Reddit上でUnity WebGLビルドが公開可能に。Steamへのリンクやアプリ内課金も許可

Redditは、Unityで開発されたゲームをサイト上で直接起動し、プレイできる新機能をリリースしました。この機能は「Devvit」と呼ばれるRedditの開発者プラットフォームを通じて提供され、UnityのWebGLビルドを利用します。体験版としてSteamへ誘導したり、アプリ内課金を実装した収益化も許可されています。

UnityゲームをRedditで公開するための実装プロセス

Reddit上でUnityゲームを公開するためのプロセスは、主にUnity側でのビルド設定と、Devvitプロジェクト側での設定から構成されます。まず、UnityプロジェクトをWebGL向けにビルドする際、「Decompression Fallback」オプションを有効にする必要があります。これは、ブラウザが圧縮されたデータを展開できない場合に備えるための設定です。

次に、ゲームとRedditサーバー間の通信を担うのDevvitBridge.csというC#スクリプトをプロジェクトに含めます。このスクリプトは、UnityのUnityWebRequestクラスを利用して、Devvitプロジェクトのサーバーサイドコード(TypeScriptで記述)と通信します。例えば、ゲームの初期化時にRedditからユーザー情報を取得したり、ゲーム内での特定のアクション(レベルクリアなど)をサーバーに通知できます。

ビルド時には、圧縮形式を「Gzip」に設定して一度ビルドし、生成された.data.unitywebファイルと.wasm.unitywebファイルをDevvitプロジェクトにコピーします。その後、圧縮形式を「Disabled」(無効)に設定して再度ビルドし、生成された.framework.jsファイルを同様にコピーします。

プレイヤーのセーブデータやスコアといった永続化が必要なデータは、Redditが提供するRedisサーバーに保存されます。Devvitのサーバーサイドコードからredis.set()といったコマンドを使用し、投稿IDとユーザー名を組み合わせた一意のキー(例:${postId}:${username})に対してデータを保存する仕組みです。これにより、プレイヤーはPCやスマホからアクセスしても同じセーブデータが利用できます。なお、ユーザーデータの取り扱いについては、Redditの利用規約や開発者ポリシーに加え、GDPR(EU一般データ保護規則)などの各地域における個人情報保護法を遵守した設計が求められます。

インディーゲームの新たなマーケティング戦略になる可能性

Redditで直接ゲームが公開できる機能は、インディーゲーム開発者にとって強力なマーケティングツールとしての可能性を秘めています。Redditは近年のインディーゲームマーケティングにおいて活用することが定石となっており、巨大なコミュニティ基盤に向けた情報発信を開発者は行っています。特定のゲームジャンルやテーマに特化した「サブレディット」(Subreddit)などで自分のゲームの宣伝を行う開発者は多くいます。

そのリーチ力に、さらにその場でゲームを試してもらうことができるようになりました。以前はSteamのデモをダウンロードしてもらうといった手間が必要でしたが、この機能を使えば、ユーザーはRedditのフィードのなかでゲームを発見し、その場で即座に試遊させることができます。アプリ内課金の利用も許可されているため、アイテム販売などによる直接的なマネタイズも可能です。

さらに、Redditはエンゲージメントに基づいた独自の収益化モデルを提供しています。無料のゲームであっても、開発者は、プレイヤーがゲームをプレイした時間や、ゲーム内でのインタラクションに応じて報酬を受け取ることができます。これは、従来の広告収益とは異なるビジネスモデルになりそうです。

懸念点と今後の展望

この新しい機能に対して、Redditスレッドにおいては、いくつかの懸念点も指摘されています。多くは実装の複雑さです。Unityの知識に加えて、Node.jsやTypeScriptといったWeb開発の技術スタックが要求されるため、特に個人や小規模チームの開発者にとっては学習コストが障壁となりそうです。単純にWebGLビルドを二回実行しないといけない点も手間になっており、今後のUnityのアップデートによって修正されることが期待されます。とはいえ、この機能がまだリリースされたばかりである点を考慮すれば、今後ドキュメントが整備され、よりシンプルな実装方法が提供されていく可能性は十分あります。Redditが開発者からのフィードバックを積極的に収集し、プラットフォームを改善していく姿勢を見せていることからも、今後の発展に期待が持てます。

マーケティングの初期段階にあるインディーゲームにとって、ユーザーからの直接的なフィードバックを得て、コミュニティを形成していくため手段となりそうです。まずは小規模なデモからでも、この新しいプラットフォームの可能性を試してみてはいかがでしょうか。

開発者向けドキュメントはこちら

igjd

IndieGamesJp.dev Moderator

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です