【CEDEC 2023】開発に14カ月、ブラッシュアップに15カ月。「『メグとばけもの』のつくりかた – 心を揺さぶるゲームの技術」講演レポート

オープニングとエンディングを先に作る

Odencatでは、オープニングとエンディングを先に作るという方針があるそうです。これは、エンディングが分からないまま進めても、企画の可能性が広がりすぎて、なかなか完成が難しいからだといいます。

本作についても、オープニングから前半エンドに相当する所まで初めから決めて、実際にプレイをして心が動く内容になったと感じてから本格的に進めていったそうです。ゲームデザインもどんどん改善を進め、バトル中にナラティブな要素としてキャラクターがたくさん話し合うシーンを入れたり、スキル要素を廃止したりと改良していきました。劇中に登場するおもちゃについてもコレクション要素を入れようかと健闘したそうですが、本質的じゃないことなどから無くしたそうです。

開発編

プロトタイプとプロットを元に実際に作っていく段階で、DAIGO氏が良いと感じた点は、「仮のグラフィックで作りきること」だったそうです。仮グラで最後まで作って遊んでみてしっかり感動できたので、本当のアートならもっと感動できる!と、開発陣のモチベーションアップにつながったのだそうです。

後に、TOMAS氏が実際にドット絵を描いていくフェーズになります。RYOTA氏のコンセプトアートを元に制作をしていきますが、「主人公のモンスターは、もっと気持ち悪い方がいい」とDAIGO氏は考えたそうです。DAIGO氏は自身が影響を受けた漫画「寄生獣」や「メイドインアビス」を例に挙げ、見た目じゃなくて内面を見て好きになるアプローチを目指しました。

しかし一方で、キャラクターの内面はなかなか伝わりにくいため、マーケティング面を考えてバランスが取れたデザインを目指したそうです。しかし、出来上がったキャラクターに何か足りないと感じたDAIGO氏は”自身の画力”を発揮して、素晴らしいアートでディレクションをしたわけです。(画像参照)

大きな目玉がついた手を追加したことにより、微妙に可愛いんだけど気持ち悪さもある状態に仕上がったとDAIGO氏は感想を述べています。

音楽の面では、裏谷玲央さんが開発に参加。『HI-FI RUSH』や『モンハン』シリーズの音楽も一部手掛けているコンポーザーであり、彼の音楽もRYOTA氏のコンセプトアート(モンスターと少年)を踏襲して制作してくれたとのことです。ガラクタで汚い部分を表現し、綺麗な部分を美しい弦楽器で表現したそうで、DAIGO氏は実際にガラクターでパーカッションを打ってる現場に行き、本気で音楽で打ち込んでる裏谷氏の気持ちが伝わってきたと感じたそうです。

HATA

5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れたのを皮切りにゲームライフが始まる。2000年代に個人でノベルゲーム開発をスタートし、異業種からゲーム業界に。インディーゲーム開発をしながらゲームメディアで記事執筆なども行う。

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です