歩いて気持ちの良い街を作るために努力した『黄昏ニ眠ル街』インタビュー。「ここに行きたい」をどう実現したのか。

――絵も描きつつ、一人でゲームを作りたい夢もありつつ、UE4が無料化にもなりつつというゲーム開発に必要な要素が集まって、じゃあ作るぞってなった時に、自然とこの世界観でゲームを作ろうとなったのでしょうか。

nocras氏:そうですね。やりたいことがたまたま重なったのでプロジェクトがスタートした感じです。

――UE4を選んだ理由や、UE4操作の習得は、定番になっている極め本(※『Unreal Engine 4 で極めるゲーム開発』)などを触りつつ進めていったのでしょうか?

nocras氏:UE4に目をつけた理由が、デフォルトでリッチな見た目やグラフィック表現ができるのが1番大きかったです。その次に、ブループリントというノートベースでプログラムが作れる機能があったことです。私はプログラムは書けないのですが、もしかしたらグラフィッカーの自分でも簡単なゲームが作れるかも、という期待があってUE4を選びました。5年間3Dデザイナーをやってたんですけど、UE4は全く触ったことがなかったので。

何冊かUE4関係の技法書を買ってみたんですけど、UE4を触るのも初めてで、最初は何ができるかとかもよく分かってなかったですね。まずUE4をインストールして、勉強するためにやるっていうより、遊びながら覚えていくっていう感じでした。YouTubeとかでやりたい機能とかを検索して、必要な分だけ勉強していくという形で進めましたね。元々が3Dと2Dデザイナーなんで、プログラム知識に関してはもう全くの0でした。

――1人でつくる時って全部自由で思い通りに作れるけど、相談相手がいないというデメリットもあるじゃないですか。そこはいかがでしたか。

nocras氏:そうですね。それに関しては自分も困っていました。基本的に国内の先駆者の方の記事を参考にしていたのですが、深い問題だと英語の記事になってくるので、翻訳しつつ進めるのが大変でした。

――確かに情報が少ないと困りますよね…やりたいことも実装できなかったりしますし、ハードルが上がりますよね。ちなみに開発はいつ頃からスタートされたのでしょう

nocras氏:2018年の4月あたりからですね。ゲーム会社時代に別のゲームエンジンをほんの少し触っていたことがあったので、ゲームエンジンの概念っていうのがなんとなくわかっていたので、操作の基本についたはそんなに苦労しなかったかなっていう印象でした。

――多少でも触っていると、基本的なことがわかるので違うでしょうね。会社での作業と違ったことは何かあったのでしょうか。

nocras氏:会社ではMAYAを使ってたんですけど、家にはMAYAがないのでblenderでモデリングしています。UE4とblenderを両方学びながら開発を進めていきました。blenderはショートカットとかバージョンアップするたびに微妙に変わったりするので困ることもありました。会社での経験は、データをUE4に持っていく段階で、どのモデルが何ポリゴンくらいあって、テクスチャーがどのくらいのサイズとか、そういう知識で活きたなというのがありました。

――テクスチャのクオリティを下げないといけない時もあると思うのですが、会社の時だったら指定もあるし折り合いもつけると思います。自分の作品だと、やっぱりクオリティを下げたくないと考えたときに、どう折り合いをつけられたのでしょう?

nocras氏:このゲームのそもそものコンセプトは、自分の描くイラストの世界観に入り込んで自由に歩き回れるゲームを作りたい、というものです。それを達成するためには、第一印象が全てだと思っています。例えばトレーラーとか見ていただくと、カメラが街全体を映すシーンがあって、本当にこのワンカットが見栄えの良くなる構成にしていたりしました。

――ローンチトレイラーにもそういったシーンがありますね。

nocras氏:再生すると黄色い木がいっぱい生えているカメラの1秒2秒のカットがあったりするんですけど、この一瞬のカットのためにすべてをそそぎ込みました。実はオブジェクトに寄って見たりすると、テクスチャーのクオリティーとかモデルのクオリティーもすごい低くてテクスチャーも自分が手描きで描いた適当な素材をペタって貼ってるだけで、ノーマルだったりUVで整えたりは全然してなくて。色とシルエットがあっていればOKみたいな。すごい割り切って作ってるモデルですね。

――しっかり見せたいところはしっかり作り、制作速度も保ったわけですね。

HATA

5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れたのを皮切りにゲームライフが始まる。2000年代に個人でノベルゲーム開発をスタートし、異業種からゲーム業界に。インディーゲーム開発をしながらゲームメディアで記事執筆なども行う。

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