2人で効率的にゲームを作るには?インディーゲーム「くちなしアンプル」「マヨナカ・ガラン」制作事例 | UNREAL FEST EXTREME 2022 SUMMER

『くちなしアンプル』について

『マヨナカ・ガラン』は、ノベルゲームでしたが、本作はローグライクです。善乃さんは、制作の動機としてキャラクターを動かせるゲームを作りをしたかったことや、レベル上げとアイテム収集を思い切り楽しみたかったことを挙げています。

『マヨナカ・ガラン』と同様に本作もUEに搭載されているビジュアルスクリプトである「ブループリント」で制作しています。マップの自動生成や、キャラクターの行動、敵のAIも全てブループリントで書いています。

 

BPって素晴らしい!

このPVはUE4のレイトレーシングを使用してキャプチャーしており、ゲームのプロジェクトがほぼそのまま使えたと言います。制作当時はUE4に導入されて間もないレイトレーシングをゲームで使うことは負荷の問題上難しくても、ムービーに利用することはできたので、新しい技術を試す際の選択肢になると思ったと善乃さんはPV制作を振り返りました。

アイテム収集をしたいというコンセプトのもとで、アイテムを量産しようとしましたが、数が増えると調整が大変になります。この課題について善乃さんは次のように取り組んだと語ります。

  • 完成までたどり着くために、二人でも作れそうなボリュームを見積もっておきます。
  • 最初にアイテムとか敵とか魔法陣などのギミックを作れるだけ一気に作りきります。(300個くらい作成)
  • それから、その作った要素を最大限活かすようにゲーム内容を調整しました。

レベル上げやアイテム収集を楽しむようにするには、繰り返しが楽しくないといけないので、ゲームバランス調整に時間を使ったという善乃さん。開発中はとにかくテストプレイをしていたとのことです。本公演では、グラフィックについての解説とゲームバランスについての解説が行われています。

CAVYHOUSEは、グラフィック作りが楽しくてゲームを作っており、それはどの作品にも反映されていると思います。今作も世界観が伝わることを意識した画面作りを行っています。

今回の世界観は、主人公は錬金術師で、アイテム収集の要素があることから、博物館をイメージしたグラフィックになっています。几帳面に陳列されたサンプルの画面は確かにアカデミックな雰囲気があります。

ダンジョンに登場する敵はシンプルな見た目にすることを心掛けたと善乃さんは言います。人間などのような見た目の敵を倒してアイテムを奪うのは世界観に合わないことや、主人公が持っているスコップで人型の敵を殴るのは避けたいという考えであったようです。

そのため、素材のようなものや人間になり損ねたような形状の敵にしたとのことで、これはモデリングがしやすかったというメリットもあったようです。世界観に合ったキャラクターを全て自作できたことは良かったとしていますが、2名開発で、アセットがまったくないというのは驚きではないでしょうか。

キャラクターについては、少し作り物じみた人工物的な不自然さを表現したかったと善乃さんは語ります。背景やUIなども全て人工物のような不自然さを出そうという試みは上手く行ったように思います。

HATA

5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れたのを皮切りにゲームライフが始まる。2000年代に個人でノベルゲーム開発をスタートし、異業種からゲーム業界に。インディーゲーム開発をしながらゲームメディアで記事執筆なども行う。

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