「自社インディーゲーム “TriniyS” リリースまでの軌跡」受託業務もこなしつつ、自社作品の開発体制を築くまで【CEDEC+KYUSHU 2021】

「自社インディーゲーム “TriniyS” リリースまでの軌跡」にはインディー開発者に役立つヒントがいっぱい!

日本最大のコンピュータエンターテインメント開発者向けのカンファレンス、CEDEC。その九州版のCEDEC+KYUSHU 2021が2021年11月27日(土)~11月28日(日)に開催されました。

CEDEC+KYUSHU 2021の中で、インディーゲームディベロッパー向けの講演「自社インディーゲーム “TriniyS” リリースまでの軌跡」をレポートします。自社オリジナルゲーム開発の中で得られた知見を共有していく本公演は、日々インディーゲーム開発を行っている皆さんの役に立つことと思います。

【講演内容】

Indie-us Games初の完全自社作成オリジナルゲームである「TrinityS」について、現在早期アクセスリリース直前という状況ですが、リリースに至るまで様々なことがありました。受託業務とは別に自社開発を行う苦労と、インディーゲーム故の苦労について皆様と共有できればと思います。当作品はUnreal Engine 4(UE4)で作成されており、UE4でインディーゲームを出してみたい!という方に向けて少しでもタメになる話ができればと思いますので、ぜひ聞いてみてください。

CEDEC+KYUSHU 2021サイトより

登壇者について

登壇者は株式会社Indie-us Games代表の中村氏とゲームデザイナー/ゲームディレクター兵藤氏で、両氏が自社開発タイトル『TrinityS』のリリースまでを語っています。

Indie-us GamesはUE4に長けた企業として知られており中村氏は数々の講演を行っている方でもあります。

『TrinityS』について

『TrinityS』はオンライン専用のマルチプレイ協力アクションゲームで連続ボスラッシュバトルを楽しめるゲームです。短時間での濃密なゲーム体験と、役割の異なる3種類のロールを使っての連携が攻略のカギになっています。

そして、キャラの「動き」と「止まる」に明確なメリットが存在します。止まれば攻撃力/防御力/回復量が上昇しますが、敵の攻撃を受け止めるわけにはいかないので「いつ動くか」を判断することが求められます。

~インディーゲームについて~

昨今いろいろな場面で語られる「インディーゲーム」ですが、この講演では小規模な企業や個人がゲーム内容を全て決めて制作できる環境下で制作されたゲームという定義として進めています。

開発の動機は、自分が作りたいと思うものを作りたいから!というものが多くの開発者にあてはまると思いますが、同時に予算も時間もないというのもあてはまると思います。

ではどうすればよいのか?中村氏は予算がないなら、ないなりの開発戦略を練るべきだ。と言います。

~まずは小規模で作ろう!~

その戦略とは、小規模で作るということです。本業がある場合、あくまでも本業の合間で作ることができる程度のものからスタートしよう。と中村氏は言います。

たしかに、インディーゲーム開発とは別にやっている仕事や学業がある開発者にとって、本業との両立は悩みの種だと思います。すき間の時間でゲームを作ることは多くの方が選ぶ道ではないでしょうか。それでは本業の合間に作るには何を優先し、何を後回しにするべきでしょう?

制作の初期段階において、「アートは必ず後回しにしよう」と中村氏は提案します。その理由を以下のように挙げています。

まず、見た目を良くしたいと。やっぱり見た目を作りこんでからのほうが(開発の)テンションも上がりますしね。しかし、ここは無限に時間を使うんですね。グラフィックまわりは最初から最後までつきまとう問題なので、ここで時間を使うよりはまずは素早く作りましょう。


最初にグラフィックに力を入れたものの、開発が続く中で他のグラフィックとマッチしなくなってしまったり、大きな変更があって使わなくなってしまったり……ということは起こり得ることだと思います。そして、時間もかかってしまったという経験のある方もいるのではないでしょうか。しかし、素早く作るためにもグラフィックがないと前に進みにくいです。その場合はどうすればよいのでしょう?中村氏は以下のように対策を講じていました。

素早く作るためには、アンリアルエンジンのマーケットプレイスにある無料アセットをフル活用することが大事です。まずは、ゲームジャム相当の規模で作りましょう。実際『TrinityS』はグローバルゲームジャムが開催されたときにあったゲームになりまして、画像にあるようにノートPCで3日間のグローバルゲームジャム内で作ったものです。

プロトタイプの制作段階でも販売されているアセットの活用は重要です。マーケットプレイスの場合毎月DLできる無料アセットがあり、数も豊富なのでうまく活用することで様々なゲームを作ることができるだろうと中村氏は述べました。また、本業の合間に無理のない範囲で作業を行うことから、スケジュールを細かく決めすぎないことも大切だと言います。これらは自分のアイデアがゲームにできるか試行錯誤する時に役立つ考え方ではないでしょうか。

~プロトタイピングはしっかりと~

続いて中村氏は合間に作るとはいえプロトタイピングをしっかり行うべきだと語りました。そして、この段階で面白くないなら今後面白くなることはまずないといいます。プロトタイピングをしっかりやって面白さを感じられない場合は、それ以上進むべきではないと主張します。一方で中村氏は、育成シミュレーションやストーリー重視のゲームなど後から面白さがわかってくるゲームもあるが、それは承知の上で進めるべきとも語りました。これは、ゲームジャムで生まれた作品をもっと作りこむのか、それとも他のゲームを作るのかという判断の材料になります。

また、プロトタイピングのつくり方について中村氏は以下のように述べています。

最初から5人とか10人とかそういった人数で制作を進めないようにしています。理想はゲームデザイナー1人で進めるのが理想かなと思います。実装自体可能なデザイナーやプログラマが主体となるべきで、やはりここはゲームの案を持っている人が率先して引っ張っていく必要があると思います。できる限り自分の案を持っている人が実装できるのが理想であります。もしくはゲームデザイナーとプログラマ二人というのもありかなと思います。そしてプロトタイプを作るまでがやはり企画の草案であるべきなのかなと思っております。

最初から人数を割かない理由はいくつかあると思います。本業とのバランスといった外的な理由もありますが、プロトタイピングの段階では案を持っている人の意図も完全に固まっていないことも多々あり、他のメンバーが多いと意思疎通に時間を取られたり、案を持っている人の意図が完全にプロトタイプに反映しないまま進んでしまったりする可能性があるでしょう。

また、そのようなプロトタイプを見せられた側も「どこがおもしろいのか」わからないので、ゴーサインが出せないことも考えられます。個人開発の場合、同じような経緯をたどってゲーム開発が進むことが多いと思いますが、プロトタイプを作るまでが企画の草案であるべきという考え方は参考になるはずです。

次ページ:プロトタイピング完了後のブラッシュアップと開発体制

HATA

5歳の頃、実家喫茶店のテーブル筐体に触れたのを皮切りにゲームライフが始まる。2000年代に個人でノベルゲーム開発をスタートし、異業種からゲーム業界に。インディーゲーム開発をしながらゲームメディアで記事執筆なども行う。

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