東京ゲームショウの期間中に、パブリッシャーとのオンラインミーティングが組めるイベント「MeetToMatch The Tokyo Edition 2024」が開催されます。
オンラインまたは現地で、全世界のパブリッシャー、投資家、開発者とのミーティングがセットアップできるマッチメイキングサービスです。MeetToMatchはGDCやgamescomなどのイベントを始めとした、毎年世界各地で開催されている60ものゲームイベントと提携しています。日本においては2022年から「BitSummit」の開催期間と連動した取り組みを行っていましたが、今回は東京ゲームショウと合わせた開催となります。
インディーゲーム開発者にとっては、世界中のパブリッシャーとのミーティングアポ取りに使えるほか、翻訳やアート制作などの開発パートナー探しにも活用できます。
Tokyo Edition 2024の概要は以下の通りです。
日程:2024年9月26日~29日
場所:現地、もしくはオンライン参加
無償チケット申請:フォームより申し込み(日本の開発者限定)
MeetToMatchは通常、イベント参加チケットの特典として提供されたり、有償でアクセス権が販売されたりしています。しかし今回は、日本の開発者に幅広く使ってもらうことを目的として、申請で無償のチケットが提供されます。(※海外からのビジター開発者は無償チケットの申し込みはできません。)
また、TGS現地でのミーティングについては、専用のブースが提供されるものではないため、別途ミーティングをする場所を確保する必要があります。
インディーゲーム開発者の課題のひとつに、自分のゲーム作品に興味を持ってもらえるパブリッシャーからいかに見つけてもらうか、というものがあります。MeetToMatchは世界中のイベントで使用されている実績があり、オンラインのみの参加も可能です。
アカウントを作成して登録することで、自分からパブリッシャーに対してミーティング希望のメッセージを送信できる他、パブリッシャー側からコンタクトが来る場合もあります。
ただし、相手の企業によっては英語のやり取りが必要になります。海外のパブリッシャーにミーティングの交渉を行う場合は、英語でのコンタクトを行いましょう。また、当日のミーティングにおいて日英の通訳が必要かどうか、そのパブリッシャーが通訳をつれてきてくれそうかどうかを確認するとよいでしょう(MeetToMatch自体は通訳の機能を持ちません)。
MeetToMatchで実際にオンラインミーティングが成立しなくても、アカウントを作って登録企業を見に行くことにも意義があります。どのような会社が参加し、パブリッシングにオープンなのかを調べることができます。
今回は特別に無償チケットが日本の開発者に提供されており、良いチャンスとなっています。今はゲームが完成していない場合でも、まずは登録して企業リストを見てみることをおすすめします。
東京ゲームショウ2024(以下、TGS2024)は今年も、インディーゲームコーナーの無料出展ブース枠である「Selected Indie 80」の募集開始を公式サイトにて発表しました。
応募の締め切りは2024年4月30日(火)17:00 <日本時間>まで、選考結果の連絡は5月中旬ごろとなっています。
(※去年と異なり、締め切りが日本時間17時である点にご注意ください!)
