Steamウィッシュリスト入りを増やす5つの方法:『The Wandering Village』の事例から

[本記事は、GameDiscoverCoニュースレターの日本語翻訳です。GameDiscoverCoの許諾を得て翻訳・掲載しています。]

皆さんはバズったゲームを見たときに、どうすればそんなにバズるのかと疑問に思ったことはありませんか。今回の記事では、『The Wandering Village』の事例からSteamウィッシュリスト入りを増やす5つの方法を紹介します。

『The Wandering Village』とStray Fawn Studio

『The Wandering Village』

『The Wandering Village』は巨大な生き物の背中で街づくりをするゲームで、スイスのインディースタジオStray Fawn Studioで制作されました。Stray Fawn Studioは今まで優れた実績を出しており、他のゲームで聞き覚えのある方もいらっしゃるでしょう。彼らの作品としては、遺伝ストラテジーゲーム『Niche』(非常に好評 3,200レビュー)と宇宙船構築シム『Nimbatus』(非常に好評 1,200レビュー)が挙げられます。

その実績を出したStray Fawn Studioだけあって、新作の『The Wandering Village』がバズっています。Steamに登録されてから半年しか経っていませんが、未発売Steamゲームの中で、GameDiscoverCoの有料機能のHype Chart(人気ランキング)の上位200にランクインしています。

GameDiscoverCoの未発売Steamゲームの人気ランキング

どのように人気を集められたのでしょうか。Stray Fawn StudioのMarkus氏に『The Wandering Village』のウィッシュリスト数の推移とその分析をいただきました。

The Wandering Villageウィッシュリスト数
『The Wandering Village』のウィッシュリスト数の推移

この表の情報量は多いですが、ウィッシュリスト数に貢献した、注目すべき要素は主に次の5つにまとめられます。
・Kickstarterのキャンペーン
・ImgurとReddit
・クロス・プロモーション
・Steamセール
・PR記事と動画

ウィッシュリスト入りを増やす5つの方法

  • Kickstarter:  『The Wandering Village』のようなクラウドファンディングキャンペーンは確かに手間がかかりますが、資金調達はもちろん、マーケティングや需要予測にも同じくらい効果があります。(とあるインディーススタジオPlayWayが複数のキャンペーンを開催しているのは資金が必要だからというわけではないですね。)
『The Wandering Village』のKickstarterキャンペーン
  • ImgurとReddit: 英語圏で人気の投稿型サイト「Imgur」と「Reddit」は注目されていない割に、皆さんのゲームを全く知らない人の興味を引く方法として効果的です。ただし、ポイントは広告のように書くのではなく、ユーザーが共感できる、もしくは凄いと思ってくれるフックとコンテンツを投稿することです。例えば、Stray Fawn StudioのImgur投稿を見ると、キャッチ画像は魅力的だけでなく、内容には「ゲームの進捗」や「開発のプロセス」について書かれており、ゲーム好きの方やゲーム開発者などにとっても有益な情報を提供しています。Redditにも紹介動画が投稿され、「コンセプトが好き!」や「どういうギミックがあるの?」などのコメントを集めバズりました。(詳しく知りたい方はChris Zukowski氏のImgur投稿ポイントについての記事をご覧ください。)
『The Wandering Village』のImgurとReddit投稿
  • クロス・プロモーション: Stray Fawn Studioの別のゲーム「Niche」のページに「CHECK OUT OUR UPCOMING GAME」という『The Wandering Village』へのリンクがあります。実際、毎日約50ウィッシュリスト入りの貢献をしているようです。(ウィッシュリスト数の推移の右下を見ると、一時的にこのリンクが無効だった時期があり、リンクがある時とない時の差が見られます。)すでに興味を持ってくれるファンいるなら、似ているゲームを宣伝することをご検討ください。
「Niche」のSteamページにある「The Wandering Village」へのリンク
  • Steamセールやショーケース: 街づくりゲームなどテーマセールの「近日登場」枠に入ると効果はあります。なぜなら、そのテーマセールを閲覧するユーザーはすでにそのジャンルのゲームが好きなので、ウィッシュリスト入りする確率が高いと考えられます。また、The MIXなど第三者のリリース前ショーケースも効果的です。(ウィッシュリスト数の推移の右下の増加原因)
街づくりゲームをテーマにしたSteamセール
  • PR記事と動画: ご存知の通り、PR記事とインフルエンサーの動画がセッションとウィッシュリスト入りを増やせます。ただし、メディアに拡散してもらうために、PRキャンペーンの初めに魅力的なティザー動画があると、さらに効果があります。『The Wandering Village』の紹介動画をご覧ください。興味を惹かれませんでしたか?ぜひPRキャンペーンを始める際に、紹介動画をご検討ください。実際、『The Wandering Village』がフランスのユーチューバーDan Field(フォロワー数30万人)に「2021年に見逃せないゲーム」として紹介されました。動画が短くても、心を動かす動画であれば、言葉がなくても世界的にバズると言えるでしょう。
Dan Field氏による「2021年に見逃せないゲーム」

この5つの方法で『The Wandering Village』はウィッシュリスト入りを増やしました。施策を実施していない場合は、一日あたりのウィッシュリスト入り数の下限が50くらいでした。クロス・プロモーションをすると、100を超えて、更にテーマセールに参加したり、バズる投稿をしたりしたら500~3000入りに増えました。詳細が気になる方はStray FawnのCEO Philomena Schwab氏のキャンペーン分析記事(英語のみ)をおすすめします。皆さんも自分のゲームに合った宣伝方法を組み合わせてみてはいかがでしょうか。

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Cheryl Ng

翻訳者・イラストレーター・謎クリエイター。主にゲームと謎を翻訳、時々イラストと謎を制作

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