TGSインディーコーナーの選考出展枠が「センス・オブ・ワンダー ナイト」対象ゲームのみに変更、ゲーム内容への制限が大きく変化

[UPDATE 2021/5/26] 「SOWNが対象とするゲームの基準」についても公式サイトから引用し記載しました。

東京ゲームショウ(以下、TGS)が2021年度の開催に向け、インディーゲームコーナーにおける「選考出展」作品の募集を開始しました。今年からイベント「センス・オブ・ワンダー ナイト」(以下、SOWN)との連携を強化し、応募レギュレーションが大きく変化しています。

SOWNとは

SOWNとは、世界中のインディーゲームからイベント名どおり “センス・オブ・ワンダー”を感じさせる作品を選考するイベントです。評価基準として、主に実験性やアイディアを見ていくことを挙げています。キャラクターや世界観、ストーリーといった要素を選考基準にしないことも明言しており、新規性へ注目したスタンスを取っています。本イベントによって、クリエイターにチャンスの場を提供することを目的としており、これまでも革新的な作品をフォローしてきました。

本イベントのモデルとして、世界的なゲーム開発者カンファレンスであるGDCにて、2001年に行われたワークショップ「Experimental Gameplay Workshop(実験的ゲームのワークショップ)」を挙げています。SOWNの協賛には、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと任天堂の2社が名を連ねています。国内コンソールのプラットフォームホルダーである2社は、ここ数年ではインディーゲームへの取り組みを進めています。
SOWNの選考基準は次の通りです。

新感覚
これまで見たことないような新しい体験を形作っているゲーム自然言語処理、物理演算、画像認識、ジェスチャーコントロールなど、これまで利用されてこなかった技術をうまくゲームに応用した新しい種類の体験を提供するゲーム

新常識
ゲームという常識を揺さぶってしまうようなゲームゲームの体験を通じて、プレイ後には、世界がちょっと変わって見えてしまうようなゲームそのものの新しい表現方法を模索しているようなゲーム

創発性
創発的な要素を持っているようなゲームAIの相互作用や、ツール的な要素や、ソーシャル性といった要素を持たせることによってユーザーの活動自体をゲームが巻き込んでしまうようなゲーム

意欲刺激
多くの人が今すぐプレイしたいという感銘を与えられるゲーム新しい体験を誰もが自分自身も体験したいと考え、そのために手元にとどめておきたいと思わず感じさせてしまうようなゲーム

驚き
とにかくなんだか訳が分からないけれど、すごいものとにかく観た瞬間に「これはスゴイ・・・」と感銘を与えられるゲーム

https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2021/indie_games.html

SOWN対象タイトルのみとなった「TGS インディーゲーム選考出展」の変容

昨年までのインディーゲームコーナーの選考出展は、「一定以下の団体規模である」「オリジナル作品である」「CERO倫理規定に準じている」という条件を満たせばゲームの内容については不問でした(2020年の集要項より)。
今回からは、SOWNへの出展条件がインディーゲーム選考出展にも適用されるように変更されました。ゲーム内容に大きな縛りが生まれています。公式サイトでは具体的に、以下のゲームについては対象としないとあります。

インディーゲーム「選考出展」
およびSOWNが対象としないゲーム
以下のようなゲームは、SOWN応募の対象外となります。

ゲームそのものに必ずしも関係ない要素が中心となっているもの
これまでになかったバックグラウンドの設定やシチュエーション、キャラクターデザイン、グラフィック、ストーリー、オーディオといったゲームを構成する一要素が驚きの中心である場合

すでに存在しているジャンルやそれを単に混ぜたりしたことで生み出された新ジャンル
ただし、それにも関わらず、本当に新しいゲーム体験を作り出している場合は除きます

特定の客層だけをターゲットにしていることが新しい理由である場合
女性のためだけのゲームや、老人向けといったもの。ただし、それでも多くの人が感銘を受けるようなものの場合は除きます

ゲームプレイに影響を与えない、純技術的イノベーション、実験的ビジネスモデル、流通のメカニズム
それらを完全に排除するものではありませんが、ゲーム体験に直接かつ明快に変えることが明らかになっている必要があります

https://expo.nikkeibp.co.jp/tgs/2021/indie_games.html

これを満たさないインディーゲームの出展については、有償の展示となります。
出展費用は会社規模に関わらず20万円~となります。

インディーゲームは、なにも実験的で革新的ゲームプレイのタイトルだけで盛り上がっているわけではありません。魅力的なストーリーやキャラクターが強みのゲームや、伝統的なゲームジャンルにとことんこだわって作られたインディーゲームなどが毎年生まれています。しかしながら、そうしたタイトルは今年は「TGSのインディーゲーム選考出展」には提出できません。従来のインディーゲーム選考出展は事実上廃止となり、「SOWNのノミネート作品展示」としての位置づけへ変化したと言えます。

エントリーは6月18日まで、有償出展は6月28日まで

応募されたタイトルは7月に出展の合格者発表があり、8月にSOWNファイナリストの合格通知が送られてくる予定となっています。現在のところ、選考を担当する審査員は未定です。選考出展の結果は7月に発表されるとのことですが、これに落選した場合は有償出展の切り替えが可能とあります。おそらくその場合は通常の出展価格である20万円が提案されるものとみられます。

TGSのインディーゲーム出展応募は6月18日までが締め切りとなっています。

センス・オブ・ワンダー ナイト 応募要項

イベントへの応募はこちらから

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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