応募作品は事務局にて審査され、選考内容に応じて出展が決定されます。
また、出展者はゲームアイデアを競うプレゼンテーションイベント「センス・オブ・ワンダー ナイト 2024」(以下、SOWN2024)の候補にも自動的にエントリーされます。
「Selected Indie 80」に出展可能な作品は以下のとおり。
なお、本企画の条件に当てはまらない場合や、『Selected Indie 80』に選考されなかった場合でも、「インディーゲームコーナー」での通常の出展(有料:法人のみ)の検討が可能であると説明されています。
また、出展が決まった方には「Steamに設置するTGS特設サイトにて出展タイトルを掲載(Steam向けタイトルが用意できる場合のみ)」「ビジネスマッチングシステム(商談アポイントメント)の利用」などの特典が与えられます。
また、SOWN2024の候補にも自動エントリーされる点について、「Selected Indie 80」自体の出展条件には、以下のSOWN入賞の条件である「新感覚」、「新常識」、「創発性」、「意欲刺激」、「驚き」の五項目は連動していません。
これらSOWNが求める要件に沿わないインディーゲームは、単にファイナリストにノミネートされないだけであり「Selected Indie 80」に出展することとは要件が切り離されています。
東京ゲームショウは、国内に限らず、海外の開発者やメディア、ゲームファンも多く訪れる大型イベントで、小~中規模イベントでは得られないような様々な意見を得られる場でもあります。
また、選考を通れば、無料で出展できるのも魅力です。自身のタイトルをアピールするうえでこの上ない機会ですので、ぜひ申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。
東京ゲームショウ2023(以下、TGS2023)が、インディーゲームコーナーの無料出展ブースである「選考出展」枠を「Selected Indie 80」として刷新することを公式サイトにて発表しました。現在、出展タイトルを募集しています。応募の締め切りは2023年4月30日(日)24:00 <日本時間>までとなっています。
応募作品は事務局にて審査し、出展を決定します。また、出展者はゲームアイデアを競うプレゼンテーションイベント「センス・オブ・ワンダー ナイト 2023」(以下、SOWN2023)の候補にも自動的にエントリーされます。
「Selected Indie 80」に出展可能な作品は以下のとおり。
なお、「本企画の条件に当てはまらない場合や、『Selected Indie 80』に選考されなかった場合などは、「インディーゲームコーナー」の通常の出展(有料:法人のみ)の検討が可能であると説明されています。
また、SOWN2023の候補にも自動エントリーされる点について、「Selected Indie 80」自体の出展条件には、以下のSOWN入賞の条件である「新感覚」、「新常識」、「創発性」、「意欲刺激」、「驚き」の五項目は連動していません。これらSOWNが求める要件に沿わないインディーゲームは単にファイナリストにノミネートされないだけであり、「Selected Indie 80」に出展することとは要件が切り離されています。
東京ゲームショウは久々に幕張メッセ全館を使用した形に戻り、海外からのメディアや来訪者も期待できます。自分の作品を幅広いゲームファンに見せたいと考えている開発者は、ぜひ申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。
東京ゲームショウ2022(以下、TGS2022)のインディーゲーム選考出展枠にて、スポンサー5社が加わることが発表されました。
今回スポンサーとして名を連ねる企業には興味深いものがあります。プラチナスポンサーにソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)、任天堂といったプラットフォームホルダー両社の参加は例年通りですが、新たに「講談社ゲームクリエイターズラボ」と「iGi indie Game incubator(以下、iGi)」、機器スポンサーにはPC周辺機器を扱う企業のエルザ ジャパンが加わっています。
注目なのは、いずれもここ数年の間に勃興した新しいインディーゲーム支援を行うコンテストやプログラムが加わっている点です。講談社ゲームクリエイターズラボは、1,000万円の開発資金提供が付随するパブリッシングサービスとして話題を呼んでいます。また、iGiは産学官連携の支援プログラムとして開発者がパブリッシャーを獲得するためのメンタリングを行っており、第二期がスタートしたばかりです。
