“開発者フレンドリー”な新興ゲームマーケティング企業「Ukiyo Studios」はどのように生まれたのか? 代表者インタビュー

今後Ukiyo Studiosのようなビジネスは出てくるのか?

——Ukiyo Studiosさんのように複数のタイトルのマーケティングやローカライズなどを行うビジネスモデルの企業は、今後は増加すると思いますか。

高橋:

ゲームマーケティングやパブリッシャー業って「元○○」って肩書の人が多いんですよ。「元任天堂」や「元Xbox」とかだと、「俺と組めばXbox Game Passにゲーム入るぜ!」とか「任天堂ダイレクトにピックアップされるぜ!」と言える人もいるんですね。

なので、コネがある人はこういうビジネスには入ってこれるかもしれませんね。ただ、コネがあるからこそ、「パブリッシャー」を始めちゃう人がほとんどだと思っています。実際アメリカのインディーパブリッシャーとか、みんな社長は元ソニー・インタラクティブエンタテインメントや元任天堂、元マイクロソフトなんです。

結局は、会社を興して法人化すると安定した収入が必要になってくるので、パブリッシャー契約やレベニューシェアが合理的になります。それらとUkiyo Studiosが違うのは、そもそも私とデイヴィットには別の事業があることなんですよ。デイヴィットの場合は公認会計士としてオーストラリアの数々のビジネスをコンサルタントとしてサポートしています。

なので、Ukiyo Studiosのマーケティング事業を早く大きくしようという計画はないんですね。もちろんゲームの成功を支えたい気持ちはあるんですけど、大企業のようなノルマや株主への義務とかそういうのがないからこそ、自分たちのペースで単発式のサービスが提供できるんですよ。

ただ、「そんなマーケティングだけで食べていこう」という人が出てきたら、単発式は難しいんじゃないかと思っています。

もし大きくするビジネスとしてやるならば、常に新しいお客さんを確保しないとビジネスとして続かない。そういうプレッシャーがあるので、この業態には新規で入ってこないんじゃないかと思うんですよ。

やっぱりゲーム開発って何年も関わるプロジェクトじゃないですか。なのでパブリッシャーや投資会社となって早い段階から携わって、レベニューシェアでリターンを求める事業が多いんじゃないかなと。特に2年前の『Among Us』の成功で、「こういうインディーゲームに投資して当ててやろう」としている会社がみるみる増えているので。

私は2019年まではeスポーツ関連に関わっていたのですが「お金だけ出すから私たちの名前を入れてくれ」って会社がいっぱいいましたね!大手企業が「eスポーツに関わってるんでしょ? お金出すからなんかやってよ」っていう態度がダメで。お金出せばいいんじゃないんだよっていう。そういう気持ちがあるんです。

草の根活動を守りたいし、インディー開発者たちがカモにされないまま大きく羽ばたければと思っています。

——最後に、日本の開発者に向けておふたりからメッセージをお願いできますか。

デイヴィット:私はみなさんのハードなゲーム作りへのクリエイティビティに感謝しています。インディーゲーム開発というリスキーで、一見「一人でやらないといけないこと」が多くあると思いますが、ゲーム開発以外のビジネス面で、みなさんが成功することをUkiyo Studiosとして手助けできればと思います。私たちにマーケティングやローカライズを任せて、開発者さんにはゲーム開発に専念してもらいたいです!

高橋:海外のイメージでは日本発のゲームで遊ぶのって主にAAAクラスになるんです。「日本のインディーゲームなんてない」、と思っている人たちもたくさんいると思いますし。

日本のインディーゲームは本当に多様性があり、いろんな面白いゲームがある。でも知られていないと感じています。

知られていないだけで素晴らしいゲームがある。だからあえて作風を海外に寄せたりとか、無理にAAA風に見せたりせず、素直にこういうゲームを作ってみたいという愛情が作品として出てくると思います。

なので、作りたいゲームを作って、海外に紹介していく活動をぜひ一緒にやっていきたいと思っています。

——ありがとうございました!

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今回のUkiyo Studiosのお話からは、通常のパブリッシャーとは違うかたちでゲームを世界に広める手助けをする方法がうかがえるものでした。

いま、開発者を資金や宣伝の面でサポートする、さまざま企業やコンテストが出始めています。そんな中で、Ukiyo Studiosは「自分でこのゲームをSteamで売りたい」というスタイルの開発者に寄り添い、かつ的確にゲームを広める手助けを提案しています。このスタイルは、もしかすると日本のインディーゲームシーンの特性と非常にフィットした選択肢と言えるかもしれません。

まずはgamescom asiaでの出展サポートサービスの募集が始まっています。費用を抑えながら海外イベントに出展してみたい方は、ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

Ukiyo Studios公式サイト

Ukiyo Studios公式ツイッター

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

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