていただくために「A.I.VOICE for GAMES」を開発いたしました。ソフトウェアの実態としては「Unity向けエディター拡張」として提供されており、Unityエディターでゲームを作りながら、同じ画面の中でテキストから音声ファイルを作れることが特徴です。UnityプラグインにA.I.VOICEのシステムが含まれていますので、オフライン環境でも使用できます。
Unityエディターのインスペクター上でテキスト入力と感情パラメータなどの設定を行うことで、Audio Clipが生成されます。
エディター上での操作のほか、csvファイルからの読み込み・音声生成にも対応しています。まずExcelやGoogle Sheetなどでゲーム内のセリフを一括で作ってcsv出力し、それを「A.I.VOICE for GAMES」に読み込ませることでセリフ分のAudio Clipが一括生成されます。そこから、個別のセリフに対してパラメーターのチューニングを行う、といったワークフローが可能です。
リアルタイムに音声を生成するのではなく、UnityエディターであらかじめAudio Clip化して使う製品となっているため、ゲーム中にランタイムが動作してCPUに負荷をかけることはありません。
遠藤:はい、異なる製品となりますが、厳密にいえば関連製品としております。「A.I.VOICE」は当社で個人向け製品として販売している単体ツールです。テキストを入力して音声データを出力する、というWindows向けツールで、個人向けには主に動画制作で活用されています。
この「A.I.VOICE」をゲームエンジン向けのプラグインの形にしたものが「A.I.VOICE for GAMES」です。利用する上では「A.I.VOICE」のツールを立ち上げる必要はなく、Unityのエディター拡張をGUIとして動作します。Unityエディター拡張として提供することで、ゲーム開発者が見慣れたエディター上でサクサクと音声合成が作れる体験を目指しました。
遠藤:当社では以前から、ゲーム開発と音声合成の技術は親和性が高いと考えておりましたが、これまではその点を強くプッシュするための製品がありませんでした。個人制作の無料ゲームで「A.I.VOICE」を利用いただいたり、音声合成化したキャラクターがゲームに出演する、といった二次創作で使っていただいた事はありますが、まだまだ一般的に広まりきっていないなと感じていました。
そういった想いからゲーム開発者向け製品のプロジェクトをスタートしたのですが、昨今はインディーゲームなどの小規模開発においても、声優様を起用しているケースが多くあります。そうした背景に加えて、弊社の音声合成はキャラクター的な演技よりもナレーション調の読み方が得意なため、声優様によるボイスデータとも共存していけると考えました。
そこで当社のゲーム向け製品は、声優様に替わるものではなく「使い勝手の良さ」を追求する方針とし、今回のUnityエディター上で簡単かつ手軽に使えるコンセプト「A.I.VOICE for GAMES」にたどり着きました。その上で、非営利のゲームならば無償で使ってもらえるライセンスで配信することで、幅広いゲーム開発者さまに音声合成ならではの良さを体感してもらいたいという考え方です。
中谷:プロジェクト当初のことを思い出しますと、まずゲーム開発は長い期間がかかり、現在の「A.I.VOICE」の主な用途である動画コンテンツの制作よりも時間がかかることが多いな、というイメージからスタートしたように思います。ゲームはそれなりに長い開発期間が必要ななかで、セリフをどこかで収録しないといけないわけですが、ゲームの会話劇やカットシーン、アクションゲームの掛け声などは、早い段階で用意されていたほうが品質向上に繋がります。
しかし、それじゃあ早めに収録しようとすると、事前にセリフを決めないといけません。ところがゲーム開発が進行してくると色々な変更がありますから、あとあとすでに収録したセリフを変えないといけなくなることもありえます。
そうした背景を考え、ゲーム開発のワークフローの中で使いやすい音声合成のツールがあることが新たな価値を生むのではないかと考えました。「A.I.VOICE for GAMES」なら、セリフの修正がギリギリまであっても対応できます。ゲームを開発する中で音声を再生してみて、しっくりこなかったら声色のチューニングを変えてしまうこともすぐできます。
遠藤:「A.I.VOICE for GAMES」のプラグインでは、生成した音声を単にAudio Clipアセットへとして出力するだけではなく、Audio Clipと「A.I.VOICE Objectファイル(セリフオブジェクト)」がペアになっています。これは個々のテキストと音声の感情パラメーターなどが含まれているアセットで、ゲーム開発を進める中で何回もチューニングしながらゲームの場面に合わせていく使い方を想定しています。
第一回目として、国内インディーゲームパブリッシャー「わくわくゲームズ」代表の大柳氏をお迎えし、お話を伺いました。
――はじめに、自己紹介と「わくわくゲームズ」の概要をお教えください。
大柳竜児と申します。わくわくゲームズ合同会社の代表です。
弊社は2022年8月より法人として活動を開始した、ゲームソフトパブリッシャーです。
わくわくゲームズは私一人の会社で、多分業界内でも珍しい”一人パブリッシャー”だと思います。一人なので気は楽ですが、作品を探し、プレイし、作家さんと交渉し、実際にとして世に送り出し、並行して会社として必要な業務もこなすため、なかなか大変なのですが、自分の裁量で仕事を進められるのは大きな魅力です。
法人としては駆け出しですが、多くの作家さんに支えていただいており、作品ラインアップ構築にも作家さんのご助力をいただいております。すでに私一人のわくわくゲームズではない、とも言えます。
前職は『コーヒートーク』などで最近知名度も高くなってきたのインディーゲームソフトパブリッシャー、コーラス・ワールドワイド合同会社に在籍していました。設立当時から今年7月末までの約8年間、日本法人の代表の一人としてPRを皮切りにパブリッシングに関わる様々な業務をおこなってきました。それ以前は、エレクトロニック・アーツ株式会社やTHQ Japanなど、外資系パブリッシャーで働いてしていました。
――わくわくゲームズはコーラス・ワールドワイド社のレーベルとして出発し、今回独立されたとのことですが、その経緯をお教えください。