(弊誌を運営しているヘッドハイは、iGiにアドバイザリーとして参加しています)。
過去のTGSにおけるインディー出展を振り返ると、任天堂やSIEのようなプラットフォームホルダー企業がスポンサーとして参加する形が多かったです。それを思い出すと、スポンサーが増加した今後は開発者のチャンスが大きく増えるのではないか、と考えられます。
TGS2022のインディーゲーム選考出展の応募は弊誌で既報のとおり、今月5月27日までとなっています。
]]>インディーゲームコーナーの詳細については、PDF資料が公開されています。
https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2022/jp/exhibitor/index.html
現在のところ、無償で出展できる「選考出展」については、昨年問題となった「『センス・オブ・ワンダー ナイト』の選考基準を満たすタイトルのみ」という条件が無くなっているように見られます。
有償出展の場合は、CESA非会員の最小出展費用は25万円となります。出展申し込み締め切りは2022年5月27日です。インディーゲームコーナーについては、さらなる応募要項が4月に公開されるとのことです。
昨年においてTGSは、これまで広く選考対象であった「インディーゲームコーナー」の無償出展枠についてルールを変更しました。「新感覚」「新常識」「創発性」「意欲刺激」「驚き」といった新しいジャンルを切り開くタイプのゲームアワードである『センス・オブ・ワンダー ナイト』の対象作のみが応募できるようになった、という変化がありました。
『センス・オブ・ワンダー ナイト』 は新規性のあるゲームを中心に評価するもので、このアワードそのものは存在意義の大きな取り組みです。実際にここから、「PICOPARK(旧名PICOLECITTA)」「Ace of Seafood」「ハルカノカナタ(旧名:謎と記憶のラビリンス)」など、日本の作家の受賞作品も生まれています。
しかしながら、インディーゲームコーナー全体の出展ルールにもこうした「新規性」ルール縛りが発生してしまったのが昨年であり、出展を考えていた開発者に二の足を踏ませることとなりました。インディーゲーム開発者は、世の中にない全く新しいものを作りたいという方ばかりではありません。TGS2022においては、現時点ではこのルールはなくなったように見受けられますが、4月発表とされている詳細で追加される可能性もあります。情報が公開され次第お伝えいたします。
[UPDATE 2022/4/1]
インディーゲーム選考出展の受付が開始され、SOWN準拠の昨年のルールはなくなりました。
『カプリコン・1』という映画を知っていますか? これは人類初の火星上陸をメディアのなかで “実現したように見せるSFサスペンス映画です。
人類初の有人火星探査を目指すのですが、実際に火星に行くには生命維持システムに問題があるのが発覚。しかし計画は中止できず、火星上陸の体裁を保つために事実の捏造に手を出してしまうのです。宇宙船を無人で発進させ、クルーが上陸した模様は砂漠にあるセットで行い、カメラにその模様を収めることで火星上陸を演出するという内容です。
この映画がアポロ11号計画の月面着陸をモデルにしていることは明らかでしょう。あまりによく出来た映像のように見えた着陸の模様から「本当はアポロは月に行っていないのではないか。あれはハリウッドで撮られたものではないか」という陰謀論が当時ささやかれました。
アポロ計画はベトナム戦争の最中に行われました。戦線に立つ兵士は、月面着陸に熱狂するアメリカの国民たちを見ながら「ベトナムの泥沼を這いずり回って暮らす、数十万の我々全員よりも、月面にいるたった2人の男のことをずっと心配していたのだ」と距離を感じていたといいます。
筆者がライターとして東京ゲームショウ2021(以下、TGS2021)の現場へ足を運んだ瞬間、そんな『カプリコン・1』の内容を思い出してしまいました。
幕張メッセのわずか10分の1のスペースで運営されるゲームショウの光景は、コロナ以前を思い出すと凄絶さを感じたのは否定できません。そして、「オフラインの現場も賑わっている」という状況にするために、今回はYoutuberやVtuberといったインフルエンサーによる、会場の動画や写真による拡散が主力となっている構図なのです。
