VRタイトルの全世界配信におけるレーティング・ストア審査・自社マーケティングのコツ。『ラストラビリンス』振り返り[CEDEC2020]

プラットフォームへ配信登録する際の注意点

続いて、各プラットフォームへビルドを提出する際の注意点の説明がありました。共通する項目として、まずはタイトルの情報やスクリーンショット、動画・画像素材や技術的な情報などなど、多岐にわたる項目をあらかじめ準備しておかなくてはなりません。

(個人ゲーム開発では本人がすべて把握しているのであまり問題にはなりませんが)本作は多数のスタッフが関わった作品であるため、これらの情報を複数の人間から収集せねばならず、マスター前の時点で聞いて回るのは大変だったそうです。

登録手順はとにかく早めに、余裕をもって、という心掛けが大切です。ちなみに、売り上げの振り込みに必要な「財務情報」は別登録になっていることが多いらしく、本作では登録を忘れてしまい、危なかった場面もあったそうです。

プラットフォームごとの注意点について、残念ながらPS StoreについてはSIEの許可が下りなかったらしく知見の共有はありませんでした(直接問い合わせてほしいとのことです)。

Oculus Questの場合は、まず開発の前に「企画の審査」があります。企画書は3ページぐらいらしいですが、古い情報らしく最新の状況は別途確認して欲しいとのこと。また、タイトルのチェックは発売の8週間前にスタートするため、早めのデータ提出が必要です。

Steamは「最低2週間前」からタイトルページを一般公開する必要があるものの、これは必要資材が「タイトル名」「スクリーンショット」「基本のテキスト」さえあれば公開できるため、2週間前と言わず、とにかく早めに公開してウィッシュリスト登録数を稼ぐことが大切だそうです。

ウィッシュリスト登録をしていれば、発売の際に通知がプレイヤーに届きます。またそのタイミングで購入に至っていなくても、タイトルのセールや大型アップデートの際に通知を飛ばすことができます(筆者注:大型アップデート通知は回数制限があります)。Steamストアには広告機能が無いため、このウィッシュリスト登録数がものをいいます。

また、Steamでの価格設定は、「各通貨の値段」を慎重にチェックする必要があります。Steamでは自動で各国の通貨に変換してくれる機能がありますが、これは為替だけではなく、通貨市場の平均などの他の要素も絡みます。自動設定のままにしていると、ある地域ではものすごく安く発売されてしまう可能があるそうです。

MS Storeに関しては、チェックリストに全ての手順が整頓されており、配信をきめたらチェックリストに沿って埋めていくだけで手続きが進められるそうです。また、「ID@Xboxディベロッパー登録(法人格が必要)」と「Xbox Live対応」の2つの条件を満たすと、日本法人のサポートも得られるようになるとのことです。

講演の最後に鶴田氏は、パブリッシングのチャレンジは大変だったが「使えるものは全部使う」「とにかくファンになってもらう」「ダメもとでもやってみよう」という精神で乗り切った、と振り返りました。ディミトリ氏は「我々が苦労した同じことで、みなさんが苦労しなければ嬉しい」と伝え、セッションを締めました。

講演資料は「CEDiL」で公開予定です。内容を詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です