コーラスはもともと、2014年に「海外の素晴らしいインディーゲームを、日本を含むアジア市場へ持ちこもう」というところから始まった会社でした。私含めてメンバーは全員外資系パブリッシャーで働いていたこともあり、取り扱いタイトルは海外ゲーム(いわゆる洋ゲー)がメインでした。ずっと洋ゲー畑で食べてきたこともあり、当時は国内の作家さんやスタジオで制作されたゲームのことは、ほぼ意識していませんでした。
私が日本のインディーや同人ゲームに興味が出てきたのは、ここ3年くらいの話です。毎年初頭に開催される台北ゲームショウに行くと、日本だけでなく、台湾、中国、韓国、インドネシアといったアジア発のゲームをTGSよりも濃厚に触れることができたのですが、アジア発のインディーゲームにふれることで、母国回帰と言っていいのかわかりませんが、だんだんと日本のインディー・同人ゲームを取り扱いたくなりました。
自分の中でじわじわと日本のゲームを取り扱いたい欲が高まり、BitSummitやデジゲー博といった、国内イベントを通して日本のインディー、同人ゲーム作品に注目していたなかで、ある人からの紹介で熊本のアルファ・システムさんが制作した弾幕シューティングゲーム『シスターズロワイヤル』の国内パッケージ版や海外版販売を手がけることになりました。その際、国内スタジオの職人芸的なものに触れる機会があり、国内の作品に深く関わりたいと、より深く思うようになりました。
アルファ・システムさんはとにかく仕事がきめ細やかで、素晴らしかった。「日本のゲーム」の魅力に改めて接する機会を得て、継続して日本発の作品を取り扱いたいと思うと同時に「自分で作品を探してラインアップをつくりたい」と強く思うようになりました。同時に海外ゲームはもう20年関わったし、個人的にプレイすることはあっても、商売にするのはもう当分いいかな、とも考えるようになりました。
ここ数年で自分の中の「洋ゲー」と「和ゲー」の比重が明確に変わったと思います。個人的な趣向としても、AAAゲームのような大艦巨砲主義的な作品よりも、実験的な作品、コンパクトにまとまった作品、アイディアやユニークさで一点突破している作品などに魅力を感じるようになりました。
ゲーム本体だけでなく、世界観やキャラクターなどジャンルが多層化しているのも面白いなと思いました。弊社取り扱いタイトルの『モン娘ぐらでぃえーた』に代表されるように、「モンスター娘」というニッチなジャンルでシミュレーションからシューティングまで、様々なゲームをラインアップできるのは、作り手とプレイヤーとの層の厚さを感じます。
2021年に色々ありまして、事業として日本のインディー・同人ゲームを本格的に取り扱いたいという思いが強くなりすぎてしまい、話し合いの結果「レーベル」として「わくわくゲームズ」を立ち上げました。レーベルとしては私が選任として作品ラインアップ構築にあたりました。『百年王国』や『ケチャップandマヨネーズ』『レトロゲームエイリアンズ』『虚無と物質の彼女』はこの時に加わりました。
レーベルの仕事に加えて、それ以外の本来のコーラス発売作品リリースにかかる仕事や日本法人の業務もあり、はじめてはみたものの、わくわくゲームズに割ける時間は限定され、最終決定権は私になかったこともあり、私の中でわくわくゲームズの仕事がどんどん魅力あふれるものになってきた反面、組織内の一部という不自由さも感じるようになりました。
今思うと会社のお金で、わがままやらせてもらえていたので、当時のありがたみが今になって身に沁みるところです。ところが、なにせ基本がわがままな性格なので、次第に全て自分の裁量でやりたいという考えでいっぱいになりました。そうなると、どこかのタイミングで独立して勝負せざるをえないということになり、ついに今年実行に移したということになります。
どんな商売にしろ、はじめてすぐ軌道に乗るケースは少ないと思いますが、年齢的にも独立して自分が本当に好きなことで生計を立てる最後の機会かなと思ったところも大きいです。
創業にあたり、商売敵となりえるような自分の独立を認めてくれた前職の代表には深く感謝している次第です。
]]>昨今はコロナ禍にありながらインディーゲームの展示会が国内急増し、開発者が自身の作品をアピールする機会が大きく増えています。そんな中、「個人発」の切り口で2022年8月7日(日)に開催予定のインディーゲーム展示会イベント「東京ゲームダンジョン」。日本に新たなインディーゲーム展示会を立ち上げた主催の岩崎氏に、開催への意気込みを伺いました。
――はじめに、自己紹介と本イベントの概要をお教えください。
個人でゲームを作っている岩崎と申します。
2022年8月7日(日)に東京・浜松町で「東京ゲームダンジョン」というインディゲームの展示会を初開催します。5,500円で新しい会場・大きな机でゲームを展示できるコスパの良さがポイントです。
――普段はインディーゲーム開発者と、どのような交流をされていますか?
私は「週末Unityもくもく会」というコミュニティで、月に数回もくもく会を主催していまして、東京周辺のUnityでインディゲームを作ってる人たちとよく交流してます。Connpassというサイトで告知していますので興味ある方は検索してください。
週末Unityもくもく会
https://weekend-unity.connpass.com/
――なぜ今回イベントを独自で立ち上げられたのでしょうか?なぜこの時期を選んだのですか?
私は他のゲーム展示会に3年連続で出展して、インディゲーム開発者が展示会に出展することの意義が大きいことを感じました。そして、「同じようなイベントがもっとあったらいいのに」と思ったことが立ち上げた理由です。
時期については、私はコナミさんが主催する「Indie Games Connect」にも協力していて、そのイベントと日程をずらして開催しようという考えから8月にしました。
――ゲーム開発者に対して広く間口を開けたイベントですが、イメージしている出展者層・来場者層をお教えください。
出展者層はとにかく締切がほしいインディー開発者です。当イベントを締切にゲーム開発を進めてほしいです。出展料を安く設定していますので、趣味でゲームを作っている方にも発表の場として使ってもらえたらと思っています。
来場者としては、インディゲームや変わったゲームが好きな人や、今回は出展者しないけどどんなイベントか見てみたいというインディゲーム開発者の方を想定しています。
今回が初開催ですので出展者・来場者の皆様は温かい目で見守っていただけるとありがたいです。
――出展レギュレーションは比較的広いように感じます。対応が難しいタイトルはありますか?
