“開発者フレンドリー”な新興ゲームマーケティング企業「Ukiyo Studios」はどのように生まれたのか? 代表者インタビュー
——今の話の関連として、Ukiyo Studiosでは開発者にローカライズから代理出展などさまざまなサポートがありますよね。「ローカライズのみ」とか「代理出展のみ」依頼して、あとは他の会社と組むというかたちも可能でしょうか。
高橋:全然かまいません。要するにUkiyo Studiosの「マーケティング」、「ローカライズ」、「イベント代理出展」3つの機能があり、開発者には好きな組み合わせを選んでいただくのが私たちのポリシーです。「イベント代理出展だけお願いしたい」のも全然OKなんです。
——代理出展というと、ゲームのことをどれくらい説明できるかに少し不安があります。
高橋:それも、翻訳を一緒にやっている場合は少し軽減できます。たとえば前回のTokyo Sandboxでスタッフを4人連れて行ったんですが、全員がゲーム翻訳者なんですね。つまり、出展作品のローカライズを担当していたメンバーなんです。
なので、いざ日本人のお客さんが来た時に、出展作品についてものすごく深く話せるんですね。最初から最後まで翻訳しているから、ゲームを熟知しているわけです。
——他の国のイベントでも同じような形でしょうか。
高橋:そうですね。たとえばUkiyo Studiosのチームでイタリアの開発者のゲームを英語に翻訳したことがあり、それをイギリスのゲームイベントにそのまま翻訳者もつきそいで参加しました。
あとは2年前に『Calico』という猫カフェ運営ゲームを中国語に翻訳した方が、そのまま中国のイベントの代理出展も担当しています。これらのメリットは、「何か質問があるとすぐ対応できる」ことなんですよ。
毎回そうしたスタッフを揃えられるわけではありませんが、代理出展の不安を減らす一助になると思います。最近は日雇いで代理出展の案内をやらせる会社とかもありますが、雇った人がゲームをちゃんと遊んだことがないこともあったりするんです。なので、Ukiyo Studiosでは翻訳担当でなかったとしても、スタッフに少なくとも出展作品はぜんぶ遊ばせています。
開発者が意識すべき東南アジアという市場
——今後はどんなイベントの出展作品を考えていますか。
高橋:TGSに参加するかしないか迷っています。タイミングとしては営業で行ったほうがいいのかなと。次の代理出展はgamescom asiaになりますね。
いまアメリカやヨーロッパで長い付き合いのある開発者さんたちを何度か日本のイベントの出展をお手伝いしていますが、、私たちの本音としては、こうした海外の展示会に日本の開発者をどんどん連れていきたいんですよ。
人数が増えれば増えるほど、参加費用が安くなります。たとえばgamescom asiaで「日本インディーコレクション」って大きくブースを構えられたら素敵ですよね。なので「gamescom asiaに参加しませんか?」という案内を出します。
筆者注:募集が開始されました。(有償のサービスとなります。詳細はお問合せ下さい。)
UKIYO STUDIOS GAMESCOM ASIA「ジャパン・インディーゲーム・コレクション」プランで提供するサービス:
https://www.ukiyostudios.com/gamescom-asia
・ストレスフリーな代理出展
・英語版プレスリリース
・ローカライズ(別料金)
・バナー制作
・チラシ制作
・機材レンタル
・ブーススタッフによるゲームの説明
・設営および撤収
・配信者やメディアとの連携
・B2B間におけるネットワーキング
gamescom asiaは今回が初めてのイベントなんです。もともと2020年に開催するつもりだったんですが、コロナで延期になってしまって。その間、市場にも変化がありました。以前はモバイル系のゲームイベントが多かったんですけど、コロナのあいだにPCの利用率が一気に上がったんですね。家にいるから本格的にゲーミングPCを買って遊ぼうとか、Epic Games Storeが出てきたりとか。それに伴って、いろんなストアで大きなセールをするようになりました。
昔はSteamは年1回大きなセールがあるくらいでしたが、いまは3,4カ月に一回大きなセールがあるとみんなわかっています。みんなのゲーマーインテリジェンスが上がった印象があるんです。東南アジアでもPCゲーマーの数はどんどん増えていますね。コンソールはまだそこまでではありませんが。
——私も東南アジア市場を意識していなかったので、すごく面白い話です。
高橋:以前、私はモバイルゲームの会社で仕事をしていたんですね。モバイルゲームが人気になる国って、経済状況がすべて同じなんです。
ベトナム、タイ、シンガポールもそうで、バスや電車通勤・通学が当たり前。日本もそうなんですけど、電車やバス通勤でやたらと頻繁に駅やバス停に止まる。となると、スマホを横向きにして遊ぶのっていちばん簡単なんですよ。
一方、アメリカだと高校生が自分の車を運転したりするので、モバイルゲーム市場は比較的小さいんですよ。だけどタイやインドネシアだとみんなスマホを持っています。政府がスマホ購入の支援をしているんですね。
特にタイだと5GのWifiが容量無制限で月額2、3000円とかなんですよ。みんなNetflixで映画をダウンロードして観たりしています。なので日本では聞いたことが無いようなゲームでも、みんなそのゲームのオンラインマルチプレイでずっと遊んでいるんですよ。朝から晩まで。なのでモバイルゲームは強いです。