たしかに様々なインフルエンサーによる動画だけを見れば、TGS 2021の現場はある程度「実体を持った」イベントに見えるでしょう。昨年は新型コロナウィルスの蔓延により、感染対策のため急遽オンライン開催に切り替えたゆえに、うまく行かない部分も見えたものでした。その経験からか、今年はオンラインとオフラインを併用することでイベントの盛り上げにチャレンジしているように映りました。
すでに各メディアでイベントの総括も出てきています。たとえばGame Watchの中村聖司氏は「過去に経験したことのない特異なショウだと感じた」と述懐していました。
中村氏は今回のインフルエンサー向けに踏み切った施策を見ながら「今回もっとも貧乏くじを引いたのはメディア、もっと言えばゲーム専門メディアだったかもしれない」とも語っています。現場のみで言えば、一般客と企業で現場の熱を生んでいた過去とあまりに違っていたことは、筆者も同意しています。
ただ筆者が思うのは、コロナ以前からすでに世界的にゲームショウという形式自体が、すでにオンライン寄りのインフルエンサーによる拡散を目した状況になっていたのではないか? コロナとはきっかけに過ぎなかったのではないか。ということです。
たとえば2018年の西田宗千近氏によるE3レポートを振り返ってみましょう。すでに今から3年前の時点で「業界関係者のためのイベントというよりも、ゲームファン、それもゲームを介したコミュニティを重視したイベントになっている印象が強い」と評されており、とりわけEpic Gamesの『フォートナイト』ブースの活況に触れ、「新しい情報はないのだ。だがそれでも、ゲームファンは好きなゲームの『お祭り』に参加すべく、E3にやってくる」と語っています。
特に興味深いのは「E3のゲーム展示が新しい情報をゲーマーに伝えることから、ゲーマーを楽しませ、その様子が広く伝わるように工夫する形になっていることに気付く」と指摘していることでしょう。
「帽子やお面を配り、こちらもお祭りのような仕立てになっている。これも、記念撮影をしてもらうためのしくみだ。そうやって撮影された写真がSNSを介して拡散していけば、結果的にゲームのプロモーションになる」と、この時点で来場者の活況がオンラインで広まっていく可能性について言及。「情報についても、メーカー自身が発信することが可能な今、メディアへの依存度は減った。また、YouTuberやブロガー、ゲーム実況者などの『ファン』の力も強くなっている」という記述も予見的でした。
実際、E3に長らく関わってきたジェフ・キーリー氏の発言を振り返ってもオンラインへ比重を強める発言を残しています。「デジタルイベントへの移行は、パンデミックによって加速されたものの、業界はいずれにせよその方向に進み始めていると考えている」とキーリー氏は考えており、現在「Summer Game Fest」というオンラインイベントを実践。いまのビデオゲームを取り巻くイベントのあり方に適応した形を目指していました。
当然コロナ禍もありますが、ここ数年の状況を翻るに、TGS 2021が実地開催とオンラインのハイブリット化となったのは、ある意味では世界的なゲームイベントを取り巻く状況とは無関係ではないのではないか、とも考えています。
問題は、TGS全体がオンラインにて実地開催のような熱量を実現する試みをする一方で、その恩恵を受けられなかったのは、インディーゲーム側です。
TGSによるインディーゲームへの対応は、オンラインに転換した昨年から決して良いものではありません。今年はどうだったかを振り返ると「昨年よりましだが、クリエイターにイベントの効果があったかというと難しい」と言わざるを得ないでしょう。
今回、現地にてインディーゲームが展示されたのはパブリッシャー契約した作品に限られています。もっとも大きいブースはハピネットによるもので、同社のパートナー企業であるPLAYISMやPikiiと契約したタイトルのみ展示されていました。
ハピネットブースではインフルエンサー向けの施策として「試遊するとガチャガチャが一回できる」というサービスが用意。『Amoung Us』のフィギュアやゲームのDLキーなどが景品となっていました。
しかしこれが個々のタイトルをインフルエンスする効果があったかはわかりません。筆者はゴールデンボンバーのメンバーで、ゲーム番組を持つことでも有名な歌広場淳氏がガチャガチャを行う現場を目撃しましたが、インフルエンサーが映える絵になってもゲームタイトル自体がクローズアップされる結果になっていないのではないか、とも思いました。
