ゲーム業界向け法律事務所Voyer Lawが「ゲームパブリッシング契約分析レポート」を公開、130件以上のパブリッシャー契約書を分析

ゲーム業界に特化した法律事務所であるVoyer Lawは、2026年3月17日に「2026 Publishing Agreement Market Report(2026年ゲームパブリッシング契約レポート)」を公開しました。このレポートは、130件以上の実際のパブリッシング契約データを分析し、開発者とパブリッシャー間の契約条件の標準はどこになるか?を明らかにすることを目的としています。
本レポートは、開発者がパブリッシャーから提示された契約条件が標準的なものか、あるいは例外的なものかを判断するための基準を提供します。また、パブリッシャーにとっても自社の条件が競合他社と比較して競争力があるかを評価する指標となります。
レベニューシェアの平均値と資金提供の平均額
レポートでは、分析対象となった2017年から2026年までの契約を3つのタイプに分類しています。最も多いのは「資金提供ありの契約」で全体の62%を占めており、パブリッシャーから開発者へ開発資金として1回以上の支払いが行われます。次いで「資金提供なしの契約」が27%となっており、開発資金としての支払いは行われません。残りの11%は「家庭用ゲーム機専用契約」です。
開発者とパブリッシャー間の収益の分配比率については、開発資金の提供が行われる場合、開発者の収益シェアは資金提供なしの契約と比較して実質的に低くなる傾向があります。資金提供ありの契約では、開発者が受け取るレベニューシェアの平均値は収益の57.9%で、パブリッシャーは42.1%です。資金提供なしの契約では、開発者が受け取るレベニューシェアは平均67.9%、パブリッシャーが32.1%となっています。また、一定の条件(売上額など)を満たした後に収益分配率が変化する「トランシェ」が設定されている契約についても調査がされています。開発資金の提供あり契約のうち37%、なしの契約でも20%の割合でトランシェが設定されています。

開発資金提供ありの契約における平均額は602,818米ドル(約9,500万円)、中央値は270,000米ドル(約4,300万円)、でした。最高額は6,000,000米ドル以上、最低額は20,000米ドルとなっています。開発資金の支払い条件として、84%の契約がマイルストーンに連動した支払いを採用しています。また、94.7%の契約で開発資金の回収(リクープ)が規定されていますが、収益分配前に全額を回収する契約は37%にとどまり、63%は収益分配と並行して回収されるケースとなっています。ゲームが開発資金を返却し終わる前であっても、収益配分を受けられるケースが過半数を占めるということです。
パブリッシャーが開発者の代わりに支出した費用に対して手数料として開発者に支払いを課す契約はごくわずかであり、資金提供な意思の場合は手数料支払いはゼロ、開発資金提供ありの場合でも96%が手数料を取りません。また、開発者がパブリッシャーの売り上げデータなどを監査する権利(監査権)は8割以上が認められています。知的財産権(IP)については、開発資金の提供がある場合でも93.2%が開発者がIPを所有しています。グッズ販売などのマーチャンダイズ収益の分配は、開発者側が約50%〜57%のシェアを獲得しています。
パブリッシャー交渉にあたっての事前知識として
本レポートでは、他にも続編の扱いなど、様々なデータが収集されています。これまでパブリッシャーと開発者の契約条件は業務上の秘密情報のため、公になることは少ない状況でした。今回のレポートで、オファーを受けている契約形態が平均的なところとどれだけ異なるかが分かります。ただし、パブリッシャーが側が広告宣伝や技術サポートにどれだけコストをかけるか?という変数もありますので、これらのレポートと遠かったからと言って一概に悪い契約条件とは言えません。
パブリッシャーとの契約内交渉を控えている開発者の皆様は、提示された条件を評価する際の客観的なデータとして、本レポートの数値を活用してみてはいかがでしょうか。





