すべてオンラインで行われるゲームイベント「Summer Game Fest」開催決定。4カ月に及ぶイベントは、ゲームイベントの将来を提示する可能性も。
ゲームイベント「Summer Game Fest」が5月から開催することが発表されました。本イベントは、新作の発表やゲーム内イベントのほか、無料デモの公開などすべてをオンライン上で行うイベントです。
開催期間も5月から8月にかけた4カ月という、オフラインのゲームイベントでは考えられない長い期間に行われます。
本イベントは新型コロナウィルス(以下、新型コロナ)に対するオンラインイベントというだけではなく、近い将来のゲームイベントが進む可能性も提示しているようです。
新型コロナウィルスにより、E3をはじめ中止したイベント群の大きな代案として
新型コロナの影響により、すでにGDC Summer、E3 2020をはじめ、北米で主要となるゲームイベントまで中止を発表しています。
世界で多くのイベントが、代案としてオンラインイベントに切り替えることを発表しており、GDC Summerもオンラインイベントとして仕切り直しています。ですが、世界最大のイベントであるE3 2020はそんな仕切り直しができませんでした。オンラインイベントを開催しないことが発表されたからです。
E3 2020の代替策は参加予定だった各社の告知協力に留めていたところ、今回のSummer Game Festでは重要な企業の参加が発表されています。E3ができなかったオンラインイベントを実現するかのような布陣だと言えるでしょう。
参加する企業はブリザードやアクティビジョン、2K、CD ProjectREDなどの大企業のほか、日本からはバンダイナムコゲームズ、スクウェア・エニックスが名前を連ねています。
さらに、ソニー・エンターテインメントやマイクロソフト、さらにValveといったプラットフォーマーの企業も参加を予定。今後も参加する企業が増えていくそうです。
広い意味でE3への “代案 ”、そして将来におけるオンラインのゲームイベントの可能性
一方、Summer Game Festは新型コロナの影響による代案としてのイベントというだけではなく、近年のE3全体への代案と見れるかもしれません。
理由としては、イベントのキュレーターにジェフ・ケイリー氏が関わっていることです。彼はカナダのゲームジャーナリストとして活躍し、その年で最も優れたビデオゲームを選考する「The Game Award」の司会として有名な人物です。
ケイリー氏はE3のイベント司会として、長いあいだイベントへ貢献していました。ところが今年2020年は不参加を発表。GamesIndutry.bizによる取材によれば、ケイリー氏は「業界を一つの旗印の下に集めること」や「昨年Gamescom Opening Night Liveが発表されたとき、ケイリー氏はまだE3から遠ざかっていた大手企業を結集させようとしていた」ことが書かれています。
近年のE3では、2018年からソニー・エンターテインメントが不参加を発表していたり、各企業が最新作の発表をオンラインで行うケースが目立っています。
つまり巨大イベント参加によるプロモーションに頼らずとも、自社でオンラインによる発信を重視しており、E3のようなイベントに参加する意味が少なくなっている状況がありました。そのため今E3が「業界を一つの旗印の下に集める」ことが難しくなっている状況だと言えるでしょう。
ケイリー氏は「デジタルイベントへの移行はパンデミックによって加速されたものの、業界はいずれにせよその方向に進み始めていると考えている」と発言。彼は新型コロナが蔓延する前から、オンラインによるイベントのアイディアをE3に提案していました。しかし提案を聞きいられなかったことも、今年E3 2020から離れる理由のひとつだと説明しています。
新型コロナにより、世界から多くの人々が集まるオフラインのイベントを開催することが難しくなっています。そのためオンラインイベントが代替策となっていますが、実際にはそれ以前からオンラインへ移行する流れができていたことをケイリー氏は指摘しました。
その意味でSummer Game Festは、ケイリー氏による “一つの旗の下に集まる”、 “オンラインが主流となる” という考えを実現するイベントともいえるでしょう。「数年後、観客向けのイベントを完全にデジタル化し、誰もがアクセスできるようになると思います」と彼は展望を語っています。
インディーゲーム部門はどのように参加するのか?
Summer Game Festでは大企業の参加が目立ちますが、小規模なパブリッシャーやインディーゲームを積極的にアピールさせることも目的としています。本イベントでは、かつてE3とパートナーシップを取っていた企業、Iam8bitが協力しているとのことです。
IndieGamesJp.dev編集部ではインディークリエイターがどのような手続きで本イベントに参加できるのか、現在、関係者にお話をうかがっています。情報公開され次第、追ってレポートする予定です。