書籍『PlayFabゲーム開発テクニック』筆者インタビュー。PlayFabをもっと多くの人に知ってもらいたい想いが1冊の本に。

2021年5月、書籍『PlayFabゲーム開発テクニック』が発売されました。本書の発売からしばらく経ちましたが、執筆をあらためて振り返るインタビューを実施。筆者のねこじょーかー氏(@nekojoker1234)、西根 幸洋氏(@_y_minami)にお話を伺いました。

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ねこじょーかー氏(@nekojoker1234)
西根 幸洋氏(@_y_minami)

——自己紹介と本書の紹介をお願いします。

ねこじょーかー:共同執筆者のねこじょーかーと申します。本書はUnityの中級者を対象に、ソーシャルゲームで実装されている「おきまりのあの機能」を実現するにはどうしたらいいのかを解説した書籍です。解説だけではなく、Unityで動作するソースコードも公開しているので、実際に動かして確認できます。そのほかPlayFabで公開されている各種APIの基本的な使い方も丁寧に解説していますので、辞書としても使えるようにしました。

西根:はじめまして、西根です。SNSなどでは南というハンドルネームで活動しています。
主な仕事はC#のサーバーサイドエンジニアとして、ゲームやWEBアプリケーションの開発やSRE的な業務を担当しています。
2年ほど前からAzurePlayFabの情報をWebや勉強会で発信していて、2020年からMicrosoftMVPとして活動させていただいています。

——本書を書こうと思ったきっかけや、共著となったきっかけをお教えください。
ねこじょーかー:以前からC#が好きで、ここ数年はUnityの勉強をしていました。そんな中で西根さん主催のPlayFab勉強会に参加し、「こんなすごいものがあるのか」と衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。そこから独学でPlayFabを勉強して、ブログを立ち上げたり、電書の同人誌を4冊も書いたりしました。

西根:昨今のモバイルゲームは、カジュアルなゲームであってもサーバーサイドの機能が必要になるケースが増えていると感じています。たとえば、インゲームはオフラインのソロプレイで完結するけど、ランキング機能だけは欲しい……というようなケースなどですね。
そうした場面で、ゲーム開発者が1からサーバー開発の知識を身につけてランキング機能を実装するのは少々ハードルが高いと思います。そのようなときにPlayFabを活用すれば必要な機能が簡単に低コストで実現することを多くの方に知っていただきたいと思いました。
共著となったきっかけは、私がねこじょーかーさんをお誘いしました。出版の秀和システム様から「単著でも共著でも構わない」と伺いましたので、ねこじょーかーさんをお誘いすることをすぐに決めました。私は今回がはじめての書籍執筆でしたので、以前から同人誌の執筆活動をされていてPlayFabの知識も豊富なねこじょーかーさんに、私の経験の浅さをカバーしていただこうという作戦でした。なお、ねこじょーかーさんには当初の想定の3倍ほど助けていただいて、本当に感謝しています。

ねこじょーかー:西根さんにお声がけいただいて、本当に感謝しています。
本書を書こうと思ったきっかけは、PlayFabをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えたからです。もちろんPlayFabを使わずとも自前でゲームのためのバックエンドサーバーは開発可能です。しかし、それにはたくさんの時間がかかるので、個人レベルではとてももったいないと思います。ゲーム開発には他の部分の開発にもたくさんの時間がかかるので、バックエンドにおいてはPlayFabを取り入れることで、ゲーム開発を加速してほしいという想いがあります。

——本書はどのくらいの期間をかけて執筆しましたか?

ねこじょーかー:だいたい半年くらいです。

西根:同じく、2020年の年末頃から半年ほどです。

——本書をどんな人に読んでもらいたいと思いますか?

ねこじょーかー:「ソーシャルゲームを作ってみたい」「バックエンド開発を楽にしたい」という人に読んでいただきたいです。ソーシャルゲームを作るとなると、ガチャやランキングなどたくさんの機能が必要になります。これらをゼロから実装していると、かなりの時間がかかってしまうため、特に個人では手が出しにくい領域です。PlayFabを使うことでとても簡単にソーシャルゲームの各機能を実現することができるので、「こんなに簡単にできるんだ」と思っていただけるはずです。テスト量も最小限に留められるので、UIやゲーム性を考えることにもっと時間をかけることができるようになります。ぜひ一度使ってみていただきたいです。

西根:Unityで個人開発をしている方で、オンラインのゲームを作られる方に読んでいただけたら嬉しいですね。

——本書を書いていく中で苦労された点はありますか?

