あまり聞かないゲーム『Hydroneer』は何故Steamで12,000レビューを獲得したのか?

[本記事は、GameDiscoverCoニュースレターの日本語翻訳です。GameDiscoverCoの許諾を得て翻訳・掲載しています。]

「あまり注目を集めていないが、Steamで定期的に売れているゲームって何でしょう?」とSimon Carless氏がよく疑問に思っているようです。その疑問に答えるために、最近作成したGameDiscoverCo Plusの表「月別のレビューの多いゲーム」を観察しました。その結果に見つけた事例は、Foulball Hangover氏の『Hydroneer』という採掘と拠点構築サンドボックスゲームです。今回の記事では、『Hydroneer』が何故多くのレビューを獲得できたかを見ていきましょう。

『Hydroneer』について

『Hydroneer』は2020年5月にSteamでリリースされ、それ以来12,000件のレビューを獲得しました。そして、2022年5月に画面分割でのマルチプレイを含む大型アップデートのおかげで、5月に約2,000件のレビューを獲得し、月別のレビューの多いゲームのトップ100にランクインしました。

おそらく聞いたことのないゲームですよね?(もちろん、数人は知っていると思いますが。)レビュー収集サイトMetacriticでの存在感が薄く、ニュース記事が多くなく、ツイッターなどあなたのSNSでは拡散されていないでしょう。それにもかかわらず、このゲームは大ヒットしています。(SNSや検索サイトのアルゴリズムによるフィルターバブルの効果ですね。)

2022年7月時点のMetacriticレビュー:0件

それでCarless氏が『Hydroneer』の開発者Max Hayon氏にインタビューをしました。そして判明したことは、彼の大学卒業後の初ゲームであった『Hydroneer』が、約50万本売れているということです。つまり、40件のセールスあたりに1レビューです。この割合が素晴らしいです。レビューをなぜ多く獲得できたのか、その分析としてHayon氏が「やってよかった」思ったことを紹介します。

①ゲームのコンセプトが100%フック優先だった

まずはゲームのコンセプトが固まっていたことです。

「開発者一人で実現できる範囲のゲームを目指しました。そして、マインクラフトでダイヤや珍しい素材を獲得したときの気持ちを詰め込もうとしました。」

Max Hayon

レアアイテムをゲットしたときのスリル感を目標とし、「土を価値のある素材にする」コンセプトが起点になりました。それだけでなく、土を掘ったり、運んだりする水力式の機械を作る機能を追加しました。このゲームのすべては、一人称視点で走り回ることで遊びます。「非直感的なUIなしで、各アイテムがゲーム内に存在し続けるシステムが面白いと思いました。各道具のケアをちゃんとする必要があります。」とHayon氏はコメントしています。

『Hydroneer』での機械

実況者・ユーチューバーに対するアプローチを重点を置いて行った

配信者Blitz氏による実況(再生回数:38万件、いいね:1万1千件)

Hayon氏によると、リリース時期間近に「予算0ドルのマーケティング」について調べて、一番良い方法は実況者やユーチューバーに自分のゲームをチェックしてみないかと連絡することだと結論づけました。

「約30件のメールを送りました。いくつかの返事をいただきましたが、最初の返信は登録者数が10万人いるロシア人の配信者PlayAtHomeさんです。10万人の視聴者に向けた自分のゲームの実況動画が配信され、嬉しい限りでした。

10万人のリーチ、それは自分の動画では到底獲得できないものですね。(その時、自分の動画の閲覧数は平均300しかありませんでした)。その後、他のストリーマーからの返信も届くようになりました!BlitzさんとDraeさん(それぞれ150万〜200万の登録者数)も実況動画を作ったため、ゲームが話題に上がるようになりました。リリース当日では、ウィッシュリスト登録者数が1,000人から60,000人に激増しました。」

Max Hayon

そして、YouTubeで『Hydoneer』を検索すると、様々な配信者の『Hydroneer』で奇妙な採掘機械を作ってみた動画がたくさんあります。Hayon氏によると、配信者から「『Hydroneer』の動画が他のタイトルより閲覧数を出している」というコメントをよくいただいているそうです。その調子でどんどんコンテンツが作成されていきます。

マルチプレイの追加で需要が増えた

GameDiscoverCoにはとある定番ネタがあります。「人気ゲームをもっと人気にする一番の方法はマルチプレイを追加すること」です(参考:Project Zomboidのマルチプレイ追加後の急増)。 そして、『Hydroneer』が 2022年5月にマルチプレイのアップデートがあり実績を出しました。ただ、マルチプレイの形は開発者の理想ではなかったようです。

「大規模な計画で、理想なマルチプレイを一年間かけて実装してみました。残念ながら、物理演算の問題で理想は実現できませんでした。」

Max Hayon

『Hydroneer』にはたくさんの動いているアイテムがあり、ネットワーク経由でその物理演算を再現するのはかなり重くて開発のネックになったそうです。開発チームがBulletとUE4のPhysXとUE5のChaosを試してみましたが、何らかの理由で失敗しました。マルチプレイをすでに約束したので、チームにとって、この失敗は大変でした。

しかし、幸いなことに、Hayon氏ともう一人の『Hydroneer』開発者ItchyBeard氏が『Dysmantle』を遊びました。詳しく言うと、『Dysmantle』はマルチプレイにSteamリモートプレイを使っています。Hayon氏がそのとき、 リモートプレイのパフォーマンスの良さに驚き、リモートプレイをプランBとして決めました。そのことについて、「画面分割は理想的ではなく、デメリットもありますが、自分にとってマルチプレイを導入することが大事でした」とHayon氏がコメントしました。プレイヤーにも大事なことです!

また、注目すべきことは『Hydroneer』にもMOD作りがあり、Steamワークショップと公式『Hydroneer』WikiのBridgepourからできます。しかも、2.0版アップデートでMODのサポートがよくなりました。これが更に『Hydroneer』の成長と注目に貢献しています。

まとめ

初ゲームで大ヒットの例はもちろん例外ですが、『Hydroneer』の成功例から何を参考にするべきか、そのポイントを以下にまとめました。

  • 若手開発者が小さい頃からマインクラフトのようなゲームで育ち、サンドボックスゲームの魅力:「自由で奥ゆかしい経験を提供できる」ことを理解している。(サンドボックスゲームが大ヒットする例はかなりあります。参考:『SatisFactory』)
  • 面白いビデオを作れるタイプの面白いゲームを好む配信者へのアプローチ。『Hydroneer』がヒットする理由の1つが『Hydroneer』の動画が視聴者ウケするからとも言えます。
  • 開発中のゲームをリリースし改善し続ける力。「出したいゲームの基本の作りが複雑すぎて詰まる人をよく見かけます。必要最低限の機能を備えたゲームは何なのかを理解し、それを制作してから要素を足していくのが大事です。」とHayon氏がコメントしました。

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Cheryl Ng

翻訳者・イラストレーター・謎クリエイター。主にゲームと謎を翻訳、時々イラストと謎を制作

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