大手のブースから離れると、インフルエンサーとして映える展示とは遠ざかります。今回インディータイトルを取り扱うパブリッシャーには、WhisperGamesなど中国のパブリッシャーが出展しましたが、会場の端の方に静かに位置していました。
こちらは開発に14年をかけたフリーゲームの世界展開版『ASTLIBRA Revision』が展示されるなど、見所あるタイトルが見受けられました。しかし今回のTGS 2021が目指すインフルエンサーの拡散という意味ではあまり効果的ではなかったのではないでしょうか。
こうした状況のなか、1つのタイトルとしては最大の展示となったのは『RPGタイム!~ライトの伝説~ 』でした。ゲームクリエイターを目指す少年を題材としているのもあり、ブースでは小学校の教室を再現する力の入ったものです。試遊はもちろん、インフルエンサーによる動画や写真が映える内容だったと言えるでしょう。本作がアニプレックスとパブリッシング契約したことによって、今回のような展示が可能になったのだと思われます。
ではパブリッシャー契約していない、個人で出展しているケースはどうか? これは昨年から引き続き、非常に厳しい状況だったと思います。
今年のインディー参加の応募条件は、弊誌でも紹介した通り「「センス・オブ・ワンダー・ナイト」(以下、SOWN)に選考される条件を満たしたタイトルのみの出展」との条件に変更。条件に該当しないタイトルは有償出展となりました。ところが有償の場合は20万円という小さくない費用となり、インディーにとってはかなりの出費になってしまうのです。
では実際に出展した作品は、TGS 2021をオフラインでもオンラインでも来場したゲーマーたちにアプローチできたのでしょうか? これはほとんどできていなかったと感じられました。
今回、幕張メッセの現場には、インディー専門のスペースはありません。「SOWNに応募された一覧」という名目でインディー作品が一同に展示される事もありませんでした。インディーで出展した作品は、YoutubeのTGS公式チャンネルによるアップロードとTwitterによるオンラインでの告知のみです。
オンラインでの告知にどの程度の効果があったのでしょうか。上の画像をご覧ください。TGS公式チャンネルにアップされたインディータイトルの一覧です。見ての通り漠然としており、再生数の伸びも厳しい感触です。
さらに各タイトルのYoutube動画やTwitterでの告知には、「各タイトルの公式サイト」や「ストアへのURL」という重要な誘導もなく、試聴した人へ次のアクションを作る導線はありません。さらに海外作品は作品説明を原語のまま詳細欄に記載しています。すぐにゲームの情報を読み取ることができないのです。
ではオンライン配信ではどうでしょうか。TGS VRでは実質インディーの出展は見かけられませんでしたし、TGSオンライン配信でもインディー出展の放送は、SOWNのファイナリストのほか、IGN JAPANの放送で一部のインディータイトル(やはりパブリッシャー契約を果たしたタイトルです)がクローズアップされるまでに留まっています。
すなわちオンラインでもオフラインでも、公式では来場者にインディータイトルを伝える姿勢がとても小さいということです。SOWNですらも、ファイナリストに残った作品が来場者に興味を持たせる導線は少なく、イベントによってどれだけ各ゲームに新規のプレイヤーが生まれたかも考えさせられました。
オフラインのTGSではインディー専門のブースから来場者と交流できたり、あるいは会場を訪れたパブリッシャーに見てもらうことで、ビジネスに繋げるチャンスのような恩恵がありました。
しかし今回の状況を見る限り、個人で開発中のタイトルやパブリッシャーの付いていないタイトルだとTGSに参加する恩恵がかなり萎縮されてしまっているように映りました。
TGS全体が今後、オンラインとのハイブリットによって、これまでのイベントの熱量を生み出していく方向に進みつつあるのは非常に良いと思います。しかしながら、そこへシフトする中でインディーゲーム開発者は割りを食ってしまったかのようでした。
一方、世界的なゲームイベントのオンライン化(または実地開催とのハイブリット化)という観点から、今後のインディーゲームイベントについてはどう考えられるでしょうか。
現在、インディーゲームはIndie Live Expoやasobu INDIE SHOWCASEなどオンライン配信によるイベント開催を行っていますが、やはり実地開催が持つ恩恵の大きさにはまだ近づけていないのではないでしょうか。
