インディーのオンラインイベント最大手「Steamゲームフェスティバル:サマーエディション」の効果はどうだったのか?専門家による分析が公開。

オンラインによるインディーゲーム見本市「Steamゲームフェスティバル:サマーエディション」6月16日~23日に開催され、イベントが終了してからしばらく経ちました。インディーゲームフェスティバル(IGF)の名誉会長であるサイモン・カーレス氏が自らのブログ「Game Discoverability」にて、イベントを振り返っています

ブログにはSteamに新しく実装されたSteamポイントについて書いているほか、注目すべきなのは「インディーゲームクリエイターにとって、今回のオンラインイベントがユーザーにとってどのような効果があったか?」についての言及している点です。

最大手のSteamによるオンラインイベント。その注目すべき点

Steamゲームフェスティバル:サマーエディションをあらためて説明しますと、開発中のタイトルや、リリースして一年未満のタイトルのストアページやデモを公開したイベントです。

イベント期間では開発者自らがゲームプレイをしたり、紹介をしたりする配信が行われるほか、チャットでコミュニケーションすることもできました。通常のイベントで体験できる「ゲーム内容のあらましを見る」、「ゲームを試しに遊んでみる」、「開発者に直接、ゲームを紹介してもらう」ことをオンラインでできるようにしたものです。

このイベントの注目すべき部分はもう一つ。最大のプラットフォームであるSteamが開催するため、オンラインイベントにおけるプロモーション効果のメルクマールとして見れる点です。

新型コロナウィルスの影響以降、各イベントがオンラインイベントへシフトしているなか、最大手がどれだけ効果を挙げられるかにはひとつの指針となるでしょう。

最大手のプラットフォームが主催したオンラインイベントの効果とは?

ではこのイベントは、実際どれくらいユーザーへアプローチできていたのでしょうか? それがわかるポイントはウィッシュリストの追加デモのダウンロード回数です。

特にウィッシュリストに追加されることで、リリース時にすぐユーザーに購入導線へとつなげるチャンスが生まれるため、とても重要だと言われています。Steamの場合はプラットフォーム側がそのままオンラインイベントを行うことで、ストアへとつなげているため、やはり他オンラインイベントよりも購入導線への繋がりやすさが違っているのは確かでしょう。

サイモン氏は、ユーザーがイベントによってウィッシュリストへ追加した数やデモのダウンロード数について情報を集め、分析しました。

記事ではイベント全体でウィッシュリストへの追加が行われた統計グラフを掲載。サイモン氏はまず、「イベントの特設ページにデフォルトで表示されていないような、すぐには目に入っていないタイトル」についてどれくらいウィッシュリストへの追加が行われたのかについて言及。実際の開発者たちがイベントでどれほどの効果があったのかを紹介しています。

『The Eldritch Zookeeper』のウィッシュリストの追加グラフ
“特設サイトで目立たない”タイトルはどのような効果があったか

The Eldritch Zookeeper』のマット・ルアード氏は、イベント全体で約600の追加が見られたことが判明。イベントの前日である6月15日が追加のピークとなっています。

その他に『Do Not Buy This Game』の開発者、ルイ・アマール氏がTwitterに挙げた統計では、ウィッシュリストに497追加されたことと、デモを668回ダウンロードされたことを説明。『Neko Ghost, Jump!』の開発者ビクター・バーゴ氏がRedditにて掲載した結果では、ウィッシュリストの追加は191、デモのダウンロード回数は271回だとまとめています。

特設ページにフィーチャーされるタイトルは
ウィッシュリストの追加も段違いに

では、イベント特設ページにてフィーチャーされたタイトルはどうだったのでしょうか?

ターンベースRPGの『The Last Spell』は、特設ページにフィーチャーされたタイトルのひとつです。本作は先のタイトルと比べてウィッシュリストの追加された数の桁が違っています。イベント中になんと約8600の追加があり、およそ6000回ものデモのダウンロードがあったのです。

同じくRPGの『Shores Unknown』もかなりの記録を出しています。もともと、日に20から30のウィッシュリスト追加があったそうですが、イベントによって約4200の追加が行われたといいます。その他にも、フィーチャーされたタイトルは4桁以上のウィッシュリストやデモのダウンロードがされたケースを紹介しています。

また、ユーザーがデモのダウンロードに直行してしまって、ウィッシュリスト入りにつながらないケースも少なからずあるようです。

サイモン氏はこう説明します。「Valveによって “特集 ”されたゲームはイベントでも優れたものだった。それはほぼ、以前から大きなファンの基盤を持っていた可能性が大きく、イベント前からウィッシュリストに追加している人はいた。しかし、イベントによってそれを大きく後押ししている」

「イベントに参加したクリエイターの多くは、参加する価値があると考えていた。」とまとめつつ、「もっとたくさんウィッシュリストの追加が欲しかったかもしれないけど、評価してくれているようだ」とサイモン氏は語っています。

イベントの効果は。

サイモン氏の記事をまとめますと、イベントに大きくフィーチャーされるタイトルと、そうでないタイトルとではウィッシュリストの追加に差があるものの、イベントが今後のビジネス展開に効果が出ているのは確かなようです。

ただ、ウィッシュリストの追加が購入導線にはなるものの、実際に購入されるかというとそうはならないケースも過去に報道されており、ビジネスとして成功させるには様々な要因を配慮していくことが重要な模様です。

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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