【Unreal Fest Tokyo 2023】「UEインディーゲームクリエイター座談会 アート編 2023」レポート
UNREAL FESTは、ゲームエンジン「Unreal Engine」を提供しているエピックゲームズジャパンが主催する、無料の大型カンファレンスです。Unreal Engineの事例紹介はもちろん、今年は「Indie Focus」という枠組みで、よりインディーゲーム開発についてフィーチャーした1日が組まれました。
その中の演目のひとつとして「UEインディーゲームクリエイター座談会 アート編 2023」というセッションが開催されました。昨年に盛り上がりを見せたクリエイター座談会の第二弾で、今回は『浮世/Ukiyo』『DETECTIVE NEKKO -ディテクティブネッコ-』『路地裏漂流記』の開発者が参加し、アート面のこだわりについて様々な意見を交わしました。
なお、本公演も含めUnreal Fest Tokyo 2023の講演の多くはYouTubeにてアーカイブが公開されています。本記事では、講演のトピックスをまとめてご紹介いたします。
4人のインディーゲームクリエイターが自身の経験を語る
まずは、登壇者の皆さんと開発中のタイトルを見てみましょう。
登壇者1:DETECTIVE NEKKO -ディテクティブネッコ- 開発者 アラさん
https://game-creators.camp/works/Z1kCC2fu4jbGptjE28tX
新米探偵の「ネッコ」と相棒の「ジケンボ」が、「過去を見る目の能力 ― eyecon ―」をつかって事件を捜査するナゾトキミステリーアドベンチャーです。開発者のアラさんが個人で開発中とのことです。
登壇者2:路地裏漂流記 路地裏電脳研究所 化け猫00さん
https://nemuinazz7.wixsite.com/my-site
「路地裏漂流記」は、路地裏が沢山ある「路地裏街」を探索しながら「迷い者」と呼ばれる悪い魂を取り込んでしまった人達を助ける探索アドベンチャーゲームです。ノスタルジックな街並みを歩いたり、異形頭や半獣や鬼などの個性豊かな住人と会話したり、おしゃれをしたり喫茶店でのんびりパフェを食べるなど、路地裏街での生活を楽しむことも出来ます。Unreal Engineを利用しつつ、PlayStation初代をイメージさせるローファイなグラフィクスが特徴です。
登壇者3・4:浮世/Ukiyo 開発者 シーノットスタジオ 久井 亨さん、 FREAKY DESIGN Inc. halkingさん
https://shUnreal Engineisha-games.com/games/ukiyo/
本作は仮想世界に閉じ込められたプレイヤー、サムライネコ「カイ」のバーチャル冒険奇譚です。舞台となるのは、和風サイバーパンク仮想世界「UKIYO」。『浮世/Ukiyo』の技術的な部分を担当している方が久井さん、デザインをhalkingさんが担当されています。
経歴・経験バラバラの開発者たちによるセッション
Q:最近プレイしているゲームを教えてください。
まずは、最近プレイしたゲームや影響を受けたゲームを挙げてもらうところから対談はスタート。アラさんは『ナイト・イン・ザ・ウッズ』『return of the obra dinn』『ザ フレイム イン ザ フラッド』『スキタイのムスメ:音響的冒険劇』の4作品をあげ、キャラデザもパーツの誇張など特色が自分に影響を与えたと語りました。どれも個性の際立った作風で知られる作品です。
化け猫00さんは、最近は『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』に熱中しているとのことで、会場にもうなづく人が見られました。なお、影響を受けたゲームは『KOWLOON’S GATE クーロンズ・ゲート-九龍風水傳-』や『moon』などだそうです。また、最近のローファイスタイルゲームとして同じくUnreal Engineで開発されている『水瓶上のフェルマータ』を挙げていました。
『浮世/Ukiyo』の久井さんは、『逆転裁判』シリーズを挙げており、自分の原点でもあると言います。最近は海外ゲームの『Röki』や砂漠を旅する作品『Sable』を挙げており、どちらも高評を博したタイトルです。
「サイバーパンクの世界に温かみというか、かっこいいよりある種のダささも入れたりして表現したい」halkingさん
Q:なぜその作風でゲームを作ろうとしたのでしょうか?
この質問に対しhalkingさんは、変化の末に今のスタイルになった、と言います。『浮世/Ukiyo』も元々はもっと和風だったとのことで、開発しながらサイバーパンク風の世界に変化していったようです。halkingさんは、自分たちの強みである画力を活かして開発していることや、サイバーパンクの世界はかっこいいとか冷たい印象のものが多いが、サイバーパンクの世界にも温かみやある種のダささも入れたりして表現したいと考えているとデザインのスタイルについて語りました。
化け猫00さんは、当初は世界観を表現したイラストを描いていて、まずはドットで動くようなフリーゲームを作ろうとしていたとのことです。しかし、3D表現なら路地裏を歩いた時に周囲の街の様子が見れることに気が付き、ローポリ3Dスタイルにしたそうです。独特な色合についても和紙のテクスチャを取り入れたり、暖色を取り入れて温かみをイラストに生かすように工夫しているとのことです。
登壇者の中で唯一アラさんは、実はゲームを作るところからの出発ではない…と語りました。というのも、アラさんは仕事でゲームのUIを作っていて、仕事に活かすことを目的にいろいろなUIを作ってみようというところから試験的にゲーム制作がスタートたそうなのです。その後、アートスタイルについて工夫もして今のスタイルになったという経緯を語りました。