Google Cloud Game Serversが稼働を開始。マルチプレイのFPSやMMO開発に対応するサービス
Googleは、Google Cloudでの専用ゲームサーバサービスとなる「Google Cloud Game Servers」を正式に開始しました。
Google Cloud Game Serversは、FPSのマルチプレイヤーや、MMOといったオンラインでのゲームプレイを実現していくベースとなるサービスです。
UBISoftと協働したAgonesからの発展形
本サービスの中心となっているのは、オープンソースのゲームサーバーホスティングシステムである「Agones」です。Agonesは2018年にGoogleがビデオゲーム業界の大手メーカーであるUbisoftと共同開発したゲーム向けサーバーシステムです。
当時のUbisoft開発部長は「プレーヤーがゲームに集中できるためには、クォリティの高い、最高にシームレスなサービスを提供しなければならないし、そのための方法をたえず改良していく必要がある」と発言しており、Agonesプロジェクトはその問題を解決するサービスとして始まっていました。
AgonesはKubernetes上で稼働するサービスです。Kubernetesはクラウドサーバー内で実行する仮想環境をスケジューリング・調整できるシステム。もともとGoogleが設計したシステムですが、現在は別の団体がメンテナンスしています。
すでにAgonesはゲーム開発の現場で使われていますが、ゲーム開発者自身が各種環境を用意して実行する必要がありました。今回のGoogle Cloud Game Serversは、Google自身がAgonesおよびKubernetesをサーバー上にセットアップした状態で、クラウドサービスとして開発者に提供するものです。
ゲーム開発者向けサーバーサービスの抱える難しさ
ではゲーム開発者向けサーバーサービスとしては、Google Cloud Game Serversはどのような価値があるのでしょうか?ゲーム開発において、マルチプレイは花形です。しかし、実際に開発していくのは困難を伴います。そこで多数の会社がサーバー部分を開発しやすいように様々なサービスを提供しています。
導入の敷居が低く、サーバーホスティングを意識せずに使えるサービスは、デメリットとして大規模なネットワーク構築には不向きで、高負荷時の対応がしづらくなる傾向にあります。逆に、サーバーの規模や増強などに柔軟さを持たせようとすると、開発者に求める技術的な難易度は上がります。UnityやUE4ですぐ使えるマルチプレイヤーの開発者向けSDKがある一方で、低いレイヤーのサービスが存在するのは、こうした理由があります。
Google Cloud Game Serversは、webサーバーにある程度知見のある開発者か、バックエンドチームを有する企業向けといった感触です。他のGAFAMによるマルチプレイ向けサービスと比較しますと、MicrosoftはAzure上で「PlayFab」を提供し、Amazonは同様にAWS上に「GameSparks」というサービスを提供しています。これらはBackend as a Serviceと呼ばれるもので、Google Cloud Game Serversは同じレイヤーの製品ではなく、バックエンド部分は別途用意する必要があります。
おそらく、Google Cloud Game Servers上で動くBaaS化されたサービスも今後現れるものと想像します。いずれにせよ、ゲーム開発者向けサーバーサービスの盛り上がりはまだまだ続くものとなるでしょう。