『Among Us』のコミュニティーマネジメントの秘訣がここに。書籍「Mastering Community Management(洋書)」が発売、著者Victoria Tran氏ミニインタビュー

『Among Us』を開発したInnerslothのコミュニティーディレクターVictoria Tran氏による書籍「Mastering Community Management(洋書)」が発売されました。本書は、ゲーム開発者に向けた書籍で、コミュニティマネジメントの設計について解説しています。洋書かつプロフェッショナル価格の書籍ですが、本書が扱っているテーマはインディーゲーム開発者にとって非常に重要な部分です。
ゲームコミュニティは不可欠であり、実際、ゲームの主要な特徴のひとつです。オンラインでの交流を、より良く、より親切で、より生産的な会話にするにはどうすればよいでしょうか?コミュニティマネージャーは、オンライン空間を本質的な親切さを念頭に置いて設計し、メンバーの成長とエンゲージメントを促す場をどのように作ることができるでしょうか?本書は、長期的、持続可能、そして意図的な、意義のあるオンライン空間、つまり思いやり、成長、そしてつながりを生み出す空間を構築するための、ステップバイステップの戦略を提供します。
本書では、様々なジャンルのゲームにおける実体験に基づき、オンラインコミュニティ設計の基本概念を、その核となる基礎から、ローンチ前からローンチ後までの道のりまで網羅的に解説します。より強固なコミュニティを構築するための実践的なフレームワークを深く掘り下げ、ポジティブで結束力があり、統一された空間が、構造化されていない空間よりも生産性が高い理由と利点を明らかにします。エンゲージメントを高めるためのヒントや、こうしたポジティブなコミュニティがビジネス価値と倫理的価値の両方を促進する理由についても、拡大し続けるオンライン世界において非常に重要なトピックとして探求します。本書の内容は主にゲームコミュニティとインディーゲームに焦点を当てていますが、その教訓は大規模なスタジオや業界にも応用できる可能性があります。
出版を記念して、本メディアでは著者のVictoria Tran氏のインタビューを実施しました。
Q1: なぜこの本を書こうと思ったのですか? これをブログまたはメールニュースレターではなく、書籍として発売しようと思った理由は何でしょうか?
A1: 紙媒体の本を出版したいと思ったのは、2つの理由があります。1つ目は、短い記事やニュースレターのシリーズとは異なり、本であれば一つのテーマを深く掘り下げることができ、読者が内容についてより深く考えることができます。2つ目は、本を通して読者に実践方法を学んでもらうことができるからです。コミュニティマネジメントの方法についての記事や講演は数多くありますが、どこから始めれば良いのか、どのように実践すれば良いのか分からず戸惑うことがあります。本であれば、こうした情報を整理してまとめることができます。
Q2: この本を書く上で最も困難だったことは何でしたか? 本を書くことは長い道のりで、困難なことも多いです。 どうやってモチベーションを維持しましたか?
A2: この本を書くことは、すべてが大変でした!常に構成を見直したり、もっと内容を加えたいと思ったり、執筆のモチベーションを維持したり、仕事や生活で忙しくしたり…。いろいろと苦労しました。あなたも本を書いたことがあるなら、その気持ちがわかるはずです(質問者のIndieGamesJp.dev を提供しているヘッドハイは、「インディーゲーム・サバイバルガイド」を執筆しました。)
正直に言うと、モチベーションを維持する唯一の方法は、時には難しくても、とにかくやらなければならないと理解することです。私は、どんなに気が進まなくても、毎日短い段落を書く習慣を身につけました。そうすることで、私の心は書くことに慣れ、やがて何もしないことが変に感じるようになりました。多くの人が完璧なものを最初に書かなければならないと考えてしまうと思いますが、私の戦略は常に、まずは考えを書き留めることでした。何か新しいことを考えなければならないよりも、何かを編集する方が簡単です。
Q3: 本書の発売以降、コミュニティや開発者からどのようなフィードバックがありましたか?執筆中に目的意識を感じた瞬間はありましたか?
A3: 本書が歓迎されていることはすばらしいです!発売したら、皆さんが読んでも「役に立たない」とか「無駄な情報だらけだ」と思うのではないかと、とても心配していました。ありがたいことに、これまでのレビューを見る限り、そうではないようです!理論だけに基づくのではなく、実践的な内容にしようと、とても努力しました。執筆の原動力として、この情報を実際に仕事でどう活用できるかを常に考えいました。
Q4: コミュニティ運営において最も重要なキーワード、あるいはコミュニティマネージャーが留意すべきポイントは何でしょうか?
A4: 「好奇心」だと思います。コミュニティマネジメントは、周囲の人々、ゲーム、そしてその動機について好奇心を持って、はじめて機能します。人々はなぜそのような話をするのでしょうか?なぜ彼らはゲームに興味を持つのでしょうか?ゲームを楽しいものにするものは何でしょうか?どうすれば彼らとより効果的にコミュニケーションをとることができるでしょうか?人々が何を求めているかについて、心から興味を持って状況にアプローチできれば、彼らを単なる数字や売上として考えるよりも、はるかに優れたコミュニティマネージャーになれるでしょう。
Q5: この質問は本のテーマから少し外れますが、OuterSloth プロジェクトは素晴らしいですね。 選ばれたチームと応募したチームの観点から、最近のインディーゲームにはどのような変化や傾向が見られますか?
A5:ありがとうございます!InnerslothとOuterslothのCEOであるForest Willardと一緒に開発できることを大変嬉しく思っています。今は多くのゲーム開発者にとって厳しい時期だと思いますが、それでもなお、インディーがセルフパブリッシングにますます興味を持つという強い傾向が見られます。資金調達はますます難しくなっていますが、より多くのインディーが団結し、自分たちのやり方でゲームをリリースすることの意味、ゲームのマーケティングに必要な方法、そしてパブリッシャーに依存しない成功のための計画を立てることの意味を模索しています。
Q6: 『8番出口』や『PICOPARK』のような日本のインディーゲームも世界中で人気が高まっています。 日本のインディーゲーム開発者にメッセージをいただけますか?
A6: 私は日本から生まれるインディーの才能にワクワクしています!ゲーム業界は、多様なメカニクス、アイデア、テーマがあればこそ強くなります。インディー開発者の努力と創造性から、どんな作品が生まれるのか、今から楽しみです。頑張ってください!いつか皆さんのゲームをプレイできる日が来るのが待ち遠しいです。
「Mastering Community Management」は、Amazonで電子版が発売中です。開発者の皆様で、ゲームのファンを盛り上げることを注力される方はぜひお手に取ってみていただければと思います。