当イベントは成年向け作品と二次創作(出展者が著作権を保有していないもの)は出展ができません。成年向けは会場のルールで年齢確認とゾーニングを厳密にする必要があり、運営上の問題から難しいです。
また、当イベントは前日にブースの設営をすることができません。原則は当日2時間でセッティングする必要がありますので、時間がかかる凝った展示や大規模機材を使用したい方は事前にご相談ください。
――今年は大量にインディーのイベントがあります。このイベントでは、出展者に対してどんな特徴を提供したいと考えていますか。
同じインディーゲーム開発者の仲間のために、他のイベントよりも安くて良いスペックのイベントを目指しました。出展者・来場者の皆さまに喜んでもらって、今後もずっと続くイベントにしたいと考えています。
また、「東京ゲームダンジョン」は当初から年に2回やる予定で、次は2023年の1月か2月に開催します。
――応募を考えている開発者の方へメッセージをお願いします。
興味を持った方は是非、応募してください。まだ空きはあります。
「初回から出展はちょっと」と思う方はぜひ当日見にきてください。楽しいイベントになるよう精一杯頑張ります!
みんなで日本のインディゲームを盛り上げていきましょう。
――ありがとうございました。
インタビュー収録後、運営チームは会場の下見を実施し、出展時のイメージ写真を公開しています。
「東京ゲームダンジョン」の申込締切は5/2までとなっております。ぜひお申し込みください。
——自己紹介と本書の紹介をお願いします。
ねこじょーかー:共同執筆者のねこじょーかーと申します。本書はUnityの中級者を対象に、ソーシャルゲームで実装されている「おきまりのあの機能」を実現するにはどうしたらいいのかを解説した書籍です。解説だけではなく、Unityで動作するソースコードも公開しているので、実際に動かして確認できます。そのほかPlayFabで公開されている各種APIの基本的な使い方も丁寧に解説していますので、辞書としても使えるようにしました。
西根:はじめまして、西根です。SNSなどでは南というハンドルネームで活動しています。
主な仕事はC#のサーバーサイドエンジニアとして、ゲームやWEBアプリケーションの開発やSRE的な業務を担当しています。
2年ほど前からAzurePlayFabの情報をWebや勉強会で発信していて、2020年からMicrosoftMVPとして活動させていただいています。
——本書を書こうと思ったきっかけや、共著となったきっかけをお教えください。
ねこじょーかー:以前からC#が好きで、ここ数年はUnityの勉強をしていました。そんな中で西根さん主催のPlayFab勉強会に参加し、「こんなすごいものがあるのか」と衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。そこから独学でPlayFabを勉強して、ブログを立ち上げたり、電書の同人誌を4冊も書いたりしました。
西根:昨今のモバイルゲームは、カジュアルなゲームであってもサーバーサイドの機能が必要になるケースが増えていると感じています。たとえば、インゲームはオフラインのソロプレイで完結するけど、ランキング機能だけは欲しい……というようなケースなどですね。
そうした場面で、ゲーム開発者が1からサーバー開発の知識を身につけてランキング機能を実装するのは少々ハードルが高いと思います。そのようなときにPlayFabを活用すれば必要な機能が簡単に低コストで実現することを多くの方に知っていただきたいと思いました。
共著となったきっかけは、私がねこじょーかーさんをお誘いしました。出版の秀和システム様から「単著でも共著でも構わない」と伺いましたので、ねこじょーかーさんをお誘いすることをすぐに決めました。私は今回がはじめての書籍執筆でしたので、以前から同人誌の執筆活動をされていてPlayFabの知識も豊富なねこじょーかーさんに、私の経験の浅さをカバーしていただこうという作戦でした。なお、ねこじょーかーさんには当初の想定の3倍ほど助けていただいて、本当に感謝しています。
ねこじょーかー:西根さんにお声がけいただいて、本当に感謝しています。
本書を書こうと思ったきっかけは、PlayFabをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えたからです。もちろんPlayFabを使わずとも自前でゲームのためのバックエンドサーバーは開発可能です。しかし、それにはたくさんの時間がかかるので、個人レベルではとてももったいないと思います。ゲーム開発には他の部分の開発にもたくさんの時間がかかるので、バックエンドにおいてはPlayFabを取り入れることで、ゲーム開発を加速してほしいという想いがあります。
——本書はどのくらいの期間をかけて執筆しましたか?
ねこじょーかー:だいたい半年くらいです。
西根:同じく、2020年の年末頃から半年ほどです。
——本書をどんな人に読んでもらいたいと思いますか?
ねこじょーかー:「ソーシャルゲームを作ってみたい」「バックエンド開発を楽にしたい」という人に読んでいただきたいです。ソーシャルゲームを作るとなると、ガチャやランキングなどたくさんの機能が必要になります。これらをゼロから実装していると、かなりの時間がかかってしまうため、特に個人では手が出しにくい領域です。PlayFabを使うことでとても簡単にソーシャルゲームの各機能を実現することができるので、「こんなに簡単にできるんだ」と思っていただけるはずです。テスト量も最小限に留められるので、UIやゲーム性を考えることにもっと時間をかけることができるようになります。ぜひ一度使ってみていただきたいです。
西根:Unityで個人開発をしている方で、オンラインのゲームを作られる方に読んでいただけたら嬉しいですね。
——本書を書いていく中で苦労された点はありますか?
ねこじょーかー:執筆時間の捻出です。本業がある中で作業する必要があったので、余暇の時間をほとんど執筆にあてていました。
西根:個人的には、ちょうど仕事が忙しい時期と重なってしまって、スケジュールには苦労しました。
——本書の各章のなかで、特に力を入れた箇所はありますか?
