UniRx開発者による新しいC#用のRx「R3」がプレビューリリース。Unityに加えGodot、WPFなど他のC#開発環境もサポート
新しいC#用のRxライブラリのプロジェクト「R3」がスタートとなりました。現在はプレビューリリースとなっており、サポート対象は.NET Standard 2.0、.NET Standard 2.1、.NET 6(.NET 7)、および .NET 8 以降です。
R3のGitHubページ:https://github.com/Cysharp/R3
R3のライセンス:MITライセンス
Unity対応バージョン:すべての機能を使うにはUnity 2022.2以上(一部ならUnity 2021.3でも可)
Godot対応バージョン:Godot4.x~
各エンジンへの導入方法はGitHubページに説明があります。
Rx(Reactive Extensions)とUnity
C#ではLINQが利用できますが、RxはLINQの考え方を非同期処理、時間経過による処理、そしてイベント処理に使用できるよう拡張したものです。例えば数秒後に○○する、といった動作の処理を簡単に記述することができます。RxはC#だけでなくJavaやSwiftなど他言語向けにも移植されており、一度Rxの概念を覚えれば、他言語でも同じような形式でコーディングできるメリットがあります。
Unityゲーム開発環境においては、.NET RxをUnity向けに再実装した「UniRx」プロジェクトが人気を博しており、UIなどにおけるMV(R)Pパターンの実装に適用できる強力なライブラリです。かつては非同期・時間経過処理の分野でも使用されていましたが、現在はasync/awaitが使用できるようになったため、.NETのTaskクラスまたはUniTaskが活用されるようになっています。書籍「UniRx/UniTask完全理解」も発売されました。
R3とUniRxの立ち位置の違い
R3の開発者はUniRxと同じneuecc氏です。R3はUnityでも使用できますが、UniRxを置き換えるものではなく、設計が大きく異なります。
まず、R3はC#環境向けの汎用Rxであり、そこにUnity向けの拡張がセットになっている構成です。UniRxと比較して機能が削ぎ落とされ、また同じ名前の機能でも挙動が変わっている箇所があるため、UniRxからR3へ簡単に置き換えられるものではなさそうです。これから始まるプロジェクトにはR3が選択肢に入る、という形になります。
また、R3の特徴である幅広いC#環境への対応により、Godotでも使えるようになりました。Godotは基本的にGodotEngineの独自言語であるGDScriptを使用して開発しますが、Godot4ではC#も利用できますのので、C#部分に関しては今回リリースされたRxライブラリを使用することが可能です。ただし、C#はデスクトップターゲット(Linux, Windows, macOS)のみとなっているため、モバイルやwebターゲットでは使用できません。
R3はプレビュー期間のため、neuecc氏は「皆様の意見を激しく求めています……!」としています。リリースからすでにv0.1.2に更新されています。ゲーム開発でUniRxを活用している方は、ぜひR3を触ってフィードバックをしてみてはいかがでしょうか。