“自主製作”の良さが集まる、ゲームを作る人にうってつけのイベント——デジゲー博2021レポート

デジゲー博2021(以下、デジゲー博)が先日の11月14日に開催されました。本イベントは国内最大の自主製作ゲームイベントです。昨年は新型コロナウィルスの影響もあり、参加を見合わせる一般参加者も少なくなく緊張感がある現場でしたが、今年は対策も進み、例年のような活況が戻ってきたのではないかと思います。

いまゲームの個人製作は、インディーゲームや同人ゲーム、フリーゲームなど様々なコミュニティが存在していますが、本イベントはそうした日本の個人・小規模ゲーム文化すべて含めたイベントであることが最大の特徴だといえるでしょう。

さて本イベントはそうした自主制作を総括したようなイベントである故に、通常のインディーイベントとはちょっと色あいが違った展示がいくつもあります。筆者が考えるに、まずゲームを開発して、いろんなプレイヤーに見てもらう経験を得やすい意味でもっとも参加がおすすめのイベントであると思うため、今回の活況は想像以上に嬉しいものがありました。

新型コロナウィルスの対策と状況

昨年は新型コロナウィルスの影響により、多くのイベントが実地開催を見合わせるなかでの開催だったため、会場にはいくばくかの緊張感がありました。

それから1年。昨年と比較して、やはりワクチン接種が進んだことや、感染対策の水準も上がったことで新規感染者数が2桁台に推移しているなかで開催できたことは大きかったように感じます。

今回のデジゲー博の開催側も、基本的には昨年のレギュレーションに近い形で進めていました。サークル側も現在の感染状況もあってか、昨年に見受けられたような当日の参加中止が目立たなかったことも、今回の活況に繋がっていたと言えるでしょう。

コロナ以降にあらためて感じる、デジゲー博の価値

弊誌の代表である、一條貴彰氏の最新作『デモリッション ロボッツ K.K.』も本イベントに参加。マルチプレイで対戦するゲームデザインが人気を博していた。

さてデジゲー博の活況とは、昨年よりもサークルの参加が目立ち、来場者も行きやすい情勢になったことだけで生まれるわけではありません。もっとも印象的なのは、参加者のバリエーションが多様なことです。

デジゲー博の参加サークルが多様なのは、基本的には参加条件があまり厳しくないことがポイントにあるでしょう。例年では出展費用が6600円と安価です。昨年と今年はコロナの影響もあり、安全なスペース確保のため11000円になっていますが、それでも他インディーイベントが出展に数万円以上かかり、さらに参加に審査もあることを考えると、学生や若手にやさしいイベントと言えます。

もちろんインティ・クリエイツをはじめ、企業出展も少なくはありませんし、本イベントを周到なプロモーションに位置づけて参加しているサークルも多いです。ゲームイベントの参加目的には開発タイトルを来場者に遊んでもらうダイレクトなフィードバックや、それに伴うプロモーションのほか、パブリッシャーとの出会いなどがあると思います。

ですがデジゲー博に至っては、シンプルに「参加して、いろんな人にゲームを触れてもらってコミュニケーションする」のはもちろんながら、そもそもの「ゲームを自主制作して、人に見てもらったりする楽しみ」が得やすいイベントではないでしょうか。

たとえばゲームを作り始めたばかりのプロトタイプ版を展示して来場者に見てもらう、というのもありですし、完全に実験的なプロダクトを出してみることだってありなのです。

筆者が見て回った中でも、自分の中の『メタルマックス』フォロワーを作りたいクリエイターが、モック版を展示してレスポンスを得ていたり、LED電球を使ったまったく新しいゲーム端末を制作しているクリエイターなど多彩でした。

学生のサークルももちろん少なくないですし、ベテランのサークルが20年近くに渡る活動を、DVDや同人誌にまとめたものを公開しているスペースもあります。ひたすらにファミコンの拡張ソフトを開発し続けていたり、はたまたUnityで勉強した成果でできたゲームを見てもらおう、といった目的で参加しているサークルもあります。

総じてデジゲー博では、シンプルに自主制作そのものを肯定的に感じられるイベントであり、参加する意味は大きいでしょう。

もちろん今後の事業的な展開を考えて出展するところも多いですが、ビジネスを抜きに、まずは作りたい気持ち一点で開発中のプロダクトを持っていき、いろんな人とコミュニケーションできる場でもあると思います。

弊誌はもちろんインディーゲーム開発において、役立つツールの紹介や、ゲームイベントの情報をお伝えすることで、ゲーム作りを手助けしたり、世に広めるための情報を伝えることが主です。しかし、大切だと思うのは、まずは「自分でゲームを作ることと、ゲームを遊んでもらうことを楽しむ経験をする」に他なりません。こればかりは、実際に経験することで得られるものではないでしょうか。

デジゲー博では、イベントに参加して、なによりも作ることや遊んでもらうことを楽しむ経験を積みやすい場所です。また他のサークルの多様なクリエイティブも観ることで、そもそもの自主制作することそのものを楽しむ空気を経験することで、後の開発に良い影響がある、と考えます。その意味で、今回のイベントが良いタイミングで開催できたことは大変に喜ばしいことでした。

自作ゲームのはじめてのお披露目の場として、ぜひデジゲー博に参加してみることをおすすめします。

デジゲー博公式サイト

葛西 祝

ジャンル複合ライティング業者。ビデオゲームを中核に、アニメーションや映画、アートから文学、時に格闘技に至るまで多様なジャンルを横断して執筆している。 公式サイト:http://site-1400789-9271-5372.strikingly.com/

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