ねこじょーかー:各所にある機能解説のイラストです。イラストレーターの方に少し調整はしていただきましたが、ベースは自分で作成しました。文章だけだとよくわかりにくくなってしまうので、少しでもわかりやすくなるよう工夫をしています。「このくらいはわかるだろう」という前提条件を省略せずに解説することを意識した点も、力を入れました。
西根:私は4章の「プレイヤーデータを管理しよう」がお気に入りです。PlayFabのもっとも基本的な機能であるプレイヤーデータの使い方の紹介からはじまり、多様なプレイヤー情報をPlayFabのどの機能で管理するとより便利かという話をしています。
たとえばスタミナや経験値をPlayFab上では仮想通貨として管理すると便利だったり、プレイヤーのレベルは統計情報として管理すると便利だったり……という話ですね。ドキュメントには書かれていない、PlayFabのフォーラムで紹介されていた手法や、自分たちで考えた手法を紹介していますので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
——発売後の反応はいかがですか。
ねこじょーかー:発売後1週間で、Amazonの「ゲームプログラミング」カテゴリで新着ランキング2位までくることができました。Twitterでも読んでくださった方の感想が届いたりしています。
西根:Twitterなどで購入した旨のツイートをしてくださる方がたくさんいらっしゃってありがたいです。本当にありがとうございます。
——Playfabに限らず、Unityやゲーム開発技術に関して「この技術に期待・興味がある」「こんな技術ができて欲しい」という展望はありますか?
ねこじょーかー:PlayFabは便利ですが、あくまでもバックエンド開発の補助なので、フロントエンドはUnityの知識が必須となります。なのでUnityの入門者でもソシャゲが作れるような、テンプレートみたいなものができればもっとゲーム開発が楽しくなるのでは、と思っています。
西根:PlayFabに関してですが、UserGeneratedContent(UGC)機能のパブリックプレビューが9月に開始される予定とロードマップで案内されています。これはとても興味深いです。
・Azure PlayFab ロードマップ
https://docs.microsoft.com/ja-jp/gaming/playfab/roadmap/
PlayFabにおけるUGCはユーザー自身が作成したコンテンツをゲーム内で販売できるシステムのことを指します。たとえばマインクラフトではスキン(アバター)などのUGCが販売されています。こうした販売システムが自分のゲームに簡単に組み込めるようになると、嬉しい開発者の方も多いのではないでしょうか。
最近では自身のアバターを持ち込めるゲームなども増えていますが、そういったシステムとも親和性が高いと思いますし、とても楽しみです。
——最後に、この本を購入する方や購入を検討している方へ、メッセージをお願いします。
ねこじょーかー:PlayFabは便利ですが、調べてもあまり細かい情報が出てきません。出てきても英語だったりして、使い方を調べるだけでも時間がかかってしまいます。時間を節約したいのに、こうなってしまっては本末転倒です。ぜひ本書をお読みになって時間を節約し、どんどん開発スピードを上げてください。本書がPlayFabを導入するきっかけとなれば幸いです。
西根:PlayFabは無料で使い始められますし、基本的な機能を使うことは非常に簡単です。まずはなにはともあれ、PlayFabを触ってみていただきたいです。
そのうえで「ちょっとわかりづらいところがある」とか「この機能はどうやって実装するんだろう?」というところがでてきましたら、この本を手に取って参考にしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
——ありがとうございました!
本書は現在好評発売中です。Unityでゲームにオンライン機能の導入を目指す開発者は、ぜひ『PlayFabゲーム開発テクニック』を手にとってみてはいかがでしょうか。
2021年4月にSteamで発表された『黄昏ニ眠ル街』はオリエンタルな世界観の街を歩くことができるシミュレーションゲーム。リリース後も美しい街が話題を呼び国内外から高い評価を得ました。
開発をされたnocras氏は、本作リリースのずっと前からこの世界観のイラストを描き続けていました。イラスト投稿サイトPixivでは「ここに行きたい」というタグがついており、まさに本作はその「ここに行きたい」を実現するものでした。
それでは、nocras氏はどのように「ここに行きたい」を実現したのでしょうか。さっそく見ていきましょう。
――今日はよろしくおねがいします。自己紹介をお願いします。
nocras氏:nocrasといいます。もともと5年くらいゲーム会社で3Dデザインをしていて、そこから会社をやめてフリーのデザイナーとして方向転換をして、今に至ります。
――ありがとうございます。3Dだと、モデリングがメインだったのでしょうか。
nocras氏:主に3Dモデラーですね。キャラと背景。アニメーションとかもしていて、本当3D全般のデザイナーという感じでした。
――そのスキルがあって、今回の開発につながっていったのだと思いますが、本作を作ろうと考えたきっかけはなんでしょうか。
nocras氏:会社にいた頃に携わっていたタイトルは、大規模なプロジェクトで分業体制になっていました。ゲームの一部分しか携われなかったことが多く、いつか自分1人でゲームを作ってみたいなという欲がありました。そんな中、会社を辞める前後に、ちょうどUE4が無料化し、触ってみたら思ったよりすんなり馴染めました。「これなら色々できるんじゃないか?」っていい感触が得られたので、やってみようと思って開発し始めたのがきっかけです。
――たしかに、年々ゲーム開発は大規模になっていますね。ちなみに参加されていたプロジェクトは、何人ぐらい関わっていたのでしょうか?
