【インタビュー】日本のインディーゲーム開発者が欧州市場への足がかりを作る「JStar-X Games」プログラム。担当者Diego氏に聞く

日本貿易振興機構(JETRO)と Games London が共同で立ち上げた「JStar-X Games」は、日本のインディーゲームスタジオが欧州市場へ進出するための支援プログラムです。

現在は参加チームを募集中で、募集締切は2026年7月26日までとなっています。IndieGamesJp.devでは、Games Londonの事業開発マネージャー、およびJ-StarXゲーム成長プログラムのプログラムマネージャーであるDiego Grammatico氏へのインタビューを実施しました。

プログラムの概要と応募要項

―――Diegoさん、よろしくお願いいたします。まずはプログラムの概要をお教えください。

Diego氏: 現在は応募受付フェーズで、7月26日に締め切ります。8スタジオを選定した後、8月頃にプログラムが始まります。プログラムはオンラインを中心に進行しながら、東京と欧州での実地サポートも含めた構成になっており、大きく3つのフェーズに分かれています。

第1フェーズはオンラインで、8月から9月/10月にかけて、欧州のゲーム業界のエキスパートが主導するオンラインワークショップを10回開催します。テーマは、欧州市場の理解、ビジネスモデルの構築、パブリッシング戦略、資金調達、法務、ピッチの作り方、ソーシャルメディアやインフルエンサーを使ったプロモーションなどです。ワークショップと並行して、5人の業界メンターによる個別メンタリングも行います。各スタジオにはメンターが1人つき、プログラム期間中に合計15時間のメンタリングを実施します。

第2フェーズは9月、東京ゲームショウ期間に行う対面の活動です。 Games Londonのチームとメンターたちが東京に来て、スタジオと直接会います。ここではパブリッシャーや投資家に対するゲームのピッチセッションを行います。東京ゲームショウ期間中に行っていただく本格的なピッチの前に、ピッチを練習する場として位置づけています。

第3フェーズは、再びオンラインワークショップを行い、TGSの結果を踏まえてピッチを改善していきます。その後、欧州の主要ゲームイベントに渡航いただき、ここでもパブリッシャーと投資家を呼んだデモデーを行います。

発表会でのDiego氏

現在、2026年11月から2027年1月にかけてヨーロッパで開催されるいくつかのイベントを候補として検討していますが、参加スタジオのゲームジャンルや特性を踏まえ、最も適切なイベントを選定する予定です。例えば、モバイルゲームが多い場合はそれに適したイベントを選び、PCやコンソールゲームが多い場合は別のイベントを選ぶといった形になります。

デモデーでは、スタジオが出版社や投資家にピッチできる場を設け、私たちのネットワークを通じてできる限り多くの業界関係者に声をかけます。

——JETRO のプログラムとして正式には欧州デモデーが最終地点とのことですが、Games London としてはさらに追加の機会を提供するとのことですね。

Diego氏: はい。私たちは2027年4月13日〜19日に開催されるLondon Games Festivalの一環として開催される一般向けイベント「New Game Plus」で、8スタジオ全員へ無料のブーススペースを用意します。スタジオが実際にロンドンへ来られるかどうかにかかわらず、来られない場合はスタッフがブースを代行します。London Games Festivalの来場者に日本のゲームを見てもらい、プレイしてもらうことを大切にしています。

——応募要件に「プレシードまたはシリーズAの資金調達を目指す企業」とあります。インディーにとっては聞きなれない言葉なので、ハードルに感じることも多いようです。

Diego氏: たしかに、インディーゲーム開発者が「プレシードまたはシリーズA」と言われてもピンと来ないかもしれませんね。プレシードやシリーズAはテック業界の用語で、初期の投資ステージの事を指します。ただ、これが実際に「私たちはシリーズA」です、という必要条件を意図しているのではありません。私たちが意図しているのは、「起業の初期段階にいて、成長したいという意欲がある人」ということです。企業規模よりも、ゲームをきちんと事業として成長させたいというマインドセットを重視しています。

本プログラムのベースとなった、Games London Accelerator の採択スタジオ

——個人開発者でも応募できますか?