今年のBitSummitは実地開催とオンラインのハイブリットで行われていました。実地開催はBtoB用に絞られており、一般客の参加は無しとするかたちです。これが今後コロナの状況が落ち着くとともに、一般客のほかにインフルエンサーなどの参加はどれくらい有効になるか、も考えていました。
本稿ではここまでインフルエンサーの効果を限定的に評していますが、かといってインディーゲームとインフルエンサーの組み合わせが悪いというわけではなく、適切にアシストすることによって、大きな波及効果があります。インディーゲームのプロモーションにおいて、もっと有効な付き合いができるのではないか、とも思います。
たとえば先日、協力型のインディーゲーム『Pico Park』が100万本を突破するニュースが報じられています。報道からはTwitchの人気ストリーマーから、中国のbilibili動画、さらに動画アプリTik tokなどによるインフルエンスが多大な効果をもたらしたことが語られており、今後のプロモーションの可能性を見出せるものです。
筆者の考えですが、国内のインディーゲームはインフルエンサーに広めてもらえるポテンシャルのあるタイトルはいくつか見当たります。なので今後のインディーゲームイベントも実地開催とオンラインのハイブリットする方向であるならば、TGSで見受けられたインフルエンサーの活用は有効ではないでしょうか。
TGSが今後のゲームショウの形となるであろう、ハイブリット型のイベントへシフトする中、残念ながら今年もインディーゲームは例年のような恩恵には預かれませんでした。ですが今後のインディーゲームイベントにおいては、さらなるプロモーションの可能性があるのではないか、とも考えさせられました。来年のさらなる施策の展開に期待しています。
]]>[UPDATE 2021/5/26] 「SOWNが対象とするゲームの基準」についても公式サイトから引用し記載しました。
東京ゲームショウ(以下、TGS)が2021年度の開催に向け、インディーゲームコーナーにおける「選考出展」作品の募集を開始しました。今年からイベント「センス・オブ・ワンダー ナイト」(以下、SOWN)との連携を強化し、応募レギュレーションが大きく変化しています。
SOWNとは、世界中のインディーゲームからイベント名どおり “センス・オブ・ワンダー”を感じさせる作品を選考するイベントです。評価基準として、主に実験性やアイディアを見ていくことを挙げています。キャラクターや世界観、ストーリーといった要素を選考基準にしないことも明言しており、新規性へ注目したスタンスを取っています。本イベントによって、クリエイターにチャンスの場を提供することを目的としており、これまでも革新的な作品をフォローしてきました。
本イベントのモデルとして、世界的なゲーム開発者カンファレンスであるGDCにて、2001年に行われたワークショップ「Experimental Gameplay Workshop(実験的ゲームのワークショップ)」を挙げています。SOWNの協賛には、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと任天堂の2社が名を連ねています。国内コンソールのプラットフォームホルダーである2社は、ここ数年ではインディーゲームへの取り組みを進めています。
SOWNの選考基準は次の通りです。
新感覚
これまで見たことないような新しい体験を形作っているゲーム自然言語処理、物理演算、画像認識、ジェスチャーコントロールなど、これまで利用されてこなかった技術をうまくゲームに応用した新しい種類の体験を提供するゲーム新常識
ゲームという常識を揺さぶってしまうようなゲームゲームの体験を通じて、プレイ後には、世界がちょっと変わって見えてしまうようなゲームそのものの新しい表現方法を模索しているようなゲーム創発性
創発的な要素を持っているようなゲームAIの相互作用や、ツール的な要素や、ソーシャル性といった要素を持たせることによってユーザーの活動自体をゲームが巻き込んでしまうようなゲーム意欲刺激
多くの人が今すぐプレイしたいという感銘を与えられるゲーム新しい体験を誰もが自分自身も体験したいと考え、そのために手元にとどめておきたいと思わず感じさせてしまうようなゲーム驚き
https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2021/indie_games.html
とにかくなんだか訳が分からないけれど、すごいものとにかく観た瞬間に「これはスゴイ・・・」と感銘を与えられるゲーム