nocras氏:前職で3Dデザイナーをやっていたときは、数百人どころじゃなくて多分1,000人以上の規模のプロジェクトだったと思うので、把握できないくらい大勢の方が携わっていました。そんなプロジェクトなので、自分がやったと言ってもホント1,000分の1ぐらいの感覚しか得られなくて、「果たして自分が作ったと言えるのか?」と思っていましたね。もちろん、大きいプロジェクトにいくつも携われていたので、経験としてはすごいいろんなことができたんですけど……。やっぱり1人でつくるっていう夢はなかなか捨てられなかったですね。
――1,000人はすごい規模ですね。たしかに、自分で作っている感覚があまり得られないのかもしれませんね。
nocras氏:大規模プロジェクトをやっていると、自分の仕事もどんどん作業化してきてしまって、「果たしてこれは自分が本当にやりたかったことなのだろうか?」っていう疑問も、たまに浮かんできましたね。
――思い描いていたゲーム制作と、どこか違うような違和感を覚えられたのですね。それは、学校を出てすぐゲーム会社に就職されてのことなんでしょうか
nocras氏:2年制の専門学校に行って、そこで3Dソフトの操作とかを覚えました。卒業して最初はAQインタラクティブ(現マーベラス)に就職して3年間勤めて、その後スクウェア・エニックスに2年間勤務していました。
――5年勤められると、業界での経験も積まれて会社でも1人前として見られて仕事も任せてもらえる一方、自分は何がしたいんだろう?と考えることもあるのかなと思います。その中で、フリーになられて外注でお仕事受けられているわけですね。最近はリモートで仕事をされているのでしょうか。
nocras氏:フリーになってからは、ほとんど全部リモートですね。知人も週1出勤とか、半年以上会社行ってないとかって聞きますね。フリーに転向してからはコンセプトアートの仕事をやっているので、そのかたわら趣味の東洋ファンタジー風のイラストを描いています。
――Pixivにアップロードされていますね。「ここに行きたい」タグがつくようなイラストの数々ですよね。
https://www.pixiv.net/users/8103614
nocras氏:PixivやTwitterに上げたりしていますね。会社員のころは3Dがメインで、あまり絵を描いてなかったんですけど、2Dもやってみたいなって。
――すべて描いておられるのですね。イラストのの奥のほうは3Dモデルかと思っていました。
nocras氏:3Dでアタリをとったりはしてますが、自分で描いてますね。
――結構な枚数をpixivにあげられていて、筆が早いなあと思っていました。
nocras氏:1枚描くのに3日とか5日とかやっぱりそれくらいかかっちゃうんですけど、それが早いか遅いかは…どうなんでしょうね。
――だいぶ細かく描かれますよね。東洋風の街並みがいいですね。
nocras氏:結構、自分が描き込んだごちゃごちゃとした絵が好きなので。自分の世界観って、あんまりはっきりわかってないんですけども、やっぱり描いていくうちに自然とこういう東洋風な絵になっていきますね。
――資料も家にそろっていらっしゃるんでしょうね。台湾の九份にも似てますね。
nocras氏:あ、そうですね。写真集買い集めたりとか、画像検索やPinterestで探したりしてますね。暇さえあれば、ずっと資料集めとかしたり、なんか面白い写真とかがあったら、あ、今度この要素を絵に入れてみようかなとか考えてますね。台湾旅行で九份も行ったんですけど、やっぱり素敵なところだったので、インスピレーションが湧きますね。
]]>発売以来多くの称賛を浴びる本作ですが、Steamページを見ると開発者名には京都の会社「スケルトンクルースタジオ」と、同社に所属するトマ・オルソン氏の名前が併記されています。なぜ、同社に所属するトマ氏の名が会社名と併記されているのか。そこには、秘められた開発秘話がありました。
「会社に所属して給料を得ながら、自分のゲームを開発する」という、インディーゲーム開発者にとっては夢のような環境はどのように成り立ったのか。トマ・オルソン氏とスケルトンクルースタジオ村上氏にお話を伺いました。
https://www.youtube.com/watch?v=189d3ttTGAs
――今日はよろしくお願いします。お二人の自己紹介をお願いします。
トマさん:トマ・オルソンです。『Olija』を作りました。よろしくお願いします。
村上さん:株式会社スケルトンクルースタジオの代表取締役をしております、村上と申します。よろしくお願いします。 『Olija』では、プロデューサーとしてトマのサポートをしております。
――トマさんが『Olija』を開発した経緯やきっかけを教えていただけますか
トマさん:『Olija』を作る前に『BackSlash』という、プレイペースの早い対戦バトルアクションゲームをつくりました。次は少し遅いペースでじっくり遊べる、世界観の強いソロプレイのゲームを作ろうと思って、村上さんにゲームのピッチをしました。
――ピッチというのはスケルトンクルースタジオの中でのピッチですか?
トマさん:そうですね。
――ということは、村上さんも『Olija』を見られて、スケルトンクルースタジオとしてやっていこうみたいな形になったんですね
村上さん:そうですね。トマのアイディアを見せてもらって、可能性がありそうなのでプロジェクトを始めようということになりました。
――確かに一人プレイで世界観を描いたゲームになっていますね。銛を投げて移動するところはすごく世界観にもマッチしてるのかなと思いました。あの世界観やイメージについては開発前からお持ちだったのでしょうか?
トマさん:『Olija』 を作り始めた当初は、ゲームプレイの細かい設定などはなく、少しずついろんなことを試しながら作りました。
最初は「オリヤ」と「ファラデー」というキャラのイメージと世界観だけがあって、その二人のストーリーを描くゲーム作ろうと考えていました。二人で旅をするゲームにするつもりだったんですけど、オリヤのAIとかパスファインティングとかすごく難しくて、なかなか思う様なゲームにならなかったんです。
行き詰まった時に、気分転換にアクションの制作にとりかかっていて、銛のアイディアが出てきました。前作『BackSlash』の時代から存在する伝説の神器の銛でのアクションを突き詰めていくと、結果的に『Olija』はプレイヤーと一緒に行動するキャラクターではなく、時々出会うキャラクターになりました。
――世界観と実際に動かした内容を調整しながら開発が進んだのですね。となると、企画の段階だと実はこんなのがあったけど実装しなかったものもあるのでしょうか。
トマさん:いやー、色々ありました。いろいろなことを試しにやっていたので。
村上さん:『Olija』の開発は、僕だけじゃなくて社内のみんなに応援してもらうため、定期的に社内向けのプレゼンををやっていました。テストプレイ会で、遊びながら意見を出し合って、面白くない部分や、試してみたら面白いところが出てました。コントローラーのボタン配置や、ゲームデザインの部分は特によく変わっていました。
ただ、最初のストーリーの部分だけはトマの頭の中にイメージがあって、変わる事はなかったです。一人での開発なので、どうやったらゲームを完成させる事ができるか、ストーリーを理解してもらえるか、気持ちいい操作感をどう出すか、色々な要素でゲームがどんどん変わっていきました。
――アクション面では、例えば「敵がコイン落として武器を買って主人公を強くする」とか「経験値を貯めて主人公が強くなる」などの要素があるゲームもありますが、そういう要素も取捨選択していったのでしょうか