Diego氏: もちろんです。JETROの応募フォームは、法人としても個人としても応募できる設計になっています。実は、Games London のプログラムでもソロ開発者は多く参加しています。ゲームのアイデアを持ち、何かを始めようとしている個人開発者の応募は大歓迎です。会社員として働きながら自分のゲームを開発するスタイルも、欧州においてもよくあるケースであり、私たちもそうしたスタジオを支援したいと考えています。

このプログラムの目的のひとつは、「独立してスタジオ化する」というマインドを育てることです。最初のゲームがうまくいかなくても、それはプロセスの一部です。2作目、3作目と続けることで改善されていきます。ゲームよりも、その裏にいる人のほうが重要だと思っています。良いアイデアと意欲を持った開発者は、いずれ何かを成し遂げます。

SNSでの反応について

——プログラムの募集について記事にしたところ、SNSで開発者からの反応が寄せられました。「ビジネスレベルの英語」がハードルになると感じている開発者が多いようです。

Diego氏:その心配はよくわかります。ただ「ビジネスレベルの英語」といっても、大企業の窓口担当として話すわけではないので、流暢な英語は求めていません。私たちが求めているのは、自分のゲームについて基本的な英語で説明できるレベルです。参加している他のプロフェッショナルと英語でコミュニケーションを取り、自分の目標やゲームの強みについて話せれば十分です。英語力に不安があっても、まずは応募してください。その後のことは一緒に考えましょう(実際にこのインタビューも、事前の質問リストの送付と執筆者一條のかなり下手な英語で進行しましたが、Diego氏は快く対応していただきました)。

——欧州でのデモデーへの旅費はカバーされないとのことですが、開発者が単独でイベントに参加してパブリッシャーを探すケースと比較してどのようなメリットがありますか?

Diego氏: このプログラムが提供するのは、単にイベントに参加する機会を提供するだけではありません。JETROの支援により、各スタジオは経験豊富なヨーロッパのメンターと1対1でつながる機会を得られ、欧州市場に特化した知識を得ること、ネットワークを広げること、そしてゲームを展示する機会——これらを合わせると、単独で参加するよりもはるかにチャンスを得れる価値があると考えています。もし将来的に欧州市場に進出したいと考えているなら、このプログラムを通じて動くのがひとつの方法だと思います。欧州でどのパブリッシャーが活動しているか、どのイベントに参加すべきか、どのメディアにアプローチすべきかは、ゲームのジャンルや特性によって変わります。

参加スタジオに合わせてワークショップの内容を調整し、欧州市場の主要プレイヤーが誰なのかを伝えることを目指しています。特にネットワーキングについては、私たちがLondon Games Festivalや複数のアクセラレーションプログラムを通じて築いてきた業界のネットワークを活用します。東京でも欧州でも、出版社や投資家に声をかけ、スタジオのゲームを見てもらえるよう働きかけます。

——欧州の大型イベントでのネットワーキングは、小規模なインディー開発者には少し敷居が高いという声もあります。

Diego氏: それは理解できます。規模が大きすぎるイベントは、小さなインディースタジオにはプレッシャーになることがあると考えています。だからこそ、私たちはよりインディーに優しいイベントを選ぶようにしています。参加者が自分のペースで動け、最大限に活かせる環境を大切にしています。London Games Festivalの設計も、同じ考え方に基づいて行いました。これに加え、私たちはGames London Acceleratorの運営を通じて、インディーゲーム開発者がどのような助けを求めているかの理解を深めてきました。今度は日本の開発者といっしょに、欧州市場の開拓をサポートしたいと思っています。

——ありがとうございました!

欧州市場の知見を深める大きなチャンス

プログラムへの疑問や不安は、JETRO の問い合わせフォームから連絡できます。また、Diego 氏の LinkedIn経由でもぜひ質問をしてほしいとのことです。興味のある方は、公式サイトの要項をぜひご覧ください。

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igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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