ゲームの売上予測に役立つツールキットと資料のリンク集

[本記事は、GameDiscoverCoニュースレターの日本語翻訳です。GameDiscoverCoの許諾を得て翻訳・掲載しています。]

ゲームをいかにプレイヤーから認知してもらうかが成功に関わりますが、そのためにもあらかじめゲームの予算計画と売上予測をするべきです。開発者が予算計画と売上予測をしなかったとしても、パブリッシャーは必ずしています。では、開発者として投資収益率をどう予測すれば良いのでしょうか?また、パブリッシャーや出資者はどう考えればよいでしょうか。今回の記事は売上予測の”間違った”計算方法と、予測のポイントを紹介します。

まず、パブリッシャーと開発者の前提状況を整理しましょう。

  • まず、当然ではありますが、パブリッシャーはリスクを管理するため、様々なゲームを取り扱っています。そして、現代の市場では、パブリッシャーの扱っているゲームのうちヒットは少数で、その少数のヒットから稼いだお金が他のゲームの売上を補うだろうとパブリッシャーは予想しているでしょう。そのため、パブリッシャーの抱えられるリスクが変わります。パブリッシャーがゲームを厳選するとき、探しているのはヒットになれる20%のゲームですが、ヒットになるかどうかは分からないので、ヒットしなくてもある程度売れそうなゲームを選ぶ必要があります。
  • その一方、パブリッシャーや出資者にピッチする開発者であれば、売上予測が楽観的であることによってピッチしやすくなります。ただし、計算が楽観的すぎると、考えが甘いと見られます。パブリッシャーや出資者は楽観的であることに目を瞑るかもしれませんが、ゲームの将来の可能性を先に提供し、聞き手に自分なりに解釈させます。
  • 自己資本でゲーム制作している場合、かつ次のゲームのために(例として)収益が必要な場合、背負えるリスクは限られています。もしくは、ゲームが予想通りに利益が出ないときのためのプランBが必要です。例えば他の仕事やアルバイトなどです。

売上予測の計算方法のポイント

普段、売上予測のベースとして、作っているゲームのジャンルのコアのゲームを参照しがちです。この段階で役立つツールはAlt Shift Games (『Crying Suns』)のゲーム分析のスプレッドシートです。

Alt Shift Gamesによるゲーム分析のスプレッドシート

使い方はスプレッドシートを複製して、Steam gamesのタブの青いところに気になるゲームのSteam App IDを入れます。すると、Steamのデータや売上予測など様々な情報が表示されます。詳細は前回の記事に紹介しましたので、興味のある方はチェックしてください。

「じゃ、2Dメトロイドヴァニアを作るなら、Steamの2Dメトロイドヴァニアのカテゴリーからトップのゲームをピックアップして、トップの利益の中央地を参考にすれば良いでしょう?」いいえ、それは間違いです。その理由は以下の通りです。

  • 現実的の数値を出すため、そのカテゴリーの最近のゲームを選びましょう: 
    例えば、『紅魔城レミリア 緋色の交響曲』が最近トップ2Dメトロイドヴァニアにランクインしています。比較的に古いトップ10のゲームを選ぶより、最近のゲームの一年目の売上を予測して例として入れたほうが参考になります。また、最近のリリースをざっくり見て、ここ数ヶ月のレビューを参考にするのもオススメです。
  • 継続して売れているトップゲームがもしかしたら a) 定期的に更新されている b) 競争が激しくない時代にリリースされたゲームかもしれません。もちろん、『Dead Cells』は素晴らしい2Dメトロイドヴァニアですが、最初にリリースされた2018年の2Dメトロイドヴァニアゲームはまだ比較的に少ないです。そして、数年のDLCやアップデートがあります。『Dead Cells』の数年間の合計利益は果たして参考になりますでしょうか。(ザ・トップの例なら)
  • パブリッシャーにピッチするなら、トップ例も参考に入れてください: GameDiscoverCoのコンサルティングではピッチの相談に乗ることが多いです。そのため、例えば売上予測の3つの例がすべて100万〜件を売れているゲームだったら、それは非現実的だと考えます。しかし、2つが100万〜件 + 1つが5万件を売れているゲームなら、良さそうですね!

その他役立つ資料

他にも、役に立つ4つの資料を紹介します。

GLITCHによるFounder’s Kit
このサイトに『Bear & Breakfast』や『Button City』など実際のピッチのプレゼン資料を掲載しています。掲載中のピッチには「楽観的すぎる」計算はあまりなかったので、良い参考例かもしれません。

2つ目〜4つ目はSteamのリリース時のウィッシュリスト数に基づいているツールです。

②GameDiscoverCoの簡易予測シート:スプレッドシートを複製して、リリース時のウィッシュリスト数とゲームの価格を入れるだけで1週目のSteamの売れた件数や売上、1年目や3年目の純利益などの数字が出ます。

簡易版ではなく、詳細がほしい方には次の2つがオススメです。

③ソシエテ・ジェネラルのゲーム融資担当者Stephane Rappeneau氏による利益計算モデルです。このモデルで2年目までの月別利益を予測できます。詳しい情報はこの記事にまとめましたので、ぜひご覧ください。日本円バージョンはこちらです。

使い方の例。複数のパラメーターによって利益を計算できます。

④より細かいツールは物語性のゲームパブリッシャーのFellow Travellerによる利益計算モデル
Fellow Travellerはこのモデルを会社用と開発者向けの月別の売上予測に利用しています。このモデルの良いところはセールによるブーストを記入するマスがあり、より細かい月別の売上予測ができます。ただ、注意すべきことは、このシートはリリース時のウィッシュリスト数ではなく、最初の1ヶ月のウィッシュリスト数を使っています。

月別のセールや季節限定セールのブーストの効果を追加できます。

②〜④のウィッシュリスト数に基づく売上予測がもう1つの計算方法です。この予測で、もしかしたら黒字になるには非現実的なウィッシュリスト数が必要だと発見するかもしれません。他のゲームを参考にした予測にしろ、ウィッシュリスト数に基づいた予測にしろ、大事なのは楽観的すぎないような予測です。

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Cheryl Ng

翻訳者・イラストレーター・謎クリエイター。主にゲームと謎を翻訳、時々イラストと謎を制作

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