トマさん:最初は経験値を積んで新しいスキルを買えるシステムがあったんですけど、システムを活かしたバトル要素を深く作りこめなかったので、やってみても全然面白いと思わなかったんですよね。最終的に、スキルを追加する帽子は入れましたが、RPGのように戦闘の深い楽しさを出すところまでは、出来ませんでした。
――わかりました。オリヤとファラデーですが、どういうふうに思い付いたんでしょう。
トマさん:オリヤの最初のアイディアですか?……分からないですね。どこから出てきたのかな。オリヤを思いついたキッカケは自分でも覚えていないのですが、二人がお互いに喋れないというのは最初から考えていました。それはすごく大事なところです。
村上さん:トマの作品は、『Olija』が2作目となり、今回初めてのストーリー重視の作品にチャレンジしました。近くで見ていて感じたのは、計画的にストーリーの脚本を作るとうよりは、トマの中にある経験とか想いみたいなのが勝手に出てきて物語が生まれてきたという気がします。初めての作品って、小説とかでも自分の原体験なんかが出てくることあるじゃないですか。
――確かに。インディーゲームは作家の内面が反映されるものが多いのですが、ストーリー性のあるタイトルでは特に多いように思いますね。
村上さん:そういう作品に近いのかなと思っています。トマはどう思うか分かんないですけど、僕が見ていると「ファラデー」と「オリヤ」はトマと奥さんなんですよね。トマは日本という異国に来て、今でこそ日本語を理解できますが、最初は全然わからなかっただろうし。奥さんは京都の地元の人で、彼女には元々ある繋がりやコミュニティがあったので。きっと奥さんと一緒に居ても、孤独を感じる場面があったんじゃないかと思います。 ゲーム中の二人からも、同じ様な印象を受けています。
――ああ、そういう経緯もあったのですね。たしかに、海外から日本に来て暮らすのは知らない世界に一人で来たようなものですよね。
村上さん:トマは奥さんの故郷である日本に来た異国の人で、心からつながれる人を作るというのはすごく大変で時間がかかったと思います。そういう彼の原体験が作品に表れているのかな、と勝手に思っています。
トマさん:その上で、『Olija』でなぜしゃべれないところが大事かというと、私が日本でいろんな人と会ったときに、言葉の理解ができなくてもすごく優しい雰囲気を感じた経験にあります。言葉の理解がゼロの時でも良い関係ができる、言葉は全然できなくてもいい信頼ができる、という経験が『Olija』に反映されていると思います。
――トマさんが日本に来た時の経験や感じたことが、ゲームに直接反映や表現されているわけではないんですけど、気持ちのところが反映しているのかもしれないですね。
]]>11月7日18時50分から、インディーゲームをテーマにした番組「INDIE Live Expo Ⅱ」の放送が開始されます。
「INDIE Live Expo Ⅱ」は、インディーゲームの紹介番組です。英語と中国語に翻訳され、YouTube Live / Twitter(Periscope) /Twitch / bilibili / ニコニコ生放送と、数多くの動画プラットフォームで同時配信されます。イベントの主催は、株式会社リュウズオフィスを中心とし、多くの企業が連なる運営母体「INDIE Live Expo実行委員会」です。
今回から、IndieGamesJp.devはメディアパートナーとして本イベントに参画しております。そこで今回、第二回への取り組みと意気込みについて、株式会社リュウズオフィス代表の小沼竜太氏にあらためてお話を伺いました。
——「INDIE Live Expo Ⅱ」がいよいよ始まります。反響はいかがでしょうか。
前回は出展本数が総計で150タイトル以上あったのですが、今回はそれを上回るタイトル数が集まっております。イベント運営の中核を担うのはリュウズオフィスですが、二回目より会社組織を横断したINDIE Live Expo運営チームを発足して臨んでいます。変わらずPLAYISM様には協力をいただき、海外メディアや海外パブリッシャー・ディベロッパーへの声がけも含めて行っています。
——今回から新しく加わった企画はなんでしょうか。
INDIE Live Expo Awardsの発表を前回行わせていただきましたが、世界中のインディゲームを愛するゲーマーの皆様や、審査員団のメディアの審査などを経て、大賞と各賞を発表させて頂きます。
——第一回目のエンディングで、既に今回の日程が電撃発表されました。その経緯と、これまでの準備期間でどのような反応がありましたか?
クリエイターの皆様より、INDIE Live Expo IIに向けて情報を用意しよう、締切だと思って頑張ろう、という声がありました。INDIE Live Expoを一つの節目として捉え、拡散の機会と認識して頂いたことをうれしく思っています。
また、国内外を含めて、前回を遥かに超えるペースでタイトル情報が寄せられたことも励みになりました。
——INDIE Live Expo Awardsは、どのような目的で設立されたのでしょうか?
INDIE Gameが表彰される機会、注目を集める機会を増やすというのが第一の目的です。
今回は第一回目で試験的な取り組みにはなるものの、このAwardsを機会にタイトルが注目を集められたら、それだけで成功だと思っています。継続することで、INDIE Gameクリエイターにとって目標の一つになれたとしたらそれにまさる喜びはありません。
——ノミネーションタイトルには、残念ながら今回は日本のタイトルが少なく感じます。選考基準はどのような形で進められたのでしょうか?
まずは一般の投票を募り、それともとにノミネートタイトルを審査員団で選出しました。結果として、日本のタイトルは少なくなってしまいました。次回以降、日本のタイトルも増えていくと良いとは個人的には思っています。
——たとえば「国内インディー賞」みたいな枠があるといいなと思いました。ぜひ今後、ご検討ください!
——第一回目の出展クリエイターの反応はいかがだったでしょうか。
第一回目に出展したタイトルの中で、非常に多くのウィッシュリストを獲得したタイトルや、パブリッシャーが見つかった、契約が決まったなどの報告をいただきました。あるいは、単純に販売数が伸びた、などのお話も頂いております。
まさに、インディーゲームに対して、宣伝をする機会を提供することを目的にはじめたイベントですので、そうした反応があったことがなにより嬉しかったです。
——それは何よりです!ほかに、ストリーマー(YouTuber等)の反応はいかがだったでしょうか。
ストリーマーの皆様の応援放送を通じて、INDIE Live Expoそのもの、あるいは「インディーゲーム」という概念を初めて知った方が大勢いたようです。
常日頃からインディゲームを追いかけ続けている人以外にも届いた、ということだと思っております。
——インディーゲームの認知が改めて広がった、ということですね。そのほか、第一回目で手ごたえを感じたことは何でしょうか。
まずは初めてのイベントであるにも関わらず、全世界で730万超の視聴数を獲得したこと。そして、インディゲームという概念を初めて知った人が現れたことでしょうか。
参加頂いたクリエイターの皆様から、応援のメッセージや、売上伸びたよ!といった報告を頂いたことがなによりの手応えとして感じました。
——第一回目で上手くいかなかったことや、それに対する今回の改善はありますか?
