サウンド機能拡張「CRI ADX」無償版の新バージョンが配信開始、Unity / UE5 プラグインの機能向上に加え、有志によるGodot対応プラグインも登場
株式会社CRI・ミドルウェアは、同社が提供する統合型サウンドミドルェア「CRI ADX」について、インディー向けの無償エディションである「CRI ADX LE」の最新バージョンを配信開始しました。
CRI ADXとは
「CRI ADX」は、UnityやUnreal Engine 5をはじめとした様々なゲーム開発環境のサウンド機能を拡張するSDKです。高度なサウンド制御システムを内包しており、インタラクティブ・ミュージックなどの楽曲演出、効果音の高度なボリューム管理やバリエーション制作、大量の声優ボイスデータを効率的に管理できる専用ツールなどが含まれています。
開発者はランタイムをプラグインとして導入し、専用ツール「Atom Craft」を使って音の設定をしていきます。音にタグを埋め込むような感覚で「音程のランダム化」「複数音声データのランダム再生」「クロスフェード」「セリフ再生中はBGMの音量を下げる」といったサウンド演出をコーディング無しで実装できます。
また、同ツールを使用することでゲームの展開に合わせて楽曲が変化する「インタラクティブ・ミュージック」を組み立てることができ、UnityやUnreal Engine 5への導入を容易にします。
Unity向けはAddressablesシステムでADX用ファイルが扱えるように
これまでUnityでADXを使用する場合、圧縮されたサウンドデータファイル「ACBファイル」「AWBファイル」などをStreaming Assetsに配置するか、外部サーバーから端末にダウンロードすることで再生を行っていました。そのため、ゲームプロジェクトでAssetBundleを使用している場合、別処理としてロード・マウントが必要でした。
実は少し前のアップデートから本件が解消されており、ADX SDKに含まれる追加パッケージ「Asset Support Add-on」を導入することでAssetBundleとして取り扱うことが容易になりました。
「Asset Support Add-on」は、ADXの固有データ形式である「ACB」「AWB」「ACF」をUnityが判別できるアセットとして管理するための追加パッケージです。これによって、データを AssetBundle に含めることに加え、Addressable Asset System を使ったデータの管理が可能となりました。
https://game.criware.jp/manual/unity_plugin/latest/contents/addon4u_assetsupport.html
また。すべてのプラットフォームで低遅延再生機能「SonicSYNC」が使用できるようになっています。
Unreal Engine 5向けは大型更新によりインポートが高速化、新機能も追加。
より大きな更新が入ったのがUnreal Engine 5向けのADXです。「CRIWARE Unreal Engine Plugin V2」という名称で、バージョン2として大幅更新となりました。
先日行われたゲーム開発者向けカンファレンスGame Tools & Middleware Forum 2023では、屋内と屋外など、空間別にエフェクトの切り替えを行う「AtomGameplayVolumeアクタ」の追加、これまではAtom Craft側で行っていたエフェクトパラメーターをブループリントで変更する機能などが追加されています。1サウンド1アセットの構成から、複数の差サウンドデータを内包する管理に移行したことで、サウンドデータのUnreal Editorへのインポートが高速化されています。
さまざまな開発環境で使える「Native」版が復活、有志のGodot対応も登場
これまでCRI ADX LEはUnityとUnreal Engine向けのプラグインが提供されてきましたが、追加で「Native」として様々な環境で利用できるパッケージが公開されました。これはゲームエンジンへのプラグインではなく各OS向けのライブラリとヘッダーが同梱されているパッケージで、Windows向けの.dll、macやiOS向けの.a、Android向けの.soファイルが含まれています。それぞれのネイティブ環境開発で利用できるほか、ブリッジとなるコードを用意することで、他のゲームエンジンに組み込んで使うこともできます。
このNative版を利用し、ゲームエンジン「Godot」にADXを導入する有志のプラグインが公開されています。
https://github.com/ueshita/ADXLE-GodotPlugin
その他のゲームエンジン向けには開発者がライブラリとエンジン機能をつなげるコードを書く必要がありますが、理論上はGameMakerなどにも利用可能です。
CRIは「横浜ゲームダンジョン」に出展予定
株式会社CRI・ミドルウェアは、「CRI ADX」と同社グループのウェブテクノロジ社と合同にて、インディーゲーム展示イベント「横浜ゲームダンジョン」に出展します。ADX LEを始めとした同社グループに寄るインディー開発者向け製品の各種デモが展示されますので、イベントに参加予定の方はブースへ足を運んでみてはいかがでしょうか。
横浜ゲームダンジョン 開催概要
開催概要 | ・国内の個人や小規模チームが制作したデジタルゲームの展示、頒布・来場者は作品の試遊や購入、開発者との交流ができます |
開催日時 | 2023年8月27(日) 11:00〜16:00 |
会場施設 | 学校法人岩崎学園 横浜デジタルアーツ専門学校 2階・3階 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜3-22-17 |
会場アクセス | 新幹線・JR・相鉄新横浜線・東急新横浜線・横浜市営地下鉄線 「 新横浜駅」 から徒歩7分 |