パブリッシャー「わくわくゲームズ」代表インタビュー。日本で最も敷居が低いパブリッシャーを目指す、同社の狙いとモットーとは
――今後、年間でどのくらいのタイトルをリリースしていきたいとお考えですか?
現在作家さんと契約締結済の作品は18タイトルとなります。
発売時期はこの年末から2024年までと様々ですが、この年末には『モン娘ぐらでぃえーた』や『TOMOMI』『コスモドリーマー』などジャンル多彩なゲームをSwitch向けにお届けできると思います。来年はなんとか年間10タイトルくらいは発売したいところです。
タイトルラインアップの構築はパブリッシャーとしては急務かつ最重要案件なので、常に作品は探し続けています。個人制作のゲームがラインアップのほとんどなのは、一番最初に「日本で最も敷居が低いパブリッシャーを目指す」と言ったことに起因しています。当初から個人制作をしている作家が業界デビューを果たすため、あるいは作家としてより幅広い展開を考えた際に、必要な手段を得るための窓口のひとつとして弊社があると作家さんたちに認識してもらえるとありがたいな、と考えています。
最低1万本以上売れるタイトルじゃないとやらない!というところもあれば、1,000本でも売れたら立派な実績なんだからやりましょう、というパブリッシャーがあっても良いと思うのです。もちろん、損が出ないように頑張るのですが。
もう一つは私の趣向が個人作家による個性(癖とも言えるかもしれませんが)の塊のようなゲームが大好きなことです。前述したように自分で商品ラインアップをつくる以上、自分が惚れたゲームをお客さんに自信をもっておすすめしたい。
PCからSwitchへの移植タイトルが比率としては大きいですが、来年以降はStudio Dragonetさんの『ラミアズバンビーナ』など移植ではないオリジナル作品も控えています。
モバイルからPCやSwitchへの移植にも興味がありますし、PCプラットフォーム向けのタイトルは拡充していきたいです。
――わくわくゲームズとしては、どんなタイトルとパートナーを組みたいと思っていますか?
私としては、オリジナリティよりは『俺はこういうものが作りたいんだ』という情熱のあるゲームに興味がわきます。理想は色々ありますが、自分がプレイして面白い、好きだと思った作品をつくる作家とパートナーを長く組めるのがベストです。万人に受け入れられるようなゲームを売ることは現時点ではあまり考えていません。
お声がけするきっかけはタイトルかもしれませんが、最終的には作家さんとの連携になりますので、創作意欲とこだわりをもつ作品をつくる作家さんとパートナー関係を組むことができれば、おのずと素晴らしい作品群がラインアップに入っているはずだと考えています。
――昨今の日本のインディーゲームパブリッシングについて、どのような課題を感じていますか?
作品供給を継続できる体制が作れるかどうかにかかっているかと思います。
これは前職で確信を得ており、『継続』こそがパブリッシャーの最重要課題で、全てだといえます。商店に例えればわかりやすいと思います。店が潰れても商品はほかの店で売れますが、店は潰れたらそれっきりです。
活動を継続させるには、常に自分が動き続けて作家たちとの繋がりを深化させていく必要があります。私たち単体では何も生み出せません。多くの作家さんが「あそこなら任せてもいいかな」と思ってもらえるような体制を作りあげるには年単位の時間がかかります。それを維持し続けることで、はじめてパブリッシャーとしての特色がうまれ、文化のようなものができあがるのではないかと考えています。
国内パブリッシャー全般の傾向については、私があれこれ言う立場にはないです。弊社からみると、弊社以外の会社全部が立派に見えます。