インディーゲームのプロローグ版や体験版がもたらす効果とは。「Loop Hero」「The Riftbreaker」の事例から

[本記事は、GameDiscoverCoニュースレターの日本語翻訳です。GameDiscoverCoの許諾を得て翻訳・掲載しています。]

以前もプロローグについての記事を投稿しましたが、当時プロローグ版やデモ版の効果がゲームによって大幅に異なり、長いプロローグ版を出すよりも「短くプレイ可能なプロローグ版を出すことが、現段階でセールスに繋げられる最善の策ではないか……」とSimon氏は提案しました。しかし、「Loop Hero」と「The Riftbreaker」など、長くプレイできるプロローグ版やデモ版によって大ヒットしたゲームも見られています。今回の記事ではその2つのゲームを例として、プロローグ版とデモ版の効果について紹介します。

「The Riftbreaker」のプロローグ版
「The Riftbreaker」のプロローグ版

まず、先に断っておきますが、全てのプロローグ版が効果的なわけではありません。コンテンツの少ないゲームがプロローグ版かデモ版を出したら、本編のコンテンツを消費してしまい、逆の効果を与えます。すなわち、プレイヤーがプロローグ版やデモ版で満足してしまい、本編を買わなくなります。では、どのようなプロローグなら良いかというと、その特徴は「短いが魅力的なゲームサイクルを持つ」、「リプレイの価値が高い」、「何回やっても本編を買いたくなる」ことです。

すべての特徴を揃えた「Loop Hero」

最近発売タイトルの実例を出すと、「Loop Hero」はその1つです。Steamページを引用すると、「Loop Hero」は「敵や建造物、環境を配置する不思議なカードデッキを手にして、勇敢なヒーローと共にループ世界を冒険する」ゲームとあります。「Loop Hero」はデッキビルドによって冒険が毎回変わるため、リプレイの価値が高い作品です。具体的は、パブリッシャーがプレイヤーに「デモ版をどれぐらい遊んだか」を聞いたところ、答えは普通より長めの「2〜7時間」から「160時間」(1件)に至りました。このような熱心のファン層を持っているだけあって、リリースは絶好調でした。

Loop Hero

「Loop Hero」は、1周あたり10分〜15分と短い時間の中で、変化する状況に応じて環境や敵の配置などの戦略を考える要素があるため、ハマる人が多かったと考えられます。実際、デモ版がSteamの2021年の初フェスティバルでデビューした後、「Loop Hero」はユーチューバーNorthernlion (フォロワー数87万人)をはじめ、Vinesauce: The Full Sauce(フォロワー数46万人)など何人ものユーチューバーに紹介されました。デモ版とはいえ、実況の動画が1時間も続き、Northernlion氏の動画だけで12万閲覧数を獲得しました。明らかに人気があったため、デモ版はリリースの数週間前にパブリッシャーに削除されました。このように、デモ版が成功すると、ゲームの宣伝にもなり、リリース時のセールスにも貢献します。

Northernlion氏の「Loop Hero」のデモ版実況

「The Riftbreaker」のデモ版とプロローグ版の効果

次に紹介する例はインディーズスタジオEXOR Studiosの「The Riftbreaker」という基地建設サバイバルゲームです。「The Riftbreaker」は無料デモ版も単体のプロローグ版も公開されており、注目を集めています。ウィッシュリスト総数ランキングでは、未発売ゲーム5,000個の中で23位にランクインしています。

開発者のPaweł Lekki氏がデモ版とプロローグ版についてこのようにコメントしました。「デモ版とプロローグ版は似ていますが、Steamで別々のアプリとして投稿されている理由は認識を高めるためとフェスティバル設定上のためです。累計のダウンロード数はそれぞれ17万と24.5万で、合計41.5万です。デモ版は本編の30分体験として制作されましたが、30分より長く記録を残しているプレイヤーもいます。」

どれぐらいいるか、Paweł氏にプロローグ版とデモ版のSteamバックエンドデータを共有していただきました。左側のプロローグ版のグラフは17万人のデータセットで、横軸の間隔は10分です。ちなみに、現在レビュー数は3,300件であるので、ユーザー52人あたりにレビュー1件ということです。Steamゲームの中央値くらいですね。右側のデモ版のグラフは12万人のデータセットで、プロローグ版と棒グラフの曲線が似ています。このように膨大なデータセットになった理由の1つはデモ版とプロローグ版が両方9つの言語に翻訳され、グローバルなユーザーに届きやすいからです。

「The Riftbreaker」のプロローグ版(左)とデモ版(右)のプレイ時間分布
「The Riftbreaker」のプロローグ版(左)とデモ版(右)のプレイ時間分布

両方のグラフの注目すべき点は200分を超えたプレイヤーがプロローグ版では2万人、デモ版では1万人以上います。次の数字を信じられるなら、どうやら200分ではなく200時間よりも遥かに超えた人もいます。

「The Riftbreaker」を754時間も記録を残したユーザー
「The Riftbreaker」を754時間も記録を残したユーザー

つまり、合計3万4,500人のコアファンがいるわけです。その結果、本作のDiscordサーバーではデモ版のMODを作成しているコミュニティー活動が盛んになっています。このように、デモ版はスーパーファンのコミュニティーを築き上げる目的には効果的だと考えられます。フィードバックとコミュニティーの活性化という点から見ると、デモ版とプロローグ版は発売前の早期アクセスとも捉えられます。

また「The Riftbreaker」の開発者たちはUTMアナリティクスのためのトラッキングリンクをデモ版とプロローグ版内のウィッシュリストボタンに組み込む予定です。彼らによると、デモ版は毎日平均約500人のアクティブユーザーがいるため、UTMトラッキングリンクで参考になるデータが得られるそうです。

まとめ

まとめると、成功するプロローグ版とデモ版の特徴は多くの場合「短いが魅力的なゲームサイクルを持つ」、「リプレイの価値が高い」、「何回やっても本編を買いたくなる」ゲームです。デモ版とプロローグ版が効果的に実行できれば、ゲームの認識が広がります。そして、ユーザーから貴重なフィードバックをいただきながら、ユーザーについてより深く知ることができます。もちろん、相性が良いのは特定のジャンルに限りますが、そのジャンルのゲームを作っているなら、デモ版とプロローグ版を公開したらいかがでしょうか。

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Cheryl Ng

翻訳者・イラストレーター・謎クリエイター。主にゲームと謎を翻訳、時々イラストと謎を制作

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