【BitSummit 2026 Punch】DLsite運営の親会社によるインディーゲーム向け新展開。グループ会社事業としてDLsiteを有する株式会社viviONが買い切り型クラウドゲーム「viviON GAMES」とパブリッシング「viviON Lab」担当者インタビュー

DLsite運営元である株式会社viviONが、インディーゲーム分野に向けた新たな事業展開を発表しました。2026年内にサービス開始予定のスマートフォン向けクラウドゲーミングサービス「viviON GAMES」と、インディーゲームのパブリッシング事業を担う新レーベル「viviON Lab」の2つです。これらの事業について、2026年5月22日から24日にかけて京都市勧業館みやこめっせで開催された「BitSummit 2026 PUNCH」にて詳細が公開されました。
BitSummitの期間において、viviON GAMESとviviON Labそれぞれの担当者へのインタビューを実施し、これらの新事業についてインディーゲーム開発者の視点からお話をお伺いしました。
買い切り型クラウドゲーミング「viviON GAMES」
まずは、PCゲームをスマートフォンのブラウザから直接起動して遊べるクラウドゲーミングサービス「viviON GAMES」について、事業推進部/社長室 プロダクト戦略室 シニアマネージャーの辻勝明氏と、スマホゲームチーム サブリーダーの堀田敏稀氏に話を伺いました。

左から辻勝明氏、堀田敏稀氏
――まずはサービスの概要をお教えください。
辻氏:「viviON GAMES」は、「あのゲームが、スマホで今すぐ。」というキーワードを掲げ、新しくviviONとして立ち上げるゲームのプラットフォームです。自社でクラウドゲームのシステムを持っており、サブスクリプションではなく買い切りでPCゲームをスマホから楽しむことができます。2026年内の開始を目指して鋭意開発中です。
――なぜサブスクではないのでしょうか?
辻氏:立ち上げの背景としては、以前クラウドゲーミング技術「OOParts Engine」とその関連特許を株式会社ブラックから買収・譲受した経緯があります。社内にエンジニアを含めた技術基盤が整った状態にありました。コスト面でのサービス維持についても現実的になったため、クラウドゲーミングでありながら「買い切りモデル」で立ち上げたいと考えたのが発端です。
堀田氏:ゲームの動作についても一般的なクラウドゲームにあるようなWindowsサーバーではなく、Linuxサーバーを利用しながら、PCアプリを動作させる互換レイヤーであるWineを採用することでコストを抑えています。WineはSteam Deckなどの採用によって近年大幅な拡張を遂げ、ゲームの動作も安定してきました(Steam DeckのProtonはWineベースで開発された互換レイヤーです)。
辻氏:ビジネスモデルとしても、開発者さんに対して、作っていただいたものからいかに還元するか?を考えた結果です。クラウドゲームでありながら完全に買い切り型というストアを用意することで、開発者さんの選択肢が広がればと考えています。
――本ストアでの発売を希望する開発者は、どのような準備が必要なのでしょうか?
堀田氏:基本的には、Steamなどで配信しているDRMフリーのPC向けビルド(Windows向け)をご用意いただくだけで、我々のサーバー上で動作させることが可能です。スマートフォン向けに独自の移植作業を行っていただく必要はありません。ただ、スマートフォンという画面サイズの小さいデバイスで快適にプレイしていただくため、UIやテキストのサイズを大きめに設定できるオプションを用意していただいたり、ゲームパッド(XInput対応コントローラーなど)での操作に最適化していただくことは推奨しています。我々の方でも、ゲームごとに仮想パッドの最適化などのサポートを行う予定です。
(参考として、マイクロソフトはハンドヘルドへの展開時に1280×720画面ではテキスト高さ最低9ピクセル(推奨12ピクセル以上)、1920×1080画面:テキスト高さ最低14ピクセル(推奨16ピクセル以上)を推奨しています)
――クラウドゲームを移動中に遊ぶ際のポーズや、セーブデータ管理などについてはいかがでしょうか。
堀田氏:あらゆるところでのプレイを実現するため、遊んだ結果のセーブデータを保全することは開発の大きなテーマです。viviON GAMESでは通信が途切れたタイミングで即座にゲームが終了するのではなく、基本的には復帰を待つポリシーで設計しています。この課題についてはゲーム全体のバックアップなど、あらゆる選択肢を取りつつ技術的に検証を進めています。
――3D描画のゲームもラインナップにあることに驚きました。遅延対策などはいかがでしょうか?
堀田氏:遅延についてはアクション性の高いゲームについてはサーバー側の処理能力によってカバーできる部分もあります。サーバーのスペックは明かせないのですが、タイトルごとにサーバーの割り当てを調整するなどの個別対応もシステム上は可能になっています。このあたりは今後のラインナップに合わせて調整していきたいと思っています。