ねこじょーかー:執筆時間の捻出です。本業がある中で作業する必要があったので、余暇の時間をほとんど執筆にあてていました。

西根:個人的には、ちょうど仕事が忙しい時期と重なってしまって、スケジュールには苦労しました。

——本書の各章のなかで、特に力を入れた箇所はありますか?

ねこじょーかー:各所にある機能解説のイラストです。イラストレーターの方に少し調整はしていただきましたが、ベースは自分で作成しました。文章だけだとよくわかりにくくなってしまうので、少しでもわかりやすくなるよう工夫をしています。「このくらいはわかるだろう」という前提条件を省略せずに解説することを意識した点も、力を入れました。

西根:私は4章の「プレイヤーデータを管理しよう」がお気に入りです。PlayFabのもっとも基本的な機能であるプレイヤーデータの使い方の紹介からはじまり、多様なプレイヤー情報をPlayFabのどの機能で管理するとより便利かという話をしています。
たとえばスタミナや経験値をPlayFab上では仮想通貨として管理すると便利だったり、プレイヤーのレベルは統計情報として管理すると便利だったり……という話ですね。ドキュメントには書かれていない、PlayFabのフォーラムで紹介されていた手法や、自分たちで考えた手法を紹介していますので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。

——発売後の反応はいかがですか。

ねこじょーかー:発売後1週間で、Amazonの「ゲームプログラミング」カテゴリで新着ランキング2位までくることができました。Twitterでも読んでくださった方の感想が届いたりしています。

西根:Twitterなどで購入した旨のツイートをしてくださる方がたくさんいらっしゃってありがたいです。本当にありがとうございます。

——Playfabに限らず、Unityやゲーム開発技術に関して「この技術に期待・興味がある」「こんな技術ができて欲しい」という展望はありますか?

ねこじょーかー:PlayFabは便利ですが、あくまでもバックエンド開発の補助なので、フロントエンドはUnityの知識が必須となります。なのでUnityの入門者でもソシャゲが作れるような、テンプレートみたいなものができればもっとゲーム開発が楽しくなるのでは、と思っています。

西根:PlayFabに関してですが、UserGeneratedContent(UGC)機能のパブリックプレビューが9月に開始される予定とロードマップで案内されています。これはとても興味深いです。

・Azure PlayFab ロードマップ
https://docs.microsoft.com/ja-jp/gaming/playfab/roadmap/

PlayFabにおけるUGCはユーザー自身が作成したコンテンツをゲーム内で販売できるシステムのことを指します。たとえばマインクラフトではスキン(アバター)などのUGCが販売されています。こうした販売システムが自分のゲームに簡単に組み込めるようになると、嬉しい開発者の方も多いのではないでしょうか。
最近では自身のアバターを持ち込めるゲームなども増えていますが、そういったシステムとも親和性が高いと思いますし、とても楽しみです。

——最後に、この本を購入する方や購入を検討している方へ、メッセージをお願いします。

ねこじょーかー:PlayFabは便利ですが、調べてもあまり細かい情報が出てきません。出てきても英語だったりして、使い方を調べるだけでも時間がかかってしまいます。時間を節約したいのに、こうなってしまっては本末転倒です。ぜひ本書をお読みになって時間を節約し、どんどん開発スピードを上げてください。本書がPlayFabを導入するきっかけとなれば幸いです。

西根:PlayFabは無料で使い始められますし、基本的な機能を使うことは非常に簡単です。まずはなにはともあれ、PlayFabを触ってみていただきたいです。
そのうえで「ちょっとわかりづらいところがある」とか「この機能はどうやって実装するんだろう?」というところがでてきましたら、この本を手に取って参考にしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

——ありがとうございました!

書籍は好評発売中

本書は現在好評発売中です。Unityでゲームにオンライン機能の導入を目指す開発者は、ぜひ『PlayFabゲーム開発テクニック』を手にとってみてはいかがでしょうか。

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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