制作運営チームの負担が大きすぎたことでしょうか。今回は組織的にチームを編成することで、負担軽減につとめました。
——今回も海外へ情報拡散は期待できそうでしょうか?
前回と同じく、BiBiliの協力を得て、中国語圏での放送を行います。前回に引き続き、BiliBiliで著名なストリーマーが応援してくださることになっており、拡散に期待が持てる状況です。
——最後に、今回の意気込みと今後の展望をお願いします。
「INDIE Live Exop」はコロナ禍の中で生まれました。世界の交流が物理的に分断された中で、その分断を乗り越える交流の場、そして失われたインディゲームタイトルの宣伝の場を提供したい、という想いから、「INDIE Live Expo」は立ち上がりました。
純粋に前回を上回る情報量をお届けし、前回を上回る視聴規模、すなわち宣伝をする場としての価値を高めていきたいと考えております。また、世界のゲーマから投票を募るAwardsは、まさに分断を乗り越えんとする試みの一つです。第一回目の取り組みとなりますが、翌年以降も継続できれば、と考えております。
今回も、大変ありがたいことに多くの企業様にスポンサードを頂きましたが、三言語で同時に全世界に向けたオンラインイベントの制作はやはりコストがかかります。継続的な規模の拡大を達成しつつ、持続可能な取り組みとしていくために、引き続き広くスポンサー企業を募ると共に、収益化について力を入れていきたいと考えています。
とはいえ、なにより視聴者の満足度と、情報をお寄せ頂いたクリエイターの皆様の満足度を第一に目指していきたいと考えています。
——放送楽しみにしております。お答えいただき、ありがとうございました!
INDIE Live Expo公式サイト
https://indie.live-expo.games/
2020年11月6日、書籍『UniRx/UniTask完全理解 より高度なUnity C#プログラミング』が発売されます。本書の発売を記念して、筆者のとりすーぷ(@toRisouP) こと 打田恭平氏にお話を伺いました。
——自己紹介と本書の紹介をお願いします。
とりすーぷという名前でネット上では活動しております。ゲームクリエイターになりたい!という夢を持ちながらプログラミングを勉強し、学生時代に「NITORI BOX」、社会人になってから「ハクレイフリーマーケット」という同人ゲームをリリースしました。
両方ともC#を使って開発しており、C#に昔からどっぷりといった感じです。
これらの同人ゲーム開発や趣味プログラミンにおいて得た知見を備忘録としてブログに書いてたところ評判が良かったため、積極的にブログの執筆や登壇などを行うようにしていたところMicrosoft MVPを受賞することができました。とてもありがたい限りです。
——500ページという凄いボリュームになりました。本書はどのくらいの期間をかけて書きましたか?また、おひとりで全て書かれたのでしょうか。
執筆を開始したのは2017年なのですが、諸事情があり途中執筆できない期間もあり正味の執筆期間は2年くらいだと思います。UniRx/UniTaskの作者の河合様のレビューを頂きつつ、執筆は私一人で行いました。また執筆後のチェックに友人や会社の人にも手伝って頂きました。ありがとうございました。
——本書をどんな人に読んでもらいたいと思いますか?
本書はUniRx/UniTaskの基礎的な使い方や機能をまとめたものとなっています。そのためUniRxやUniTaskをこれから触ろうとしている、すでに使っている人には是非読んで頂きたいです。
「C#の基礎についてはだいたいわかっており、やりたい機能はだいたい実装することができる。だけど素のC#の書き方にやりにくさを感じており、なにか便利なライブラリが無いものか?」と感じている人には特にオススメできると思います。
——本書を通じて、Unity開発者にどのような事を伝えたいですか?
UniRxは非常に便利で強力なライブラリである反面、学習コストが高く雑に扱うとプロジェクトを逆に複雑怪奇にしてしまうというデメリットがあります。今まではUniRxについて体系的に学べる資料が乏しく、なんとなくうろ覚えな知識でUniRxがプロジェクトで乱用されてしまう場合が多かったためです。
その結果、このデメリットのみが取り沙汰され「UniRxは難しいからうちの会社では利用禁止になった」みたいな声をよく耳にすることがありました。
私はこれは非常に勿体ないことであり、「臭いものに蓋をする」という対応で済まされていることが残念で仕方ありませんでした。そのため本書は「体系的に学べる、UniRxに特化した学習資料が無いのであれば自分が作る!」というモチベーションで執筆しました。
少しでも学習コストを下げ、すべてのUnity C#プログラマがUniRxについて学習できる機会を得られるようにしたいと考えています。
——本書を書いていく中で苦労された点はありますか?
まずUniRxの「Operator(オペレータ)」の機能をまとめるのが非常に大変でした。
100個弱あるすべてのOperatorとそのオーバーロードを列挙し、実装を読みつつ挙動をまとめ、それらのマーブルダイアグラムを作成する必要がありました。この作業だけで夏が終わった覚えがあります。
また、本書の執筆終盤においてUniTaskのバージョンが2.0系にアップデートされた際の追従もかなり大変でした。ほぼ毎日のように仕様変更が入り、そのたびに挙動をチェックして本書にまとめるという作業を繰り返していました。その際に、仕様の不備や不具合を見つけUniTask側に修正を入れてもらうなどもありましたので、大変ではありましたがライブラリ側の品質向上にも繋がったので結果としは良かったと思います。
——本書の各章のなかで、特に力を入れた箇所はありますか?
特に力を入れたのは第2章および第4章です。
第2章ではUniRxの基礎である「Observable」について解説しており、UniRxの動作原理やインタフェース、Hot/Coldといった特性について図を用いてわかりやすく解説をしています。
第4章ではUniRxが提供するすべてのOperatorについて図を用いて挙動を解説しており、UniRxを使う際に何度も繰り返し参照することになる章になるであろうと考えています。
——書籍発売の告知に対する反応はいかがですか。
まさしく「かゆいところに手が届く」という本だったんだなと思いました。待ち望んでいた!という声が多くとてもありがたいです。
——UniRx/UniTaskに限らず、C#やUnity全般に対して「この技術に期待・興味がある」「こんな技術ができて欲しい」という展望はありますか?