クライアント側にも豊富なコンフィグが存在する。ゲームによってはボタン配置の推奨設定も指定されている。
――販売を希望するクリエイターはどのように御社へ相談すると良いでしょうか?
辻氏:現在は正式サービス開始前の状態ですので、フォームでゲーム個別にお話を伺う形にしております。サークル名と氏名(またはハンドルネーム)、作品の名前といった情報をお送りいただく形で相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ゲームの販売・配信に関するお問い合わせ(ゲーム会社・クリエイター向け)
――ありがとうございました。
オタク文化に寄り添い、個性を尊重する「viviON Lab」

続いて、インディーゲームのパブリッシングレーベル「viviON Lab」について、責任者の池田奈々帆氏に話を伺いました。
――まずはレーベルについて概要をお教えください。
池田氏:「viviON Lab」は、viviONが運営するインディーゲームのパブリッシングレーベルです。我々はグループ会社の事業としてPCゲームを含むコンテンツのダウンロード販売サイトである「DLsite」を運営しておりますが、viviON LabはSteamでもゲーム販売を行うサービスです。現在はEgg Hatcherによる『明月の娘』、silver978の制作する『7 Days To Think About It』の2作品のリリースを予定しています。(BitSummitでは『火山の娘』、『Lil’tlilia -泉の女神と森の魔女-』も参考出展)。
――昨今は様々なパブリッシャーがいるなかで、viviON Labならではの強みは何でしょうか?
池田氏:弊グループで営むダウンロード配信サービス『DLsite』では、ゲーム形式の作品だけでも、これまでにのべ53,000タイトルを超える配信実績があります。(※コンテンツのダウンロード配信サービス『DLsite』における「ゲーム」形式の作品数/2026年4月時点)。流通実績、多言語・海外販売のノウハウ、国内外のユーザー基盤、マーケティングやサポートの体制などに広い蓄積があります。特に、「オタク向けコンテンツ」のプロモーションノウハウを蓄積しています。日本のインディーゲームや、アニメ調・オタク文化に親和性の高い作品を、海外も含めた熱狂的なファン層に届ける宣伝活動は非常に得意としています。
――他のインディーゲームパブリッシャーと比較してどのような強みがあると思いますか?
池田氏:先ほど申し上げた、「オタク向けコンテンツ」に強いところです。たとえば、他のパブリッシャーさんは宣伝・広報を目的にゲーム専門のイベントを中心に出展されることが多いと思いますが、我々はゲームイベントだけでなく、世界中のオタク文化やアニメ文化のイベントにも積極的に出展していきます。直近ではインドネシアの「Comic Frontier(Comifuro)」というイベントに出展しましたし、過去にはアメリカの「Anime Expo」にも出展しています。ゲームという形態にとらわれず、オタク文化に刺さる作品を適切な場所に持っていくことができるのが、我々の大きな差別化ポイントだと考えています。
――viviON Labでは、どのような作品を取り扱っていきたいですか?
池田氏:「ホラーゲーム特化」や「日本作品特化」といった特定のジャンルに縛られることなく、広く多様な作品を取り扱っていくレーベルとなっています。方針としては、開発者のクリエイティビティや表現したい「個性」を尊重することを重視しています。我々から「こういうゲームに作り変えてほしい」といった過度な干渉は行わず、開発者が本来作りたかったものを形にできるようサポートするスタンスです。パブリッシングのご相談については、専用のフォームをご用意しておりますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。
――ありがとうございました。
新しい可能性をインディーに提供する2つのサービス
viviON GAMESは、クラウドゲームでありながら買い切りでのビジネスを提供しています。すなわち、開発者への支払いについても販売本数単位になると考えられ、従来のクラウドゲームプラットフォームに合った提供時価格の不透明さがなくなると予想されます。またviviON Labは、「世界中のオタク」に対するマーケティング力の実績と強さが期待できるパブリッシャーです。世界中に居る日本のアニメ・マンガコンテンツファンに自作のゲームを知ってもらうパートナーとして強力な立ち位置に居ます。
いずれのサービスも、開発者の問い合わせフォームを設けています。気になった方はぜひお問い合わせをしてみてください。





