「ヨカゼ」が提案する新たなインディーゲームのブランディングとは。担当者に聞く、設立の意図と展望

2020年5月7日、突如としてアナウンスされたインディーゲームレーベル「ヨカゼ」。新しいインディーゲーム共同体を掲げ、一気に4タイトルの所属が発表された新進気鋭のブランドです。ブランドマネージャーは「アンリアルライフ」の開発者として知られるhako生活氏が就任し、パブリッシング等の機能をroom6 Inc.が受け持つ体制です。

この数年で日本でもインディーゲームパブリッシャーが増加しましたが、彼らはパブリッシャーではなく、「レーベル」として活動するといいます。IndieGamesJp.devでは、hako生活氏とroom6代表の木村氏に緊急インタビューを行い、「ヨカゼ」が目指すものについてたっぷりお聞きしました。

hako 生活氏(以下、hako)
木村征史氏(以下、木村)
インタビュー:
一條 貴彰

「レーベル」という仕組みでブランディングと販売実務を分離

——お二人の自己紹介をお願いします。

hako:個人ゲーム開発者のhako 生活です。ヨカゼに所属する「アンリアルライフ」というタイトルの作者です。普段はピクセルアーティストも名乗っています。ピクセルアートパークというドット絵オンリーイベントの運営委員会でプロモーションを担当をしていたりもします。

木村:京都の片隅でゲーム開発と、パブリッシング事業をしているroom6代表の木村です。もともとゲーム業界には御縁の無い普通のIT業界出身なのですが、ゲームを作りたい欲が高まってゲーム会社を作って活動しています。

——まずは、「ヨカゼ」を立ち上げたきっかけをお教えください。

hako : まず、僕が開発したアンリアルライフは、もともと昨年まで別のパブリッシャーさん(UNTIES、先日活動停止が発表)と契約をしており、そちらでアンリアルライフをリリースする予定でした。ただ、そのパブリッシャーのさん側の事業方針で、新規タイトルのパブリッシング案件を停止することになってしまったんです。

そこで、僕はすぐにroom6さんに相談しました。 僕はアンリアルライフを作りながら、生活維持のためにroom6さんからお仕事をいただいていたこともあって、僕のタイトルがroom6さんからリリースできれば、room6さんやお世話になっているまさしさんへも還元できるのでWin-Winかなと思ったのです。

木村 : 僕の方でもroom6でのゲームパブリッシング事業を始めてみたはいいけど、勢いのままにやってたところもあってこのままでいいのだろうか?room6がパブリッシャーをする意義って何だろう?開発者さんにとって寄り添えるパブリッシャーであるという事は素晴らしい事だけど、ゲームを買ってくださるユーザ様には何かカラーを打ち出せてるんだろうか?といろいろと悩んでいました。

hako : そういった課題を解決するために、「レーベル」というしくみを提案してみました。 パブリッシャー内にある同じ雰囲気のタイトルをグループ化し、そのグループをひとつのブランドとして発信する試みです。関連性の強いタイトルが揃っていれば、それだけで強い相互プロモーションの効果が発揮されるんじゃないかなと思って。例えばroom6さんがパブリッシング予定だったghostpiaはアンリアルライフと雰囲気が近いし、一緒に並べてみるのはどうでしょうか、といった具合に…。

木村 : 色々と悩んでいた時期だったので、hakoさんからの提案を受けて即答で「やろう!」となりました。

hako : レーベルを作ったあと、すぐにその強みが現れました。レーベルという試みによって「同じ方向性のタイトルを集めやすくなる」という点です。From_.と果てのマキナはパブリッシャーを決めかねていましたが、レーベルという試みに賛同してくれて、すぐに勧誘することができました。そうして、アンリアルライフ、ghostpia、From_.果てのマキナという4タイトルが集まり、レーベル「ヨカゼ」が生まれました。

——「パブリッシャーの枠にとらわれないレーベル」とありますが、詳しく教えてください

hako : レーベルという試みを練っていくうちに、「これって別に会社の枠にとらわれる必要ないな?」と思ってきました。レーベルが持つ機能の本質は、これまでパブリッシャー内で一体化していた「サポート内容」と「ブランディング」という2つの個性から「ブランディング」のみを独立できることです。

僕をはじめとするインディーゲーム開発者は、パブリッシャーに対して二つの個性を気にして見ます。それが「サポート内容」と「ブランディング」です。

サポート内容については、パブリッシャーが持つ経験や会社の母体によって決まってくる部分で、リリースのサポート体制、取り分、権利周りといった、パブリッシャーとの契約内容そのものです。このサポート内容を強みとしているパブリッシャーは多いと思います。

アンリアルライフ/hako 生活

ブランディングは主にパブリッシャーに所属するタイトルのラインナップで決まります。おもしろいタイトルが並んだり、関連性が強いタイトルが並んでいる方が、よりプロモーション効果を期待できますからね。僕や僕の周辺の開発者さんの中でも、むしろこのブランディングの部分を強く気にしている人は多いはずです…。

木村 :そうですね。インディーゲームは本当に色々なカラーを持ったゲームがありますし、個人的にはそういった色々なカラーを持ったゲームを扱いたい。ビジネス的にも多様性というのはとても大事な要素だと思います。

hako : 開発者からしても、パブリッシャーがアピールする強いサポート内容には納得していながら、ブランディングの観点では「自分のタイトルと他のタイトルのラインナップに関連性が保証されていない」というジレンマを感じている人は少なくないと思います。

  木村 : そういったジレンマがある中で、「レーベル」という仕組みはサポート内容とブランディングを分離して行うことができます。会社の枠にとらわれないレーベルができれば、 ゲーム開発者は契約内容を最も期待できるパブリッシャーを選び、そのうえで関連性の強いレーベルに所属してブランディングを受けることができます。

hako : なので、ヨカゼというレーベルが生みだされた次のステップとして「パブリッシャーの枠に取られないレーベル」というスタンスで、活動していく予定です。

木村 : ただ、レーベルのみが単独で存在するというよりも、レーベルのデフォルトパブリッシャーみたいな位置づけとしてroom6が母体となるイメージです。そして、room6がレーベルの母体としてパブリッシャー同士を繋げる動きなども行います。それを、hakoさんがブランディングする感じですね。

Takaaki Ichijo

株式会社ヘッドハイ代表。サークルThrow the warped code outとして『Back in 1995』『デモリッション ロボッツ K.K.』を開発

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