昨年までのインディーゲームコーナーの選考出展は、「一定以下の団体規模である」「オリジナル作品である」「CERO倫理規定に準じている」という条件を満たせばゲームの内容については不問でした(2020年の募集要項より)。
今回からは、SOWNへの出展条件がインディーゲーム選考出展にも適用されるように変更されました。ゲーム内容に大きな縛りが生まれています。公式サイトでは具体的に、以下のゲームについては対象としないとあります。
インディーゲーム「選考出展」
およびSOWNが対象としないゲーム
以下のようなゲームは、SOWN応募の対象外となります。ゲームそのものに必ずしも関係ない要素が中心となっているもの
これまでになかったバックグラウンドの設定やシチュエーション、キャラクターデザイン、グラフィック、ストーリー、オーディオといったゲームを構成する一要素が驚きの中心である場合すでに存在しているジャンルやそれを単に混ぜたりしたことで生み出された新ジャンル
ただし、それにも関わらず、本当に新しいゲーム体験を作り出している場合は除きます特定の客層だけをターゲットにしていることが新しい理由である場合
女性のためだけのゲームや、老人向けといったもの。ただし、それでも多くの人が感銘を受けるようなものの場合は除きますゲームプレイに影響を与えない、純技術的イノベーション、実験的ビジネスモデル、流通のメカニズム
https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2021/indie_games.html
それらを完全に排除するものではありませんが、ゲーム体験に直接かつ明快に変えることが明らかになっている必要があります
これを満たさないインディーゲームの出展については、有償の展示となります。
出展費用は会社規模に関わらず20万円~となります。
インディーゲームは、なにも実験的で革新的ゲームプレイのタイトルだけで盛り上がっているわけではありません。魅力的なストーリーやキャラクターが強みのゲームや、伝統的なゲームジャンルにとことんこだわって作られたインディーゲームなどが毎年生まれています。しかしながら、そうしたタイトルは今年は「TGSのインディーゲーム選考出展」には提出できません。従来のインディーゲーム選考出展は事実上廃止となり、「SOWNのノミネート作品展示」としての位置づけへ変化したと言えます。
応募されたタイトルは7月に出展の合格者発表があり、8月にSOWNファイナリストの合格通知が送られてくる予定となっています。現在のところ、選考を担当する審査員は未定です。選考出展の結果は7月に発表されるとのことですが、これに落選した場合は有償出展の切り替えが可能とあります。おそらくその場合は通常の出展価格である20万円が提案されるものとみられます。
TGSのインディーゲーム出展応募は6月18日までが締め切りとなっています。
東京ゲームショウ2020内で、毎年行われている企画「センス・オブ・ワンダー ナイト 2020」(以下、SOWN2020)のファイナリストが決定しました。本日9月25日(金)17時~19時より開催されるイベント内で各賞が決まります。
SOWN2020は気鋭のインディーゲームを評価していくイベントです。ファイナリストに選ばれた作品はデベロッパー自身がプレゼンし、審査員の審査し、「Grand Audience Award」や「Best Game Design Award」などの各賞を決定します。
今回はオンラインイベントとなったこともあり、リアルタイムでのプレゼンテーションを視聴できることも大きな特徴となっています。
今年は約80作品が応募されたなか、ファイナリストには日本から2作品、インドネシア、ポーランド、デンマーク、ペルー、スイス、カナダからそれぞれ1作品が選ばれ、国際色豊かな顔ぶれとなっています。
今回SOWN2020のファイナリストに選ばれた作品には、いくつか話題を呼んだタイトルが入っています。カニの格闘ゲームとして大きな話題を呼んだ『カニノケンカ –Fight Crab-』や、電気を操って道を開くパズルアクションとしてSNSでも話題を呼んでいた『ElecHead』が選出されています。開発者の「生高橋」氏は、日本のインディーゲームコミュニティー「asobu」のメンバーです。
海外からは、インドネシアのデベロッパーによる、新海誠作品の影響を受けたというADV『A Space for the Unbound』が残っています。
SOWN2020はYouTubeのこちらから視聴が可能となっています。当日のプレゼンテーションも大きく期待できるタイトルが勢ぞろいしているため、チェックしてみてはいかがでしょうか。