ValveがSteam販売ゲームにおいて「学習元アセットの権利が明らかでないAI生成アートアセット」を利用禁止に
[UPDATE 6/29]
公開後、記事が説明不足の指摘をいただいたため、以下の補足を加えました。
・対象がアートアセットであることを明確にするため、「アセット」を「アートアセット」に変更
・「学習元アセットの権利が明らかでないもの」を「学習ソースの権利をSteamタイトルの提出者が保持していると証明できないアートアセット」に変更
・「第三者が著作を持つ素材を使ったAI生成アセット」を「第三者が著作を持つ学習元データを使用したAI生成アートアセット」に変更
・Adobe Fireflyが一例であることを示すため、以下を追加「また、AI生成アートアセットを利用したゲーム開発者が、学習元となるアートアセットを製作したアーティストから利用に必要な権利を得ていると証明できる場合もValveが指摘したケースに当てはまらないと考えられます。」
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ゲームのマーケティングサービスを提供するGameDiscoverCo代表であるSimon Carless氏によると、ValveがSteamにおいて、AIによって生成されたアートアセットのうち「学習ソースの権利をSteamタイトルの提出者が保持していると証明できないアートアセット」を使用したゲームの販売を禁止する方向であることがわかりました。
AI生成物のうち、「学習ソースの権利をSteamタイトルの提出者が保持していると証明できないアートアセット」を使ったゲームが販売不可に
[Game Name Here] contains art assets generated by artificial intelligence that appears to be relying on copyrighted material owned by third parties. As the legal ownership of such AI-generated art is unclear, we cannot ship your game while it contains these AI-generated assets, unless you can affirmatively confirm that you own the rights to all of the IP used in the data set that trained the AI to create the assets in your game.
https://www.reddit.com/r/aigamedev/comments/142j3yt/valve_is_not_willing_to_publish_games_with_ai/
開発者が受け取ったとされるValveからのメールには、「第三者が著作を持つ学習元データを使用したAI生成アートアセットは、法的所有権が不明瞭のためゲームを販売(出荷、ship)できない」とあったとのことです。
おそらく、Adobe Fireflyのように学習元となった画像ソースの権利を提供元が全て把握しているサービスにおいては、アートアセットを利用してもSteamで販売できるものと考えられます。また、AI生成アートアセットを利用したゲーム開発者が、学習元となるアートアセットを製作したアーティストから利用に必要な権利を得ていると証明できる場合もValveが指摘したケースに当てはまらないと考えられます。
現在は提出されたゲームの個別のレビューについて、フィードバックの形でそのルールと修正がディベロッパー向けに送られている段階ですが、今後Steamworksの開発者向けドキュメントに追加されると予想します。
ゲーム開発におけるAIの利用についてはさまざまな議論があり、現在は善悪を一概に決められるものではありません。プラットフォーム側の動きとして、まずはValveがあくまでアーティストの作品が勝手に学習ソースに使われているケースを対象にNGとする方針を打ち出すようです。おりしもゲームエンジンUnityがサービス統合のAIツールを発表したばかりですが、こうしたツールの利用においてディベロッパーは慎重な判断が必要となりそうです。