『Among Us』開発元が設立したインディーファンドOuterslothがその全容を語る、GDC登壇動画がVaultにて公開中

先日、世界最大のゲーム開発者カンファレンスGDC(Game Developers Conference)が2025年実施の動画を公開しました。そのなかで、『Among Us』を開発したInnerslothの共同創設者Forest Willard氏とコミュニケーションディレクターのVictoria Tran氏がインディーゲームファンド「Outersloth」について語るセッションも公開。運営の中身について詳しく紹介しています。

https://gdcvault.com/play/1035853/Game-Funding-Lessons-from

Outersloth設立の背景

Outerslothは、インディーゲームを対象としたファンドです。2024年に開始され、これまで24タイトルを支援してきました。

Innerslothが『Among Us』の成功で得た資金を、株式や不動産ではなくゲーム業界に還元したいという考えが出発点です。現在は『Slay the Spire』の開発元Megacrit(Casey Yano氏)や匿名パートナーも加わり、5年間で総額2,500万ドルの予算を四半期ごとに分割して運用しているそうです。

Voyer Lawの調査によると、インディーゲームのパブリッシャー契約の48.4%が「100%リクープ」、つまりパブリッシャーが投資額を全額回収するまで開発者に収益が入らない条件を採用しています。リクープ後も平均41%(中央値50%)の収益がパブリッシャーに渡ります。この構造では、ゲームが中程度の成功を収めても開発者の手元に次回作の資金が残りにくく、常に資金調達を繰り返す状態に陥りやすいと指摘しています。

Outerslothが公開している契約条件として、まずリクープ前までのレベニューシェアは50%としています。かわりにマーケティングやQAといったサービスを提供せず、リスクを開発者と共有する形にしています。リクープ後のレベニューシェアは15%で、リリース後の長期サポートを行わないことを理由にしています。さらに、リリース後7年で契約が自動終了します。成功・失敗を問わず一定期間で終了することは、開発者にとっての出口を明確にするとともに、Outersloth側の経理負担を軽減する目的もあると説明されています。Outerslothはパブリッシャーではなくファンドであるため、支援を受けたスタジオはセルフパブリッシングを行います。QAやローカライズ会社の選定ノウハウを開発スタジオ側に蓄積できる一方、作業量が増えるというトレードオフがあります。

Outerslothは日平均4.5件の応募、契約率は1.4%

Outerslothへの応募は併記して1日約4.5件もあり、契約率は約1.4%です。ただし、応募の約50%は生成AIを使用していたり、要件不備であったりなどの、基本的な理由で却下されているそうです。評価には明確な数値基準はなく、予算・スケジュールの妥当性に加え、パートナーが「魂(Soul)を感じるか」という直感的な判断も含まれます。審査は公開フォームへの応募から始まり、一次審査、情報確認、デモプレイ等を含む二次審査、パートナー全員での協議(Sloth Tank)を経て契約に至ります。2026年2月時点で約1,900万ドルを使用し、24タイトルと契約しています。リリース済み5タイトルのうち2本が黒字で、1本がブレイクイーブン間近という状況です。

パブリッシング契約やファンドへの応募を検討している開発者は、リクープ後に次回作の開発資金が手元に残るかどうか?も事前に試算しておくことをおすすめします。

GDC Vault講演「Game Funding: Lessons from Outersloth」はこちら

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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