経済産業省が次世代のゲーム開発者を支援するプログラム「創風」を開始、最大500万円の補助金とゲーム産業従事者によるメンタリングを提供。iGiがゲーム分野を担当、応募は4/26まで。

経済産業省は、「デジタル等クリエイター人材創出事業(映像・ゲーム等人材創出支援)」、「創風」を公表し、ゲーム分野においてiGi indie Game incubatorが担当することを発表しました。日本の行政が実施する「インディーゲーム開発者」にフォーカスした初の支援となります。なお、本事業は「映像」も支援対象に含まれます。

本事業は読売広告社が事務局となり、iGi indie Game incubatorがゲーム分野、Nothing Newが映像分野を担当します。

※当メディアIndieGamesJp.devを運営する株式会社ヘッドハイは、iGiの一員として本プログラムに関わっています。

主な支援内容

創風は、オリジナルの作品を創り、届けたい意欲と実力を持つ次世代クリエイター(映像/ゲーム領域)に対して、8カ月をかけて作品の制作から展開までを伴走するアクセラレーションプログラムです。ゲーム販売を目的としたコンテストではなく、開発者のゲーム作家としての独立を支援します。

期間中にゲームを完成させる必要はなく、最終報告会でパブリッシャーなどの関係者に見せるためのプロトタイプ(バーティカルスライス)を完成させることが目的になります。

『デジタル技術等を活用し、高品質なオリジナルコンテンツを1から創作・展開する活動で生じる課題に直面するクリエイター(例:「作品を作る資金が足りていない」「クリエイターとして一人立ちしていく将来像を描けない」など)に対し、「① 制作費等の補助」「② メンターによる技術面・ストーリー面のサポート」「③作品を発表する場の提供」などの支援を実施します。』とあり、ゲーム分野においては独立しているまたは独立の準備をしている方が主な対象者となります。

プログラム内容は、6月中旬から来年2月にかけて行われる「講義(メンタリング)」「伴走支援」「進捗管理」「ゲーム業界関係者への作品発表が行える成果発表会」の4点です。これに加え、最大500万円の補助金が提供されます。

スケジュールは以下の通りです。

メンタリングの実施においても、実際にインディーゲームをリリースしている開発者や企業、マーケティング担当者が担当します。公式サイトでは、現在4名が公表されています。「ヨカゼ」ブランドのパブリッシング部門に代表されるroom6木村氏、Indie Live ExpoやNHK「ゲームゲノム」での海外インディーゲーム事情の解説を行う徳岡氏、ゲーム「OU」や「空気読み。」シリーズをリリースするジー・モード竹下氏、「パスパルトゥー2」を成功に導き、Neon Noroshiとして世界のインディーゲーム情報を日本に届けるMIYA氏です。

応募者要件

応募者は、「個人」または「チーム※(個人2人以上で構成 / 人数制限なし)」であること、2024年4月1日時点で中学校を卒業しており、35歳未満であることが設定されています。また、ゲーム分野における要件は以下の通りです。

  • PC(STEAM)・ 家庭用ゲーム機 ・ XR機器 ・ スマートフォン向けに、単体の有償販売を予定していること
  • 特定ゲームソフトやアプリ内のみで動作するゲーム、無料プレイ、アイテム課金制のゲームは対象外
  • 「デモ」または「バーティカルスライス(主要部分が確認できるデモゲーム)」を提出できること(企画書のみは不可)
  • パブリッシャーと契約を交わしていないこと(交渉中は可)
  • 一週間あたり1~3時間程度のトレーニング、講義およびメンターとの定例打合せに参加できること
  • 資金調達を行っておらず、他社と資本関係がないこと
  • プログラム内の英語プレゼン(カンペ読み可)の訓練に参加できること(英語能力自体は不問)
  • 参加希望者およびチーム自ら、応募作品の著作権および知財を単独で保有していること
  • チームメンバーに、プロググラマーまたはゲーム開発ツールを使った主な制作を担う作業者が含まれていること

補助金の使い道

公式サイトで公開されている募集要項において、補助金の使い道は人件費、借料及び損料:( 本事業を行うために必要な機械器具等のリース・レンタルに要する経費旅費)国内交通費、委託・外注費、消耗品費 、印刷製本費などです。

そのうち借料については本事業期間中における、ゲーム展示用のPCやモニター、サーバー利用費、ツール月額使用料が含まれます。Unity ProライセンスやAdobe製品などに使えますが、「交付決定日以降の新規契約」であることが求められます。

補助金対象にならないものは、目的と関係ない出費や、期間終了後も私物として使えしまう機材(PCや開発機などの機材)、保険料、接待費などが指定されています。補助金は「概算払い」といい、半分が事前に支払われます。申請書をベースに交付日決定から2週間以内に50%、中間発表から2週間以内に30%、残りを終了日後に支払われます。

iGiとの違い

iGiが運営に加わっているため「創風」と「iGi」はよく似ています。

いずれのプログラムもゲームの販売を目的としておらず、終了後に開発者が自由にパブリッシャーと契約できることは同じです。それぞれの目的として、iGiがゲーム産業における新たな才能の支援に対して、「創風」は次世代のゲームクリエイターを創出する、という立ち位置の違いがあります。そのため、日本国内ではなく海外に向けてゲーム作品を発信していきたい開発者に重きを置いています。

また、本プログラムは補助金を受けるための証票作成(発注書など、お金を払った証拠となる書類作成)などもあるため、ゲーム制作を事業として遂行する予定の個人またはチーム向けに特化しています。iGiはインキュベーションプログラムで、「創風」はアクセラレーションプログラムに位置付けられます。製品として完成が見えてきたゲームプロジェクトに対して、さらにその先を支援するものです。

また、iGiはSteam・家庭用ゲーム機向けのタイトルのサポートに絞らていますが、「創風」はスマートフォンゲーム、XRデバイス向けゲームも対象です。ただし、特定ゲームソフトやアプリ内のみで動作するゲーム(UEFNやRobloxなど)や、無料プレイ・アイテム課金制のゲームは対象外となります。

待望の日本国によるインディーゲーム開発者支援がついに開始

日本においては諸外国と比較して、インディーゲーム開発者の国による支援が少ない状況が続いてきました。ヨーロッパ諸国におけるインディーゲームの盛り上がり、中国・韓国、東南アジアなど新興国のインディーゲーム開発者の活躍には、それぞれの地域のインキュベーションプログラムの活躍がありました。iGiはまさに同じ仕組みを民間で実現したプロジェクトになりましたが、iGi発足から4年を経て、そのノウハウを直に国の事業として活用する形となりました。

本プロジェクトの重要な点として「補助金が直接インディーゲームの開発者に支給されること」「メンタリングの実施は実際のインディーゲームパブリッシャーやマーケティング担当者など当事者が行うこと」「3期16組の開発者支援を実施したiGiのノウハウが活用されること」の3点が挙げられます。支援が実際の開発者に届く形になっていること、新しいプロジェクトながら開発者支援の実績があるチームによって運営されることがポイントです。

応募期限は2024年4月26日23:59までです。専用のGoogle Formsにて必要事項を記入して申し込みます。生年月日氏名などの情報のほか、ゲームのビルド、ゲームデザインドキュメント(GDD)、ゲームエンジンや使用しているツールの詳細などを記入します。

本記事では「創風」における支援内容や応募要項の一部のみをお伝えしています。応募に当たっては、公式サイトの「公募要項」をよく読んでいただき、応募を検討していただければと思います。

「創風」公式サイトはこちら

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IndieGamesJp.dev Moderator

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