UNREAL FEST WEST ’22「インディーゲーム展示ブース」レポート
2022年11月20日、京都コンピュータ学院にてUNREAL FEST WEST’22の「GAME DAY」が開催されました。本イベントは、Unreal Engineを使ってコンテンツを開発される開発者を対象とした技術カンファレンスです。
今回、セッションは多人数開発のタイトルが中心であった代わりに、会場内に「インディーゲーム出展ブース」を設置。そのブースの様子をレポートします。
開発者と交流しやすい展示ブース
出展チームは6チーム、作品数は8点でした。ひとつの部屋ごとに2チームを配置し、来場者が混み合うことなく体験ができる構造になっています。展示タイトルは以下のとおりです。
- するめまんじゅう『PROJECT SIX』
https://surumekoubou.booth.pm/items/1175114 - Reminisce『Link: The Unleashed Nexus RH』
https://reminiscedev.com/ - Nyan2 Studio『A VØID』『天乃糸』『Out of the World』
https://nyan2studio.wixsite.com/avoid - チューブゲームズ『ドライブクレイジー』
https://drive-crazy.com/ - Ars Edutainment『英語ロギア』
https://etymologia773004970.wordpress.com/ - CAVYHOUSE『くちなしアンプル&こふんは生きている』
http://cavyhouse.net/
Nyan2 Studioは、会場である京都コンピュータ学院の学生です。開発者としてチーム制作をしている『A VØID』と、個人の活動として制作している『天乃糸』『Out of the World』の2つを展示していました。
学生インディーゲーム開発は「専門学校のカリキュラムとしてチーム制作を行う」ケースが多くありましたが、個人でもゲームが作れるエンジニア担当の方が個人でもゲームを並行して作るケースを少し見るようになってきています。
インディーゲーム展示ブース担当 EGJ岡田氏コメント
今回のブースを企画実施した、エピック ゲームズ ジャパンの岡田氏にミニインタビューを実施しました。
――今回、インディーゲームの展示を実施された経緯をお教えください
岡田氏:UNREAL FESTをオフラインでの実施は2~3年ぶりです。そこで、なにか新しいことをしたいと考えていました。久々に現地イベントへ参加していただいた開発者に対して、なにか面白いものを提供できないかと考えていたんです。その中で、「インディーゲームの展示を行う」という形を思いつきました。背景として、Unreal Engineが日本の個人・小規模開発者の利用者が、3年前に比べて採用数がさらに増えてきていることがあります。同時に関西圏に住むインディーゲーム開発者は、開発規模や地理的な関係でなかなか他のイベントに出られる機会がない方もいます。フェス自体が無償のイベントですが、出展も無償で、会場内での動画の再生や、チラシを来場者ギフトバッグに封入するといった特典も提供しました。
岡田:今回の出展者ですが、「実験的な開催」であった背景もあり、私の方で個別にお声がけしました。基準としてはこれまで別のイベントでの展示経験がある方や、「Epic MegaGrants」などを通じてサポートしている方を中心としています。
――実際に展示を実施してみて、出展者や来場者の反応はいかがでしたか
岡田:他のインディーゲームイベントと比較すると、ゆったりと作品を見ることができる点が好評でした。セッション時間は人も少なくなりますので、ゲームファンの方やインディーに興味がある人が開発者とガッツリ話ができます。短いプレイではなかなかゲームの良さが分か李にくいタイトルなどもしっかり遊べるので、結果的には差別化できたと思います。
――UEFESTは年に2回、1回は関東で実施されます。次回もインディータイトルの展示を期待できそうでしょうか?
岡田:はい、ぜひ続けていきたいですね。個人的には今回の展示は大成功だったと思います。次回のUEFESTは関東で実施する予定で、さらに開発者が参加できる形を用意したいです。ただし、他のイベントのようにタイトルを「公募」にするかどうかは未定です。皆さんのご意見を聞きつつ、良い形を目指したいと思います。
――今回の他、日本のインディーに対するサポートは何か計画されていますか?
まず、会社全体としては「Epic MegaGrants」があります。正直なところ、最近また日本からの応募が少ない気がするので、前にトライした方もぜひ再チャレンジしていただければと思っています。
今後のインディー支援は、私がメンターとして支援している「iGi indie Game incubator」もありますし、今年の第二期では『34EVERLAST』のサポートを実施しました。第三期でも支援する予定なので、しっかりやっていきたいですね。
また、「インディーゲーム」のくくりとは少し異なるのですが、当社代表の河崎が本日、「Unreal Engineと『フォートナイト』との連携」について紹介しました。ゲーム開発に興味を持っていただくことの敷居をさらに下げ、若年層もユーザーになってもらえればと思っています。
そしてUE5についても、来年の頭ごろに初心者向けにゲームの作り方を発信していきます。UE4の頃にやっていた「猫でもわかる」シリーズのUE5版のように、「逆引き」的な発信をやっていきたいと考えています。私達にもしなにかやってほしいことがあれば、ぜひご意見をいただければと思います。
――ありがとうございました!
エピック・ゲームズ・ジャパンによる日本のインディー支援
今回のイベントでも、エピックゲームズジャパンによる日本のインディー開発者支援の一端を見ることができました。Epic Gamesのグローバルとしては、開発者支援金と機材をサポートするEpic MegaGrantsが実施され、日本国内のインディー開発者も数多く受賞しています。
「MegaGrants」をどのように取得するべきかについては、岡田氏が制作した以下の資料が詳しいです。
エンジン側も「Unreal Engine 5.1」がリリースされ、今回のインディー展示でもUE5を使われているタイトルの実例が増えてきました。技術面と資金面、タイトル紹介の機会の創出などで、国内インディーの支援が引き続き手厚く行われていく見通しです。