「Mexican Ninja」開発者がRedditにてウィッシュリストを1万から2万に増加させたノウハウを振り返り
Steamでのウィッシュリスト獲得は、インディーゲーム開発者にとって重要なマーケティング活動です。しかし、ウィッシュリストを伸ばすことは簡単なことではありません。インディーゲーム開発チームのMadbricksが「Mexican Ninja」のウィッシュリストを3ヶ月で10,000件から20,000件へと倍増させた方法をRedditで共有しています。本記事では、日本の開発者も適用できるパートについて紹介します。
https://www.reddit.com/r/gamedev/comments/1psulqs/we_went_from_10k_to_20k_wishlists_in_3_months

トレーラーを「特別なイベント」から「日常的な武器」へ
ウィッシュリスト獲得の最大の原動力は、トレーラーです。重要なのは、トレーラーを数ヶ月に一度の「特別なイベント」として扱うのではなく、開発の節目ごとに新しいバージョンを制作し、継続的に発信することです。メディアやコンテンツクリエイターは常に新しい情報を求めており、Steamのアルゴリズムも一度の大きなスパイクより、継続的なアクティビティに好意的に反応します。特に効果的だったのは、トレーラーの冒頭で企業のロゴや長々とした演出を避け、最初の数秒で実際のゲームプレイを見せることでした。プレイヤーは一瞬で判断します。
Steamページを「3秒ルール」で最適化し続ける
Steamストアページにおいては、訪問者が3〜5秒で「どんなゲームか」を理解できるようにすることが目標です。クリック率(CTR)、ユニーク訪問者数、そしてウィッシュリストへ入れたかどうかの打率を常に監視し、改善を続ける必要があります。説明文を書き直し、スクリーンショットやGIFを入れ替え、ゲームの魅力を瞬時に伝えないであろう要素はすべて削除します。「最も魅力的で、最新のゲームプレイを捉えたトレーラー」をページの最上部に配置することも、コンバージョン率を高める上で重要です。
デモを「継続的なマーケティングツール」へ転換する
多くの開発者は、デモ(体験版)を一度公開したら終わり、と考えがちです。しかし、デモは「生きているプロダクト」であり、強力なマーケティングツールです。デモに新しい機能を追加したり、バグを修正したりするたびに、それは新しいマーケティングの機会となります。プレスやクリエイターに再びアプローチする理由になり、RedditやX(旧Twitter)で告知する新たなコンテンツが生まれます。たとえ小さなアップデートであっても、視覚的に新しい何かを見せることができれば、Steamのアルゴリズムからの評価も高まり、プレイヤーの関心を再び引きつけることができます。
Steamタグを全部埋めない
Steamタグは、単なるキーワードではありません。これは、あなたのゲームがどのようなプレイヤーに表示されるかを決定する、アルゴリズムへの重要なシグナルです。開発者は、利用可能な20個のタグをすべて埋めようとしがちですが、実際には10〜15個の、ゲームの核心を正確に表すタグに絞り込む方が効果的です。
関連性の低いタグは、間違った層のプレイヤーを呼び込みます。彼らはすぐにページを離脱するため、直帰率や滞在時間といった指標が悪化し、結果としてSteamからの評価が下がってしまいます。「量」よりも「質」を重視し、タグを厳選することで、ウィッシュリストへの転換率は着実に向上していきます。
マーケティング手法は様々、タイトルの特性に合ったやり方を
元となった投稿にはショート動画の活用やフェスティバルの選び方なども紹介されていますが、書いてあること全てを単にこなせばあなたのゲームのウィッシュリストが伸びるわけではありません。加えて、「Mexican Ninja」はメキシコのゲームですので、全ての方法が日本の開発者にフィットするものでもありません。たとえば無暗にショート動画の作成にリソースを割いて、Steamでゲームを買わない層を呼び込んでも意味がありません。すべてを鵜呑みにせず、意味がある行動なのかどうかを吟味してから実施しましょう。
また、本投稿は、「最初のデモをリリースするまでの3ヶ月で、ウィッシュリストが約1万件に達しました。何がうまくいったのか(そして何がうまくいかなかったのか)を紹介します。」という投稿の続編です。Discordサーバーを早くから構築したことや、Steamレビューページでの毎月投稿などのノウハウが書かれています。こちらも併せて読むことをお勧めします。