個人的には今はリアルタイム通信をUnityでどう扱うかに興味があります。まだこのあたりは研究中なので深くお話できるようなことはないのですが、「サーバもクライアントもすべてC#で作ってしまう」というC#大統一理論を自分は支持しています。
——最後に、この本を購入する方や購入を検討している方へ、メッセージをお願いします。
本書はUniRxやUniTaskの基礎について重点的に解説しています。「名前は聞いたことあるけど難しそうで及び腰になってしまう」という人に是非オススメしたいです。
一方でUniRxやUniTaskにフォーカスを当てる都合上、C#の基礎的な機能(LINQやラムダ式、async/awaitなど)についての解説はかなり控えめになっています。そのため「C#にまだ自信がない」という人はまず先にC#の基礎について学習をされてから本書を手に取ることをおすすめしたいです。
——ありがとうございました!
Unityでゲーム開発をするすべての開発者に必須の書、『UniRx/UniTask完全理解 より高度なUnity C#プログラミング』は11月6日発売です。オンライン書店では予約が始まっています。ぜひご購入下さい。
6月6日20時から、インディーゲームをテーマにした番組「INDIE Live Expo」が開催されます。
3時間にわたって放送される本イベントは、英語と中国語に翻訳され、YouTube Live / Twitter(Periscope) /Twitch / bilibili / ニコニコ生放送と、数多くの動画プラットフォームで同時配信されます。イベントの主催は、株式会社リュウズオフィスと株式会社ワイソーシリアスからなる「INDIE Live Expo実行委員会」。新型コロナウィルス状況下におけるゲームイベントのオンライン化において、数多くの協賛を引き下げて新登場した「INDIE Live Expo」とはどういうもので、何を目指しているのか。IndieGamesJp.devでは、リュウズオフィスの小沼竜太氏とワイソーシリアスの斉藤大地氏にインタビューを行いました。
——本イベントの開催体制についてご紹介ください。
小沼:INDIE Live Expo(以下、ILE)の運営を担当しております、株式会社リュウズオフィスの小沼です。普段はゲームメーカーさんのマーケティングや宣伝のお手伝いをしています。有名なところだと、「ペルソナ」シリーズや、「真・女神転生」シリーズ、そして「Fate/Grand Order」は立ち上げ前から携わっています。
『FGO』や『ペルソナ』の影に潜むエージェント・リュウズオフィス──『マンガで分かる!FGO』や『カルデア放送局』を企画したその会社に迫る
斉藤:特別協賛の株式会社ワイソーシリアス代表の斉藤です。インディーゲームの編集者と名乗ることが多いです。
(ディレクターでもプロデューサーでもない「ゲーム編集者」とは一体何なのか。『Touhou Luna Nights』などの仕掛け人、斉藤大地氏インタビュー)
プロデュースした代表作は「殺戮の天使」「touhou luna nights」、近年では「ロードス島戦記~ディードリッド・イン・ワンダーラビリンス~」「幻想郷萃夜祭」です。
インディーゲームについては、昔所属していた株式会社ドワンゴで「自作ゲームフェス」というコンテスト&生放送番組のイベントを担当して以来、ずっと仕事にしています。電ファミニコゲーマーというメディアの副編集長を務めていたこともあります。
小沼:ILEは、リュウズオフィスが運営・制作を担当し、斎藤大地さんのワイソーシリアスが費用の大部分を負担する特別協賛、そしてPLAYISM様の協力によって開催しています。
——イベントを立ち上げたきっかけは何でしょうか?
斉藤:小沼さんとはドワンゴで電ファミニコゲーマーの副編集長時代に取材して以来、非常に仲良くさせていただいています。ここ半年くらい、インディーゲームをおすすめしていたら、小沼さんが非常にハマってしまって。
小沼:3-400時間ハマりこんでしまい、体調を崩しかけたんですよ。インディーゲームって面白いんだな、と。これは一生退屈しないんじゃないかと思ったくらいで。
斉藤:そのきっかけは去年末、僕が中国のBitSummitのようなイベントのWePlay Game Expo(国の規模からか会場がめっちゃでかくてびびります)でブースを作ったのです。小沼さんに見てほしくて、来てもらったんです。そこで、僕たちは中国のユーザーとすっごい仲良くなりまして。
小沼:イベントのあとの大宴会がすごかったんです。百何十人いたのかな。白酒をみんなで飲んで。お互い、日本語・中国語で騒いで。何言ってるかわからないけど、お互いなんとなくわかる、みたいな。あんなに楽しい飲み会ははじめてでした。
斉藤:ゲームで国を超える友情が生まれることを確信した我々は、これは今年はたくさん海外行きましょう、次は台湾だ、gamescomだ、といろいろ計画していました。そんなさなか、COVID-19ですべて中止です。すごい強くフラストレーションを持ったのを覚えています。
小沼:実は前々から、日本から発信する、国を超える生放送というのをやってみたかったんです。今年はその準備と思い、世界中をめぐる予定でした。そこにCOVID-19が来て。フラストレーションと絶望を感じましたが、冷静に考えてみると、むしろ、日本から、世界に発信する番組を立ち上げるなら、今ではないか?と思ったんです。
斉藤:小沼さんに、インディーゲームがプロモーション機会を失ってるんですよね、とちょっと話したら、すごい盛り上がりまして。もともとインディーゲームを日本から海外に届ける場所はとても少なかったですし、これはいいタイミングだと。
小沼:こんなに面白いものを、人に伝えるチャンスがない、というのはありえない、と。
斎藤:リュウズオフィスという会社が、国を超える生放送番組の企画・制作ができる会社なのと、小沼さんの行動力は知っていたので、やろう!とその場で決まってしまいました。
今回パブリッシャーという立場を超えて世界中に向けたご連絡の手伝いをしていただいているPLAYISMの水谷さんはじめ、人のご紹介と、成立に必要な経費は一旦全て出しますという特別協賛をさせていただきました。
立ち上げて半年ちょっとの短い会社ですが、アーリーアクセスとはいえ2本、続けてヒットを出させていただき、業界への感謝の気持ちをいまこそ表現したいと思いまして。
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